苦味も渋味もある人生に、ほっとする甘味の一口を。
青山美智子『月曜日の抹茶カフェ』、読了。
東京と京都をつなぐ、12ヵ月12編の物語です。
●印象に残った一文
この世に生まれ落ちたときから、僕たちはただどこまでも繋がり続けている。
本作は、同著者『木曜日にはココアを』の続編です。
読み終えた時、京都での茶道体験を思い出しました。
茶道の世界から生まれた「一期一会」という言葉。
いま、この時間に集う人との関係は二度と同じものはない、一度きりのかけがいのないものである、という意味です。
今後の人生で二度と会わなかったとしても、それは「縁がなかった」のではありません。
「一度会えた」、というご縁なのです。
もう一つ、茶道の心得を表す大切な言葉があります。
それが、「和敬清寂」。
和=誰とでも仲よく、すべてにおいて調和を大事にすること
敬=お互いを尊重し合うこと
清=何事も心から清らかであること
寂=穏やかで、どんなときにも動じない心であること
対立するのではなく、相手に向き合い、認め合うこと。
茶道の世界には、人間関係のコツが凝縮されているように思います。
そして、添えられる和菓子の存在が非常に大事なのだと、いまこの文章を書きながら気づきました。
おいしい事ばかりではなく、苦味も渋味もある人生。
ここらで、心がほっとする甘味の本を一口、いかがですか?
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