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『岩田さん』 ほぼ日刊イトイ新聞

読むのがつらくて、途中で何度も本を閉じた。あまりにも自分の環境と違うから。私はこんな人と働きたかった。

私はゲーム音痴ながら、かつてゲーム会社で働き業界のニュースに目を通していた。その時に敬意とともに語られているのが、任天堂の元社長 岩田さん、スーパーマリオを作った宮本さん、そしてゲームクリエイターの小島秀夫さんだった。私が唯一クリアできたゲーム『MOTHER 2』を作った糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」でも時々「岩田さん」をお見掛けした。

本の『岩田さん』はプログラミングが好きで電卓でゲームを作ったところから話は始まる。作ったゲームを誰かに見せたくて西武池袋本店のPC売場に通うようになり、仲間が始めた場所でアルバイトを始め、次第にゲームを作っていく。そこで借金があるHAL研究所の社長になる。どんなときも会社で一番忙しい場所で働き、社員一人一人と面談をしてマネジメントをしながら借金を返済する。そして任天堂に入社してニンテンドーDSやwiiを世に送り出していく。

4年間作っていても形にならない『MOTHER 2』の開発に途中で加わり、「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」と話したという天才ぶり、「自分がやったほうがいい(合理的)と思えば」経営を行うというロジカル・クールな一面と、お菓子が好きだったり、社員、一緒に働く人たちに耳を傾けるような温かい人柄がうかがえて、非常に魅力的。

最後に宮本さんや、糸井さんが岩田さんについて語る項があるのだけれど、しみじみと、じわじわと岩田さんの素敵さが伝わってくる。そのくらいの人徳があるから、死後にこうして本になるのだろうけれど。身近で一緒に話せる間柄だったらどれだけよかっただろう。せめて上司、直接話せなくても自分の会社を率いる社長だったらどれだけよかっただろう。

でも。岩田さんではない、現在生きている魅力的な人はたくさんいるはず。そういう人たちに会えるように、そして自分がそうなれるように、やるしかないな、という結論に至った。意外な方向に励まされた。

160.『岩田さん』 ほぼ日刊イトイ新聞

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2020年読んだ本(更新中)
2020年読んだマンガ(更新中)
2019年読んだ本:77冊
2019年読んだマンガ:86冊
2018年読んだ本:77冊
2018年読んだマンガ:158冊

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