「日本ギネス記録タイトルホルダー」から教わった人生を変える鉄棒指導
今日は愛知では珍しく雪が舞う1日でした。
マガジンメンバーには、雪と共に暮らしているメンバーが多くいるので、
このような天候や寒さと、日々向き合っていると考えると慰労の念が湧いてきます😌
共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨
教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌
どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
noteを始めたばかりの5ヶ月ほど前。
筆者は「鉄棒」についての記事を発信しました。
当時の筆者は、
noteの加減というものが分かっておらず、
14000字ほどの記事になってしまい、
「こんなん誰も読まんだろ・・・」
と、今だからこそ分かる仕様になっています笑
ただ、筆者の記事を遡って読んでくれたクリエイターの方が、
「この記事はもう一度出した方がよい」
と言ってくださったので、
「コンパクト」にまとめて笑、
リニューアルしたものを再掲します。
筆者はこの指導法を、
小学生の体育指導においての
「日本ギネス記録タイトルホルダー」
の方に夜通しで教えてもらいました。
その先生のクラスでは、
小学1年生で長縄8の字跳びが、
3分間で502回という記録が出ています。
短縄は1年生で五重跳びができるようになり、
1年生が6年生にシャトルランで勝つという、
意味の分からない世界の指導法です笑
その先生は「天才」です。
筆者が教えてもらった指導法を試しても、
同じ結果にはなりません。
ただ、効果は薄まるのですが、
薄まった効果ですら異次元の結果になります。
かなりコンパクトにまとめますので、
ぜひ、楽しんでご覧ください。
鉄棒で激変した子どもたち
鉄棒指導を行うのは、1年生~3年生が適切です。
なぜならシンプルな運動に疑問なく取り組め、
且つ、体重が軽いから。
ある年の3年生32人に鉄棒を教えた結果、
半年間で次のように習得率が変化しました。
一部だけ紹介しますね。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
【後方片膝掛け回転】
1人(3.1%) → 28人(+84.4%)
【後方両膝掛け回転】
0人(0%) → 15人(+46.8%)
【だるま前転】
0人(0%) → 19人(+59.3%)
【こうもり降り下り】
0人(0%) → 19人(+59.3%)
【ホワイトこうもり】
0人(0%) → 13人(+40.6%)
【こうもり大車輪】
0人(0%) → 4人(+12.5%)
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
個人情報の関係で子どもの映像を見せることができませんが、
イメージは伝えられます。
例えば、「こうもり大車輪」というのは以下のような技です。
筆者のクラスの子どもたちは、これを連続技で行います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①こうもり振り上がり
②こうもり大車輪
③こうもり大車輪
④こうもり大車輪
⑤ホワイトこうもり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
といった具合にです。
しかも、速い。
この動画の2倍速のスピードでしょう。
もちろん、
下にセーフティマットを敷いてますし、
教師も補助についています。
補助の方法も、「天才」に教えてもらい、
習得したものを使用しています。
ここまでのレベルに到達するのに必要な期間は、
筆者の腕でわずか半年。
「逆上がりしかできない」レベルの
子どもたちが、半年でここまでいきます。
では、ここから解説を。
まずは、鉄棒の全体図から。
鉄棒の技一覧と系統
鉄棒にはざっと言えば50種類以上の技があります。
技の一覧とその系統をまとめたものが
以下の図です。
ボリュームがありすぎるため、
上がり技と、一部の回転技を省略してあります。
ここで注目したいのが「逆上がり」です。
逆上がりは、よく見ると単発の技であり、
その後に発展技がつながっていかないことが分かります。
鉄棒で最もよく練習する技であるはずなのに、発展性がない。
だからこそ、
鉄棒の面白さを見いだせなかったり、
難しさをより感じてしまうのだと思います。
鉄棒の魅力を存分に味わえ、且つ、
どんどん発展する技であるならば、
鉄棒を大好きになるはずです。
特に筆者がおススメするのが、
「膝掛回転系統の技」
「こうもり系統の技」
です。
その教え方やコツを解説していきます。
上達の柱❶1日5分を毎日続ける
「1日5分程度を毎日のように行う」。
これが鉄棒を上達させるスケジューリングの秘訣です。
正しい練習方法と補助を
このスケジューリングで行えば、
圧倒的なスピードで成長していきます。
鉄棒は、やりすぎると体を痛めます。
だからこそ、1日、3~5分程度に抑えるのです。
(子どもが自主的にやりたいと言っているならば、やらせてもよいと思います。)
大人が補助として付き添うのは、
限定した時間にする。
その方が、
集中力とモチベーションが長期的に持続します。
また、勉強にも、睡眠が大切なように、
運動にも睡眠が極めて大きな意味を持つと、
筆者は考えています。
睡眠を経て、人の記憶は整理されます。
それは運動も同じです。
例えば、
60kmの速度でボールを投げるピッチャーがいたとして。
睡眠を取り、毎日60kmを投げることをこなしていくと、
その情報が整理され、脳内の情報に付随して身体が変化する。
「球速60kmが当たり前」
という境地になります。
そして、
「次は70kmを目標にしよう」と決め、
練習をしていく。
すると、
毎日の練習で体や技術は進化しているので、
球速70kmを投げることができるようになる。
脳のイメージに身体が追いつきます。
やがて「70kmが当たり前」となり、
80km、90km・・・と徐々に伸び続けていく。
このように、
脳は人の記憶をアップデートしていき、
脳のイメージに身体の動きが追いついてくるのです。
鉄棒にも、これと同じことがいえます。
だからこそ、
45分の練習を10日間よりも、
5分の練習を90日間の方が、
圧倒的な伸び率を誇ることになるのです。
筆者は、この毎日のように少しずつを、
休み時間に行っていました。
強制ではなく、やりたい人から集中的に行っていったのです。
上達の柱❷正しいスモールステップ
「運動能力が向上する体育の授業には法則がある」
と言われている2つの要素があります。
その1つが、「スモールステップ」です。
「地獄回り」「こうもり大車輪」のような
大技にいきなり挑戦するのではなく、
まずできそうな簡単な技から取り組み、
少しずつ、少しずつ自信をつけていくのです。
そのスモールステップを正しく組み立てる「目」が必要です。
そのためには、鉄棒の全ての系統技を整理し、
技同士のつながりを押さえておかなくてはいけません。
例えば、
筆者は「地獄回り」までを、
以下のようなスモールステップで組み立てていました。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
①前回り
②豚の丸焼き
③足掛け回り
④ひざ掛け上がり
⑤後方片膝掛け回転
⑥後方片膝掛け回転5回連続
⑦後方両膝掛け回転(地獄回り)
⑧後方両膝掛け回転(地獄回り)5回連続
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
詳しく知りたい方は、元の記事を最後に掲載しておきます。
上達の柱❸技の到達度に点数を付ける
練習スケジュールとスモールステップだけでは、
加速度的な成長は訪れません。
上達の柱の3本目は、
「技の到達度に点数を付ける」
ことです。
個別評定といったりします。
体育の授業で運動能力を向上させる要素の2つ目でもあります。
全ての鉄棒技に共通する点数化の方法は、
「角度を点数化」
することです。
基本的に、鉄棒の真下を0度(0点)。
真上を180度(180点)とします。
この「点数化」には、3つのメリットがあります。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
①成長が実感できない時期でも10点上がるだけで前進していることを感じられる
②明確な基準と目標をもちやすいのでやる気が出る
③1回1回の練習に必ずフィードバックをもらえるのでモチベーションが持続する
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
とにかく、この点数化は、
ほんの少しの成長を実感できるので、
練習に対するモチベーションが持続するのです。
そして、
スモールステップをさらに0点~90点、
技によっては180点まで細分化するので、
1つの技が10ステップ~20ステップの、
スーパースモールステップの状態になります。
あとは、その階段を1段1段、
着実に上っていけばよいのです。
簡単に、着実に成長が実感できる。
どこまでいけば成功するかの目安が分かりやすい。
だからこそ、毎日のようにやる練習も、
常にやる気がみなぎります。
上達の柱❹効果的な補助の方法
上達に必要な4本の柱の最後は、「補助」です。
補助がある場合とない場合では、
上達速度に、5~10倍の違いが出ます。
補助のメリットは大きく分けて2つ。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
①安心して取り組むことができるのでフルパワーのパフォーマンスを発揮できる
②「できた」経験を先取りできる
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
途中までしか回転できなくても、
持ち上げてくれる。
それには、何よりも安心感があります。
大人が補助をする時と、そうではない時は、
回転角度が30~40度違うことが多いです。
そして、補助では毎回、
技を最後までやらせ切ってしまいます。
ですので、「できた!」という感覚を
毎日のように積み重ねることになるのです。
その内、
「できた」という感覚が当たり前になり、
身体が追いついてきます。
そうなると、ある日、するっとできてしまいます。
鉄棒運動がもたらす運動効果
鉄棒を集中的に行うことによって、
様々な波及効果が他の運動や能力に対しても生まれました。
「運動に対する主体性」
「非認知能力」
という観点で解説をします。
運動に目覚める
鉄棒は、ボール運動とは違い、
はっきりと「できる」「できない」が分かれる運動。
だからこそ、技ができたときの喜びは、
他の運動では味わえない質をもっています。
チーム運動と器械運動は、
上達に必要となる力が異なります。
注目されやすいのは前者。
しかし、後者のようなプレーヤーも、
相手が驚くような技を決めると、
「お前、やるな」と認められ、
「自分も活躍できる運動があるのだ」
と自信をもつきかっけになります。
筆者は、
「今まで運動はあまり好きではなかったけれど、楽しくなってきた!」
という声を、学級担任時代に何度も耳にしました。
この鉄棒という種目は、
運動があまり得意ではない子どもを運動好きにさせてしまう可能性を大いにもっているのです。
子どもの中の確固たる成功体験が、
他のスポーツ分野への挑戦を促し、
結果的に、豊かな人生を送るために必要な
「運動を楽しむ姿勢」
を養ってくれるはずです。
非認知能力が育まれる
そもそも、なぜ鉄棒運動を
長期的に取り組ませようと思ったのか。
それは、非認知能力を育成しようとしたからです。
非認知能力は、いわば「生きる力」。
中でも重点を置いていたのが、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やり抜く力(GRIT)
レジリエンス(自己回復力)
主体性
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
です。
鉄棒は、一朝一夕でできるような運動ではありません。
長期的に取り組むからこそ、成果が現れる運動です。
だからこそ、目標を決めた後も、
粘り強く、淡々と努力する必要があります。
その自分の思い描くゴールに向かって、
ひたすら情熱を燃やし、
毎日やるべきことを淡々とこなし、
最終的に達成の喜びを味わう。
これこそがやり抜く力です。
その力が鉄棒運動では、大いに育まれます。
また、
最初は上手くいかない経験ばかりであったのが、
一度を技を身につけることによって、
成長スピードを速め、
次々と技を覚えていきます。
この
「例え失敗してもやり遂げることができた経験」
こそが、レジリエンスの源となります。
レジリエンスは逆境力とも言われます。
人生で現れる困難を乗り越えていくという、
とても重要な生きる力です。
だからこそ、
長期的にその力を育むことができる鉄棒運動は、
教育的価値が大変高いものであるといえます。
そして主体性。
筆者の学級では、
教師に言われなくても、友達同士誘い合って、
毎日、毎休み時間、
子どもたちは、鉄棒を練習しに行っていました。
これこそが主体性です。
おそらく、友達と技を見せ合うことや、
自分自身が成長していくことが、
面白くて仕方がなかったのでしょう。
その成長する喜び・分かち合う喜びを味わえるのも、鉄棒の醍醐味をいえます。
まとめ
最後に、この年度に発行していた学級通信の内容を紹介します。
運動が苦手と本人が思っていればいるほど、
成功させたときの効果は凄まじいものがあります。
その成功体験の濃密さが、
子どもを「変えて」いくのです。
この3学期の時期は、
毎日10人~15人ほどの子どもが、
新しい技が次々とできるようになっていました。
1日5分、蒔き続きてきた種が、
次々と芽吹き始めた時期でした。
学級の好きな遊びアンケートでは、
鬼ごっこやドッジボールを差し置いて、
鉄棒、縄跳びが1位となっていたほどです。
(縄跳びも毎日のように行っていました。)
鉄棒は一度連続して回り続けることができる
「回旋感覚」を身に付けると、
驚くほど他の技に対する習得スピードが加速します。
一人でも多くの子どもが運動の楽しさを心から味わい、一つでも多く自分の可能性を信じることができるようになればと、願っています。
具体的な補助のやり方や、より詳しい指導法の詳細などは初期の頃に書いたボリューミーな記事に載っていますので、そちらをご覧ください。
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いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!
明日の記事は、
たった1回の挨拶で人生が変わる?
「ご挨拶の法則」
です。
挨拶の重要性は誰でも知っている。
気持ちのよい人間関係を保つため。
では、全国に出場する超一流のスポーツチームが
挨拶を大切にするのはなぜでしょうか。
そのような一歩深い「挨拶」にまで踏み込みます。
是非、楽しみにしていてください🎵
皆さんの今日・明日がよき1日でありますように😊
共育LIBRARYは、りょーやんの記事だけではなく、
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