LD支援×作文指導 文章上達のステップを解明
ようやく迎えた金曜夜!
充実した週末するために必要なのは、金曜夜のちょっとした仕込み。
ここで土日の全体像を考え、ほんのちょっとだけ予習しておく。
それだけで土日のクオリティがぐっと上がるはず♪
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教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌
どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
作文。
それは子どもたちにとっては、どちらかと言えばマイナスなイメージの学習。
(note民にとっては別かもしれませんが笑)
「今日の授業は作文です。」
そう告げると
「え~」という声が聞こえたり、
しかめっ面をつくる子どもたちがちらほらと出てきます。
それは、これまでの蓄積から、作文=苦手という意識が植え付けられているから。
しかし、適切なステップを踏めば、作文という自由な創作活動を楽しませ、自分の作品を満足気にじっくり見返すような子どもの姿を教室でつくることができます。
例えば、ある年に受け持った3年生の作文。
このような形で、会話を使いながら、躍動感ある文章を書くことができています。
去年までは作文の時間は沈没していた子どもも、2枚3枚と作文を書いていく。
それは、LD支援の視点を入れた作文指導をしているからだと思います。
この記事では、作文の基本を身に付けるためのステップをLD支援のパーツを織り交ぜて、解説していきます。
国語は基幹教科と言われるように、文章を書くことは全ての学習に通じる行為です。是非、最後までご覧ください。
作文に必要とされる能力
言語を習得するステップが、
聞く → 話す → 読む → 書く
であるように、「書く」はかなり高度なことを要求される行為となります。
なぜなら、書きたい内容をイメージしながらも、語彙の検索、文字の検索、文法の判断、文脈の判断などを、手と目を協調させながら同時並行にこなしていかなければならないからです。
脳の前頭葉の実行機能において、理想的な作文に行着くまでのステップを瞬時に計画(プランニング)しなければならない。
加えて、ワーキングメモリの記憶保持の容量や記憶保持時間が少ない状態であれば、次に何を書こうとしていたかを忘れてしまう。
そして、エピソードバッファという長期記憶から必要な語彙や文字を検索する能力が低ければ、いちいち適切な文字や表現を探すのに時間がかかってしまい、イライラしたり、疲れ切ったりしてしまうのです。
だからこそ、いきなり作文に取り組ませるというのは非常に高度な要求となってしまうのでしょう。
書く耐性をつけるステップ
まず子どもの「書く耐性」をつけるために、絶対に欠かせないものがあります。
それは「意欲」です。
作文が不得手な子どもは、そもそも意欲を引っ張り出すことが難しい。
ワーキングメモリや実行機能の能力値の関係上、人一倍のエネルギーを作文に使うはず。
それなのに、成功体験が得られなければ、アレルギー反応を起こすのは必然。
であるならば、まずは確実な成功体験を積ませた上で、少しずつ作文のスキルを習得させていくのがよいでしょう。
つまり、必要なステップは以下になります。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
❶視写
❷短い日記
❸中級程度の日記
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
このようにして、書く基礎体力を付けさせた上で、作文、意見文、報告分、分析文、紹介文、観察文、物語などの多様な文章の形を習得させていき、総合力を高めていくのです。
❶~❸のステップをもう少しだけ掘り下げていきます。
❶視写
子どもたちの作文の意欲を減退させる原因を一言でまとめると「書くスピード」となります。
子どもたちは「早く書けない」とイライラしてしまったり、エネルギーを消耗していしまう。
(※「速く」ではありません。)
だからこそ、「見て写す」という視写を行います。
例えば、「うつしまる」という教材。
これは教科書準拠なので、教科書教材が視写できるようになっています。
そして、ページによっては、タイムトライアルのようなものがある。
つまり、10分間でどれだけ書けるかが可視化されるようになっており、それを定期的に行うことによって、成長を実感できるようになっているのです。
このような教材を使ったときに、LDの子が不平不満を言う姿を筆者は見たことがありません。
なぜなら、LD傾向の子どもは「できる」に飢えているから。
この視写は誰でも「できる」ので意欲が湧きたつ。
この視写と同時並行で日記に取り組みます。
❷❸日記(短文~中級)
筆者は、よく宿題を出さない代わりに、日記を自主学習として出していました。
宿題となるドリル・スキル類は、基本的に授業が無駄なく、効率よく進むので、授業時間内に終わらせることができるからです。
最初は、
「何を書けばよいのか分からない」という子どもが多く生まれます。
ただ、授業で書き方を扱い、手本も渡しながらやると、少しずつ少しずつ書けるようになっていき、長文の作文に対しても、いつの間にか「書けて当たり前」レベルにまでなる。
それぐらい日記は大事なのです。
人間は2週間で新しく始めたことが習慣化すると言われます。
なので、日記もスーパースモールステップで少しずつ付け足すようにしていくのです。
といった具合に2週間ごとに一文ずつ増やす感覚で、少しずつ書けるようにしていくのです。
それが原稿用紙200字程度になり、やがて、400字程度に変化していけば、大分力が付いたと言ってもいいでしょう。
これは1年生やLDの子どもに対しての視点ですので、もっと大まかなステップで上達できる子どもは、もちろんそれで構いません。
日記は3つの段階があります。それが
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Ⅰ 毎日書く
Ⅱ 長く書く
Ⅲ 1つのことについて長く書く
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
です。
さらに日記を上達させるステップはまた別のときに記事にできればと思います。
授業で行う作文指導の実際
上記のような基礎体力を年間を通じて付けさせていく中で、作文の授業を行います。
でなければ、多くの脱落者を生んでしまいますし、作文が「楽しむ創作活動」ではなくて、「失敗しないため」のビクビクと進める時間になってしまうので。
作文の指導の中で何が最も大切なのかと問われれば、間違いなくこれだと答えます。それが、
「手本」
です。
筆者の場合は、以下のようなステップで作文指導を進めます。
テーマは、「1年間で心に残ったこと」だとして。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
①1年間で心に残ったことを発表させる
②自分のテーマを決める
③教師の作文の完成形の手本を渡す
④構成表の手本を渡す
⑤手本を見ながら構成表を進める
⑥構成表を完成したら作文を書く
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
といった具合です。
とにかく、構成表でも手本。
作文本体でも手本。
常に手本が手元にある状態をつくります。
例えば、以下のような手本です。
(データを残した形式の関係で多少見づらい部分があるのは御容赦ください。)
このように手本を用意し、読み上げて(「読み」が不得手な子どもがいるため)、最終形をイメージさせます。
すると、安心して取り組むことができるのです。
そして、もう1つ大事なことは、
読んでいてワクワクする手本であること。
教科書に載っている手本は、構成が分かりづらく、筆者的にはワクワクしないものが多いのです。
それでは子どもの意欲は湧き立ちません。
「こんな作文を書いてみたい!」
と、支援が必要な子どもにも、作文が得意な子どもにも思わせなければいけない。
ここがうまくいくと、クラス全体はやる気モード。
そして構成表を書いていきます。
この時に提示した構成表の手本がこちら。
作文の手本と連動しており、構成表のどの部分が、作文上どこに表記してあるかかが分かるようになっています。
この授業では、全員に「書き出し文の工夫」に挑戦させていますが、それはまた別の記事で。
この構成表を書かせる時に、やってはいけない指示は、「構成表ができたらもってきましょう」です。
ではどうするか。
それは、
「『書き出し』だけできたらもってきましょう」
と指示するのです。
そうしたら、教師はサッと見れますし、適切な表現にサッと直すことができます。
子どもも早めの段階で直せますし、直す箇所もそこまで多くないのでお互いにストレスがない。
それを、
「『切りかえの出だし』ができたら・・・」
「『中』ができたら・・・」
「『終わり』ができたら・・・」
とその都度行っていくのです。
そして構成表全体の合格をもらえたら、後は作文を書くだけ。
構成表の通りに書けば作文ができるようになっていますし、困った時は作文の手本に立ち戻ればよいのです。
加えて、手本には以下のように評価項目が記載されています。
より工夫した作文を書きたいと思えるように、評価が上がるポイントを明記しておくのです。
すると、作文の得意な子どもでも
「最高得点を狙うぜ!」
とやる気が出ますし、
作文が不得手な子どもでも、
「AAA(トリプルエー)まではいきたいな♪」
と「楽しさ」を生み出すことができます。
それでもなかなか書けない子どもがいたら
このようなステップを踏んでも書けない子どもがいたら、個別支援を行っていきます。
様々助言をして一緒に考えていく。
ただ、様々な支援をやり尽くしても、なかなか動き出せない場合は、この作文単元自体のレベルが本人に合っていないのです。
その場合は、教師の手本を半分写して、少し自分の感想を加えてといった形をとることもあります。
この記事でも述べたように、「書く」ための最初のステップは視写。
単元の作文についてこれない状態なのであれば、まだ基礎体力が付ききっていないということ。
それを補う意味でも、視写を中心として進めればよいと思います。
まとめ
この記事でまとめた作文指導は、まだほんの一部です。
他にも、筆者は、作文力を向上させるために、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レトリック(文章のおしゃれ)
日記の更なるレベルアップ
評論文/意見文の指導
物語文の創作
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
など、様々なことを行ってきました。
それらの記事も、また紹介することができればと思います。
作文指導で最も大切なものは「意欲」への支援。
是非、ワクワクさせるような題材、手本を用意して、「文章の創作っておもしろ!!」と思わせてあげてほしいです。
この記事の内容が少しでも「よかった」「ためになった」と思われた方は、「スキ」や「フォロー」をしてくださるとうれしいです!
「コメント」も残してくださる有難いです!コメントを読んだ方々が、より教育についての知見が深めることができる図書館でありたいと思います。
いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!
明日の記事は、
心を動かす授業をつくる「教材研究」方法を大公開!
です。
これまで幾つかの授業を公開してきた筆者ですが、その授業をどのように作っているのかという舞台裏を公開します。多分、相当変わっている方法です笑
是非、楽しみにしていてください🎵
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