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食い意地が張れない。

コンビニで「チョコバナナのクレープ」という商品を見かけた。小さくて薄いクレープ生地の中にチョコレートやスライスしたバナナ数枚、それと生クリームが入ったものを丸く巻き上げた、よく見かける生菓子だ。
思えば高校生の頃によく食べた食べ物のひとつがチョコバナナクレープだった。校内にある売店で売られていたそれは、厚めに焼かれたクレープの中にふたつに切り分けられたバナナ1本と砕いた板チョコレート、そしてたっぷりの生クリーム、という恐ろしく巨大なものだった。それが200円くらいの価格で売られていたのだから毎日飛ぶように売れたのは言うまでもない。もちろん、自分も良く買って食べた。

が、ある日突然その大人気クレープは忽然と売店から姿を消してしまった。噂ではクレープの中から蜚蠊が出てきたから、というのもあったが、実際の理由は分からないままだった。それから数ヶ月して復活したチョコバナナクレープは以前よりもひと回り以上もサイズが小さくなっていた。

このクレープは自分にとっての「もう二度と食べることが出来ない、もう一度食べてみたい食べ物」のベスト3に入る。
ふたつ目は幼い頃に母親が作ってくれた「パンのミルク粥」というもので、温めたミルクにほんの少しだけ焼いた食パンを四角く切ったものを浮かべて少量の砂糖を振りかけ、パンが牛乳で柔らかくなった頃合いに食べるというもの。しかしながら、これは子供時分の舌にこそ美味しいと感じられた料理じゃないかと思う。現に今食べたらふた口程で甘さと崩れた食パンのグニャリとした食感に嫌気がさしてしまうはず。だからこの料理は厳密に言うと「もう二度と"あの頃のように美味しく"食べることが出来ない食べ物」だ(大好きだ、という方がいたらごめんなさい)。

そしてもうひとつは「海老フライ」。
特に名店で供されるような大それたものでなくても良いし、何なら弁当に入っているものでも良い。とにかくあのサクサクとした衣とプツンと切れる海老の食感が味わえるならば良い。
しかし、自分は10代半ばに甲殻類アレルギーを患ってしまい、もう二度と海老、蟹を食べることは出来ない。
海老フライだけでなく、天ぷら、天丼、海老チリ、中華丼、チャンポン、桜海老をふんだんに含んだかき揚げ、カニ玉、カニしゃぶ、茹でたての蟹の肉…。発症する前に食べてきたこれらの料理がどれだけ美味しいものかを自分は知っている。けれど、食べたら最後。あっという間にアレルギー反応が出てしまう。その中でも海老フライは断トツ1位。という訳でこれが3番目。

そういう訳で小西康陽氏のエッセイに出てくる「カニ缶とたっぷりの大根おろしをご飯にのせた丼もの」の味を自分は知らない。もしも、あなたが甲殻類アレルギーでないならば、ぜひお試しあれ。

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