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【47エディターズ】サンダーバードから紅こうじ、働き方改革、万博、地域おこしまで「今」読みたい記事がここに

共同通信では、注目ニュースの背景や、知られていなかった秘話、身の回りの素朴な疑問などを深掘りしたインターネット向けの記事「47リポーターズ」を随時配信しています。

当コーナー【47エディターズ】では、現場の記者が書いた記事の最初の読者であり、その狙いや内容を精査し、時に議論を交わして編集を重ねたデスクが、4月の47リポーターズ計8本をご紹介します


◆ 金沢発最終のサンダーバードに乗ったら…粋な車内アナウンスに涙腺がゆるんだ 北陸新幹線延伸開業に伴い、金沢―敦賀間から姿を消した在来線特急

こちらの記事は3月18日に大阪支社noteで公開されていた「金沢発、最終サンダーバードに乗ってみた!(粋な車内放送ご紹介します、音声・文字起こしあり)」を読み、「ぜひ47リポーターズにしませんか。さらに47リポーターズの筆者が語るポッドキャスト番組『きくリポ』にも出演してほしいです」とデジタルコンテンツ部からお願いしたものです。

珍しい車内放送の文字起こし付きという記事そのものの面白さに加え、「鉄道」というジャンル、しかも金沢発最終のサンダーバード、そして車内アナウンスの音声ありとデジタルコンテンツ、音声コンテンツ両方で人気となるに違いないと確信していました。異例ではありますが、リード文を加え、結びの部分を変更した以外はnoteの記事をほぼそのまま生かしました。リポーターズもよく読まれましたが、何より貴重な車内アナウンス音声を含むポッドキャストは多くの鉄道ファンの関心を集め、「きくリポ」歴代2位のDL数を記録しました。番組へは、鉄道には興味がなかったリスナーからも「心を打たれた」との感想が寄せられています。ぜひポッドキャストも合わせてお楽しみいただけたら嬉しいです。(米良)

◆ 小林製薬「紅麹」結局何が問題なの?公表までに2カ月、謎のプベルル酸、サプリ市場に影… 「医薬品と同等の管理が必要なケースもある」と専門家

「まさかサプリを摂取して…」。3月下旬、ニュースに接した多くの人がこう思ったのではないでしょうか。紅こうじ原料を使ったサプリメントと関連が疑われる健康被害を小林製薬が公表してから1カ月余り。原因究明には程遠く、もやもやが拭えません。この特集は、現時点で分かっている経緯と背景、そして近年売り上げを伸ばしている機能性表示食品が内包する構造問題をまとめました。大阪経済部小嶋捷平、石井祐、浜田珠実の3記者が総力を挙げて取材し、科学の専門知識を持たない人でもすんなり理解できるよう、かみ砕いています。新聞が断続的に報じる記事を読んでも全体像がつかめないという人に自信を持って勧めたい内容です。(浜谷)

◆ 65歳の病院長なのに激務…拘束38時間、当直明け26人診察 地方の深刻な人手不足 医師数〝最多〟の県で、なぜ?

さまざまな職業で「働き方改革」の必要性が叫ばれていますが、医師もその一つ。徳島県南部地域の医療を取材した徳島支局の別宮裕智記者の記事は、65歳の病院長が激務をこなさなければ回らない深刻さを浮かび上がらせました。この問題は日本の過疎地全般に共通しています。「人口当たり医師数が最も多い」徳島でさえこの現状と書くことで説得力が増します。記者の着眼の良さが光った力作だと感じました。(斉藤)

◆「刑務官の実弾射撃訓練、新人はもうやめます」意外に知らない刑務所の変化 監獄改良→国家が理想とする人間に→力による押さえ込み→事細かな規律→再犯防止へ

高松支局の広川隆秀記者は、刑務所に限らず「矯正の現場」を幅広く取材し、これまで何度も47リポーターズを書きました。よく読まれる記事も多いですが、今回はあまり読まれないだろうなと編集段階では感じていました。理由は、インタビュー記事だからです。Q&A形式の記事は、記者のレポートに比べてPVが伸びないケースが多いです。今回の記事は、刑務所の待遇の歴史が書き込まれた興味深い内容だっただけに、もったいないと思いました。しかし、配信後はヤフートピックスに掲載されたこともあり、比較的良く読まれていました。中身が良かったからだと思います。デスクとして認識を改めた記事でした。(斉藤)

◆「うつるから話しかけないで」クラスの友だちが急によそよそしくなった…ある障害を抱えた女性は「注文に時間がかかるカフェ」を開いた

大阪社会部西村曜記者高松支局吉田梨乃記者の合作です。
記事では、言葉に詰まってしまう「吃音」の当事者であり、当事者の方が店員を務める「注文に時間がかかるカフェ」という一風変わった啓発活動を続ける女性の取り組みを紹介しました。
西村記者はできるだけ多くの人に関心をもってクリックしてもらえるように、記事の見出しや、本文の最初の方で「吃音」という単語をあえて出さないなど、「次が気になるように」記事を書こうと努めていました。取材した後の思いとして「編集後記」も書いていますので、ぜひ読んでみてください。(戸口)

◆ 万博はもう中止できないのか?「オリンピックと同じ末路に」専門家は警鐘、でも政府は「能登」を横目に開催へ突き進む

トレンドの移り変わりが激しい現代において、時流を読む力の必要性を改めて実感しました。

何かとお騒がせな大阪・関西万博の開幕まで1年となる4月13日に合わせて、新聞用の記事とともに用意したのがこちらの47リポーターズです。筆者は大阪社会部行政担当の伊藤怜奈記者「開幕1年前の現在地」を描く上で何を中心に据えるべきか、伊藤記者が同僚と頭を悩ませ、対話と取材を重ねる中でたどり着いたのが今回のテーマ、「万博はもはや中止も延期もできないのか」でした。

ネット上ではいまだに「万博中止」のハッシュタグが飛び交い、能登半島地震を受けて世論の厳しさは増し、それでも主催者側は準備にひた走る。「世論無視」で強行された東京オリンピックと同じ構図だと喝破する専門家の分析も交えたコンテンツにした結果、賛否両論、想像以上に多くのコメントが寄せられました。記事を読み込んだ上でコメントしてくださっている方が多く、問題意識が届いているという手応えを感じることができました。

能登半島地震の被災者が万博に何を思っていたかについては、当時、被災地取材に加わっていた鳥取支局の古結健太朗記者が現場で耳を澄ませてくれました。日々の生活だけで大変な渦中にあって、取材に協力いただいた皆さんには感謝しかありません。

現代社会において、万博という国家的事業に意義や価値はあるのか。読者、フォロワーの皆さんに報道機関として何を伝えるべきか。伊藤記者をはじめ、現場で取材に当たっている記者は文字通りウンウンうなりながら万博と向き合っています。「バズればよし」ではなく、「分かる人にだけ読んでもらえばいい」でもなく、より良い理解と気付き、共感につながるコンテンツの発信を今後も目指します。(関)

伊藤記者による音声解説「聞くリポ」も無料公開に合わせて配信しています。こちらもお聴きいただければ幸いです

同じく伊藤記者が監修したインスタグラムのリール「1分で解説 大阪・関西万博まで1年」はこちら(大阪支社アカウントのフォローもぜひお願いします)

共同通信大阪支社 on Instagram: "@kyodonews  👀機運向上へ正念場の1年  2025年大阪・関西万博の開幕1年前となった4月13日、日本国際博覧会協会(万博協会)が東京都内で記念イベントを開きました。会期中のスタッフの制服を発表し、岸田文雄首相はビデオメッセージで「会場には未来社会の姿が現れる。行動を起こすきっかけになることを期待している」と呼びかけました。低迷する機運を高められるか実行力が問われる1年となります。   【ニュースはこちら】 https://www.47news.jp/10787158.html     #大阪関西万博 #expo2025 #開幕1年前 #日本国際博覧会協会 #万博協会 #記念イベント #開催 #未来社会の姿 #行動を起こすきっかけに #低迷する機運を高められるか #実行力 #問われる1年に #大阪 #夢洲 #osaka #kyodonews #1分で解説" 9 likes, 0 comments - kyodonewsosaka on April 13, 2024: "@kyo www.instagram.com

◆ 田舎へ移住して給料ももらえる…「地域おこし協力隊」7人に聞いた現場のリアル

高知支局野島奈古記者(現札幌支社編集部)は、高知県内をくまなく取材で走り回るうち、各地で活躍する「地域おこし協力隊」の皆さんの存在に気づきました。都会から田舎に移住した個性的な人たち。協力隊って何?どんな人?制度の課題は?高知県外にも取材範囲を広げ、記事をまとめました。(角南)

◆「『逆らえば地獄に落ちるぞ』住職にマインドコントロールされ、性暴力を14年間受けた」 口をつぐむ大僧正、真実は…

高松支局の吉田梨乃記者の記事です。
この性暴力の告発の報道は、今年1月の東京での記者会見からスタート。吉田記者は3月に天台宗側の聞き取りを受けた後に大津市で開かれた会見から取材に参加しました。しかし、いずれの記事も告発の全容を伝えるには不十分。吉田記者はさらに女性や加害者とされる天台宗側、専門家などへの取材を重ね、なぜ女性が告発を決意したのか宗教界における性暴力とはどのようなものなのか、伝える記事を書き上げました。

宗教界における性暴力は世界でも問題になっています。吉田記者はこの告発を世界に伝えたいと考えていました。そこで当初から英文ニュースとすることを計画し、担当する海外部とともに作業を進めました。

加害者の処分を求める告発への天台宗側の回答はまだ出ていません。引き続き取材を続けるとともに、性暴力の告発をどのように報道するのか。その方法や取材対象との向き合い方については、あらためて伝えていきたいと考えています。(中田)

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