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(無料公開中)No.21 - 自分の「過去」を活かすことでしか、キャリアの「未来」は拓けない。

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こんにちは、安斎響市です。

今日は、ちょっと大事な話をします。


私自身も、自分の過去のキャリアの分岐点だったと思っている内容です。


「転職で人生大逆転」は、可能か?


私はいつも、Twitterやnoteなどで、転職とキャリアに関する情報発信をしています。

読者の皆様からの質問も、随時募集しています。

  • 過去の一貫性のないキャリア、職歴のブランクなどが引っかかって、転職活動が上手くいきません。どうすれば、上手く切り抜けて転職を成功させられるでしょうか?

  • 28歳、職歴なし、無職です。ここから転職で人生逆転する方法を教えてください。

  • 適当に就職した結果、新卒6年目で特に何の実務経験もないです。ここからキャリアを立て直して挽回するためにはどうしたらよいでしょうか?

このような質問が、私の元には日々送られてきます。



面接において、「転職回数が多いのはなぜ?」「職歴にブランクがありますが?」「なぜ異業界への転職を?」などの厳しい質問にどうやって対処すればいいかは、新刊の面接対策本に詳しく書いたので、そちらを読んでください。



一方で、今までのキャリアのマイナスを一気に取り返すような、「転職で一発逆転」みたいな話は、現実的にはほとんど不可能だと、私は思っています。

夢のない話かもしれませんが、それが現実です。



Twitterに無数に転がっている、

  • 全くの未経験の私が、PCとスマホだけでたった3カ月で月収50万円稼げるように!

  • 副業で始めたFXのおかげで借金完済し、サイドFIREを実現!

  • Fラン卒・スキルなし・年収250万から40代大企業転職で年収1,000万、人生大逆転!!

みたいな話、全部、詐欺です。

残念ですが、こういうのに付いていくと、高確率で、逆にお金を失うことになります。



「過去」を捨ててしまったら、「未来」もなくなる


私は、転職の可能性を信じています。

転職は人生を変えるイベントだと、信じています。


しかし、「転職で人生大逆転」できるか? と言われると、それはちょっと違うのではないか、と思ってしまいます。

転職って、そんな宝くじみたいなものではありません。


転職活動とは、自分という人材を売るための「営業活動」です。

自分の過去の経歴と保有スキルを、誰に・どうやって・売るかという工夫次第で、自分の価値は何倍にも膨れ上がります。


しかし、それは自分の「過去」を活かすことでしか存在しない「未来」です。

「過去」を捨てると、「未来」もなくなります。



例えば…

「転職で自分の適性に合う職場を見つけることができたおかげで、今までとは打って変わって、生き生きと働けるようになった」とか、

「自分の能力が正当に評価される会社に転職できたことで、今までより年収が200万円以上も上がった」という話は、

十分にあり得ます。



しかし…

「過去の職歴を全部捨てて、未経験のIT業界に勇気を出して飛び込んだら、圧倒的成長ができて、年収も 300万円 ⇒ 1,000万円以上に!! 」

「これまで大した経験もスキルもなく、英語も全くできなかったのですが、外資系コンサルに転職したら年収があっという間に1,500万円を超え、管理職に昇進!!

みたいな話は、広告の中だけに存在するもので、現実には、ほとんどあり得ません。



自分の過去を冷静に振り返り、その先にどんな道筋を描けるか? 自分の過去の経験をどう活かし、どんな道を選べば未来が拓けそうか? という深い深い考察と、キャリアの過去と未来をつなぐ「ストーリー」作りができない限り、転職した瞬間にポンッ!と未来が明るくなることなんて、あり得ません。

転職って、そんな「魔法」みたいなものではありません。


今日のメインのお話は、「自分が過去に通ってきたキャリアを上手く活かすことでしか、未来の道筋は見えてこない」ということ、

そして、

自分自身の「過去の呪縛」から逃れるために、現実的に何ができるのか? ということです。



目の前にある「選択肢」は、自分の「過去」によって決まる


まず、忘れてはいけないのは、転職というターニングポイントにおいてさえも、自分の未来は、自分で自由に選べるわけではないということです。

Googleに入りたい、と思って、本当に入れるなら苦労しません。

年収1,500万円以上の仕事に就きたい、と思って、本当にそんな仕事に就けるなら苦労しません。


実際には、「入りたい会社」と「入れる会社」は違います。


そして、

自分の目の前に広がる「選択肢」は、自分の「過去」によって決まるんです。


どういうことかと言えば、


どんなに自分自身が「ここではないどこか」へ羽ばたきたいと強く強く願ったところで、目の前の現実として選べる選択肢は、「自分の過去」をベースにしたものしか、実際に選ぶことはできません。


「自由な選択」などというものはこの世には存在せず、目の前に現れる選択肢それ自体が、すでに自分の過去をベースに、必然的に選択されたものだからです。


ある人には、A, B, C という選択肢があるとします。それを、自分で自由に人生を選べる選択権が与えられた、と思いますか?

そのとき、他の人には、A, B, C, D, E, F, G, H, I という選択肢があります。

また別の人には、E, F, G, H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R という選択肢があったりします。

人によっては、R, S, T という選択肢しかないかもしれません。


何が言いたいかというと、過去に歩んできた道のりによって、将来選べる選択肢も一人一人、内容が違うということです。



最近のミーハーなビジネス書とか、YouTubeとかでよく見る「僕たちは、何にでもなれる」みたいなの、私、あまり好きじゃないんですよね。

だって、それ、嘘だから。

「何にでもなれる」わけがないから。



自分が通ってきたキャリアに、自分自身が縛られる


結局は、自分が積み上げてきた小さな小さなもの、一つ一つの積み重ねの延長線上にしか、自分のキャリアの未来はありません。

「自分の過去」を、誰に・どうやって・売るかが肝要なのです。


それを買ってくれない相手には、いくら売りに行っても無駄なんです。

自分が過去に積んできた経験は、誰にところに持って行って、どういう言い方でアピールすれば、高い金額で売れるのか? というのが転職活動の極意です。



逆に言えば、「売りに行く相手」を間違えると、非常に安い金額で買い叩かれて終わりですし、

自分が将来目指している方向が、自分が過去に積んできた経験と全く別の方向だった場合、自分を「激安価格」で叩き売りする以外に、その道に進む方法がなくなります。


つまり、自分の夢や目標を叶えるために、年収・待遇を捨てることになります。



例えば、金融業界で15年経験を積んできた人が、その経験を活かしてIT業界のファイナンス部門に移るのは、不可能ではないでしょう。年収が上がることも期待できます。

一方で、高校教師の仕事を過去10年やってきた人が、ITエンジニアに転職したいと言い出した場合、恐らく、過去の経験はほぼ無駄になり、新卒1年目と同じ給料でしか雇ってもらえなくなります。

社会人10年以上経っているのに、仕事のレベルは新卒1年目なので、当然、IT業界の中でキャリアアップしていくのも、かなり絶望的でしょう。経験年数のビハインドを取り返すくらい、よほど高いスキルがないと無理です。

そもそも、「高校教師10年」という経歴の人をエンジニアとして雇いたいIT企業はほとんど存在しないので、「ITエンジニアに転職したい」という希望自体が、明らかに無謀です。

自分が過去に通ってきたキャリアに、すでに自分自身が縛られているのです。




もし、どうしてもIT業界で働きたいという希望があるのなら、過去の学校教育現場での経験を活かし、「教育」x 「IT」の分野で、オンライン授業の推進や、宿題アプリの開発に貢献したいなど、何かしら、自分の過去を活かした転職ルートを探す必要があります。

学校教育の現場経験が10年ある人が企画・開発に携わっている教育アプリやオンライン授業サービスは、学校関係者や保護者から好まれる、非常に質の高いものになりそうなので、こういう切り口でIT業界に「自分の過去」を売ることは、現実的に可能です。



以上は極端な例ではありますが、本質はこういうことだと思います。

「自分の過去を上手く売る」ことなしに、キャリアの成功はありません。



「こんなはずじゃなかった」と思う頃には、もう遅い


自分が歩んできた「過去」の道のりに、自分の「将来」は、確実に縛られます。良くも悪くも、影響を受けます。

過去を捨てて、未来をゼロから考えても、自分が損をするだけです。


「過去」に歩んできた点と点が、一本の線で「未来」につながるようなキャリアのストーリーを構築できない限り、転職活動の成功はありません。

「自分の過去」の延長線上にしか、「自分の未来」は拓けません。



転職によるキャリアアップとは、その人が本来持っているスキルや経験が、それらをより高く評価してくれる企業と上手くマッチングすることによって実現できるものです。


よく、「私にはこれといって何も経験はないのですが、こんな私でも転職はできますでしょうか?」などという弱気な意見を言う人がいますが、

何も持っていない人に、転職は不可能です。


というか、「何も持っていない人」なんていません。5年以上の職歴がある人なら、「何か」は持っているはずです。


自分が持っているものは一体何なのか?

「何」と定義すれば魅力的に見えてくるのか?

それは、誰から見て、一番価値があるものなのか?


それを考えるのが、転職活動です。



そして、現在、自分が進みかけている道が、自分が思い描く将来にまったく繋がらない道だった場合、

あなたは、5年後、10年後に死ぬほど後悔することになるかもしれません。



これが、今日の主題です。


自分が歩んできた「過去」の道のりに、自分の「将来」は、確実に縛られます。

なんか違うな? と思っているのに、惰性で経験年数だけ増えていくと、どんどん自分のキャリアが、その方向に縛られていきます。



なんとなく、キャリアを重ねてはいけません。

会社の人事異動に身を任せて、望まない職歴を積んではいけません。

後悔します。
5年後、10年後に。



私は、新卒入社した会社で、入社5年目・27歳の時に「このまま今の職場で何年も職歴を積むと、自分のキャリアがおかしな方向に行ってしまう」という強烈な危機感を持ったため、思い立って、はじめての転職をしました。

「5年後に転職活動をしても、その頃にはきっと手遅れになる」と直感的に感じたので、当時の職場の人間関係や待遇などには非常に満足していたにも関わらず、会社を去るという決断をしました。

それから、色々と辛いことはありましたが、結果的に、あのとき転職を志したことは間違いではなかったと、心から思います。


周りに流され、会社に従い、人事異動に振り回されるがままに自分のキャリアを重ねていたら、私は今頃、つまらない日系大手老舗企業の平凡な会社員の一人として、「自分が本心では望んでいない不本意なキャリア」を歩み、大したことない金額の年収しか稼げず、田舎街で同期に愚痴を言いながら過ごしていたでしょう。

そして、自分が思考停止で積んでしまったキャリアに、自分自身がガチガチに縛られて、身動きが取れなくなっていたと思います。


あのとき、他の誰でもない自分の意思で、「このままじゃダメだ」と思い立って、はじめての転職をしたのが、自分のキャリアの大きなターニングポイントでした。


35歳になった今、「こんなはずじゃなかった」ではなく、「あのときの自分は正しい選択をしたし、現在も、自分は正しい道を進んでいる」と本心から思えている私は、本当に幸せなんだと思います。

35歳で、「こんなはずじゃなかった」と思っても、ほとんどの場合、すでに手遅れだからです。


10年、15年と過去に歩んできたキャリアは、自分の味方にもなるし、敵にもなります。過去からは、逃げることはできません。


過去をやり直すことは、できません。

できるのは、「このままじゃいけない」と気づいて、手遅れになる前に軌道修正することだけです。



おわりに


また夢のない話を書いてしまった…… と思いつつ、

「高校卒業後、無職でフラフラしていた自分が、転職で一発大逆転!」みたいな話は大嘘なので、私はそういうキレイゴトは書きたくありません。


ビジネス書を何冊も書いている私が言うのもなんですが、最近のビジネス書って本当にミーハーな内容の本ばかりで、「これさえ読めば誰でも成功できる!」みたいな甘いことばかり言ってて、私はあまり好きじゃないです。


誰にでも、何歳からでも、挑戦はできます。

ただし、その挑戦の「勝率」や「可能性」は、人によって大きく異なります。


自分が選べる将来の「選択肢」は、自分が過去に歩んできた道のりによって、大きく左右されてしまいます。

過去は取り戻せないからこそ、取り戻せるうちに、引き返せるうちに行動を起こしましょう。


以上、お相手は、安斎響市でした。



転職攻略noteや書籍も、よろしくお願いいたします!!


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