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巻一

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【平家物語の各章段を1Pまんがにしています。】有名な「祇園精舎」のフレーズから物語が始まります。
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【平家物語】巻01_01 祇園精舎

【平家物語】巻01_01 祇園精舎

ちなみに、「沙羅双樹」は現在は「ナツツバキ」のことを言うようなのですが、実際は別の木だそうです。調べてみたのですが、その木の画像がどれなのかわからなかった…。でも見た目がそっくりだからナツツバキを沙羅双樹と言うようになったそうなので、まぁいいかとナツツバキ見ながら描きました。
上の絵では花びら散らしてますけど、椿ってことは、ポトリと花が落ちるんですかね。

【平家物語】巻01_02 殿上闇討

【平家物語】巻01_02 殿上闇討

忠盛への貴族のイジメと、忠盛のナイスいじめ回避のエピソード。忠盛が自分のパロディソングを宴会で歌われて退出した後の、側近・家貞とのやりとりもカッコ良いのですが、似たようなコマ割りの話が今後出てきそうなので、こっちの場面にしました。
主君を心配する家貞が「どうでしたか?」と訊いたとき、忠盛は「何事もなかった」って答えるんですよね。「ひっでぇ歌でからかわれてさー」ってホントのコト言ったら家貞がブチ切れ

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【平家物語】巻01_03 鱸

【平家物語】巻01_03 鱸

さかなをたべーるとー、あたまがよくなるー♪ だけでなく栄華も極められるぞというお話でした。
当初、忠盛と女房との和歌のやりとりを描こうかと思いましたが、こっち(鱸が飛び込んでくる話)のほうがより本筋なので、こっちにしました。

ここで国司としての転任について。安芸→播磨がただの転勤なのか栄転なのかわからなくて調べてみたのですが、安芸は「上国」、播磨は「大国」。やっぱり出世が順調です。
ちなみに、「

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【平家物語】巻01_04 禿(かぶろ)

【平家物語】巻01_04 禿(かぶろ)

時忠は、平家物語を読んだときの私のイメージではこのまんがみたいな、ドラキュラ系おじさんでした。語尾に「ざんす」とかつけそうです。
有名な「平家であらずんば…」の一言は平家一門の印象を思いっきり悪くしてるわけですが、この人、直接の一門ではなくて、「清盛の奥さん(時子)の実家の人」なんですよね。

清盛の奥さんがもともと姓が「平」だったために、そして藤原だらけだったために、私はこの時代の女性が結婚して

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【平家物語】巻01_05 我身栄花

【平家物語】巻01_05 我身栄花

ようやく若いお兄さんたちを描くことができました。その勢いにまかせて、まだ名前は出てきてない人まで描いちゃいました…。
知盛の顔で少し迷ったのですが、読んだときの自分の印象どおり、あまり特徴のない顔にしました。今後の苦悩の日々で、彼の顔つきを変えていけたらよいなぁ…と。

娘は結局徳子だけ絵にしてみました。8人の内訳は(順番は名前が出てくる順)
1)藤原兼雅の妻
2)建礼門院徳子
3)藤原基実(近衛

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【平家物語】巻01_06 祇王

【平家物語】巻01_06 祇王

この章段の清盛は、ほんと極端に、ちょっと暗君成分入ってるレベルで「傲慢不遜な権力者」になっています。「私は芸をお見せに来ただけ、お傍にいる祇王様に申し訳ない」という仏御前に、「じゃあ祇王を追い出そう!」と即答しちゃう清盛の心変わりシーンは「おいおいおいおい!」とツッコミたくなるほどにデフォルメされてたキャラになってます。
あと、追い出した祇王を呼び出して「仏御前の為に何か歌って」とリクエストするく

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【平家物語】巻01_07 二代后

【平家物語】巻01_07 二代后

多子さま受難編。
彼女は、保元の乱で藤原氏の氏長者の座を争い敗れた、藤原頼長の養女です。この再入内の時点でまだ20歳ほど。
10歳ほどのとき、同じくまだ11歳の鳥羽院の子・近衛帝(母親は美福門院)に入内しますが、前述のとおり養父・頼長は、彼の兄である忠通との権力抗争真っただ中。忠通が直後に自分の娘を入内させ、その後近衛帝と頼長の関係悪化などもあり、多子はどんどん遠ざけられてしまいます。
…という状

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【平家物語】巻01_08 額打論

【平家物語】巻01_08 額打論


額板です。悩んだのは額板。インターネットでいろいろ見てまわり、宮内庁ページの天皇陵一覧まで見てきましたが、四方の門についても、そこにかかる額についてもよくわかりませんでした。額が横長なのか縦長なのかもわからない~。
四方に打つって言っても、どこなんだ~! そこまで大きくないじゃん!……とりあえず、お寺の門を参考にしました……。ところで。
寺社の額をかけたという平家物語のこの記述からも、二条天皇は

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【平家物語】巻01_09 清水寺炎上

【平家物語】巻01_09 清水寺炎上

お寺同士の関係が非常にわかりづらいのですが、平家物語を読んでる中では、

比叡山の延暦寺(山門)と、比叡山のふもとにある園城寺(三井寺/寺門)は仲が悪い。

延暦寺と、興福寺も仲が悪い。そのため、興福寺と園城寺はよくつるむ。

後白河院は延暦寺を「思うようにならないもの」の一つに挙げ、うんざりしてる。

平家と興福寺は仲良しではないが、だからといって延暦寺と平家が仲良しというわけでもない。

っっ

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【平家物語】巻01_10 東宮立

【平家物語】巻01_10 東宮立

六条帝の生母は身分が低く、そのため二条帝の中宮・藤原育子(前々回に登場した二代后・多子は中宮ではないのです)が養母となってました。この育子の後見は藤原忠通。しかし六条帝誕生の年に忠通は亡くなっています。
忠通の子どもたちは年若く、しかも平家と親しい。
その平家の長である清盛が後白河と協調路線を選んだ流れで、六条帝は見捨てられる恰好になって退位に追い込まれたわけですね。
この六条帝はそののち、元服も

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【平家物語】巻01_11 殿下乗合

【平家物語】巻01_11 殿下乗合

お馬さんを描くために、動物ポーズ集を見るわ競馬の本を見るわ、写真集も漫画も馬が載っているものは全部かき集めました。疲れた……。このまま描き続けるうちに、もうちょっと巧くなっていけるとよいのですが。

さて、このお話。
この展開には平家物語作者の脚色がずいぶん入っていて、本当のところ、激怒して仕返ししたのは父である重盛だったというのが、『玉葉』に記されているのは有名な話です。
藤原基房というのは、清

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【平家物語】巻01_12 鹿谷

【平家物語】巻01_12 鹿谷

この章段、定番で描くならもちろん、「ヘイシの首をとったー!」の鹿ケ谷山荘でのバカ騒ぎなのですが、それは以前にギャグ漫画で描いちゃったし、どうせなら私が好きな場面を描いちゃえーというわけで、懲りない成親の祈祷三昧を描いてしまいました。
この祈祷、漫画では説明しきれませんでしたが、

岩清水八幡宮に僧侶を100人呼んで、祈祷。男山から飛んできた鳩が3匹、共食いして死ぬ。「天下に騒動が起きる前兆。臣下の

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【平家物語】巻01_13 俊寛沙汰 鵜川軍

【平家物語】巻01_13 俊寛沙汰 鵜川軍

……このページの初裸体です(笑)。この先、残念ながら平家の若手が脱いだりすることはありません。
水遊びといえば、このずっと後、小松家の坊ちゃんたちが水遊びするシーンはありますが、あれはちゃんと服着てるって書いてありますしねぇ。残念だ!(笑)

「馬+けしてうつくしくはないハダカ」という2大要素で、難産でした、今回。。。これさえ描ければ、巻1のあと3回分はつるつるっと行ける気がします。どの巻にも1・

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【平家物語】巻01_14 願立

【平家物語】巻01_14 願立

平家物語に頻出する、脱線エピソードのひとつです。
「山門を怒らせると怖いぜよー」の例として、1090年代の藤原師通のエピソードを紹介しています。ちなみに本編は1177年とかそのあたりですから、90年くらい前の話ですね。
この章段は、師通様のママ上がご神託を得るところもなかなか漫画にしたら面白い場面なのですが、いろいろ迷って、結局このシーンをまんがにしました。早く若い人をたくさん書ける巻まで到達した

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