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【コラム:科学を支える『マウス』の歴史】

 こんにちは(o・ω・o)カエルです。
 
 好奇心をくすぐった記事を調べてみた回です。

50年以上、140世代を超えるマウスの人為的な淘汰(人工進化)によって、超巨大化、超筋肉質化、超多産化、超スタミナ化したマウス系統を誕生させた

 というドイツの家畜生物学研究所(FBN)による長期実験に関する記事に心惹かれました。

 科学実験には欠かせないマウス実験ですが、そもそも「なぜ実験にマウスを使用するのか?」「マウス実験の歴史はどれくらい?」など疑問に思う人は少ないと思います。
 
 ですが、世界中の人々がこのマウス実験のお世話になっており、ひいては数多くのマウスの命の上にヒトの生活や健康、新しい技術は成り立っています。
 なぜなら大半の科学実験『新薬の研究』『臨床試験の前段階』『心身や脳の研究』『病気の研究、及び試験』『化粧品のテスト』などにはマウスを含む実験動物が用いられているからです。


□動物実験

動物実験とは、大型動物としてサル、イヌ、ミニブタなど。小型動物としてラットやマウス、モルモット、ウサギなどを用いて行われる実験。
目的は多岐だが、良質な実験データを得るために目的に応じて用いられる動物が選択される。
 
使用される動物はラットとマウスが90 %以上
イヌ、ネコ、サルは全体の1%程度。

 

■用いられる動物の傾向
ヤギは体が大きいので、心臓の研究に使われることが多い。
サルは人間に近い動物と言われ、医薬品の開発や医療技術の研究などに使われています。
マウスは最も実験に使われる動物で、ありとあらゆる研究に用いられます。
マウスを含めラット・モルモット・ウサギは化粧品の実験によく使われています。
ネコは神経系の実験に多く、イヌは毒性試験、外科手術や移植研究、歯科の研究にも使われています。
 
JAMMIN「身近な日用品開発の背景で犠牲になる動物たちの存在を知って。動物実験の廃止を求めて〜NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)」より引用



□マウス実験の歴史

20世紀当初(メンデルの法則再発見の頃)野生マウス(農場等で捕獲)とペット化されたものが起源とされている。
 
■なぜ「マウス」なのか?
①繁殖面
マウスの寿命は~1.5年。
受精後20日(ハツカネズミの由来)で誕生。雄は生後60日頃から生涯にかけて繁殖可能。雌は生後55日頃から生涯8回ほど出産可能。
1回に約9匹の仔(年間~4世代進み「ネズミ算式に増える」ことの由来)
 
②遺伝子分析
マウスの体重(成体)は雄35 g、雌30 g。
染色体数40本。全DNA量6 pg。
全ゲノム解読済
 
以上のことから、
・多種の遺伝的に制御された系統が豊富
・多産
・小型
・市販の飼料
・微生物チェック等飼育条件が整備されている
など、実験動物としてのマウスは哺乳類で起きている生命現象を遺伝子レベルから個体レベル迄様々な解析方法で研究することを可能にしている、洗練された実験動物であるとされている。
 
静岡大学理学部生物科学科「マウス(ハツカネズミ)」より引用

 
 前項でも述べた「良質な実験データを得るために用途に応じて用いられる動物」として優れた生物であることが、ラット・マウスが動物実験としてもっとも多く用いられる理由です。


□実験現場の実際

①実験に用いる動物の扱い方
動物を研究に使うとき、研究者は動物を人道的に扱い、苦痛を与えないよう最大限に努力し注意を払います。
飼育に際しては十分なスペースと食べ物・水を与え、施術に際しては麻酔を使い、痛みを起こしていないことを確認します。
 
②実験内容
・取り出した細胞や組織・臓器を使う実験から個体を使う実験
・短時間で終わる実験から例えば何年にもわたり動物とつきあう行動実験
・薬を与える実験
・神経活動を記録する実験
・それらの組み合わせ等
 
③実験終了後の動物の処置
実験終了後は速やかに安楽死させます。
安楽死の方法は、日本実験動物学会や国際基準によっています。
 死亡した動物の臓器等は貴重な資料として保管され、さらなる研究の対象となります。
 
④動物実験に関する法律
動物に対する一連の行為はすべて動物愛護法、鳥獣保護法、総理府指針、環境省の指導、文部科学省通達 に則り、日本生理学会の動物実験指針、各大学等の研究機関が設ける動物実験指針にしたがって実施されます。
各研究機関で行われる動物実験は、すべて動物実験(倫理)委員会の審査を受け、承認されることが必要です
 
⑤論文記載義務
このようなルールが守られているという保障なしには、国内外の学術雑誌や学術集会において研究発表することは許されていません。
また動物に施した実験上の処置は論文に記載するよう義務づけられています
 
日本生理学会「動物実験について」より引用



□動物実験廃止への動き

動物を用いない研究への助成機関
・Animal Free Research UK
・英Cruelty Free International(CFI)
の調査では、世界では毎年、推定1億1530万匹以上が動物実験に用いられるというデータがある。
 
DIAMONDonline「動物実験大国・日本の残酷な真実、禁止国が増えているのになぜ?」より引用
日本では2,000万頭(推定)の命が、毎年動物実験によって失われているといいます。
代替法も少しずつ開発されている。
 
動物実験の代替法の研究については「3R(スリーアール)の原則」というものが国際的な流れとなっており、日本の「動物の愛護及び管理に関する法律」にも、この原則が盛り込まれています。
 
■「3R」
「Replacement(リプレイスメント)」…動物を使用しない実験方法への代替
「Reduction(リダクション)」…実験動物数の削減
「Refinement(リファインメント)」…実験方法の改良による実験動物の苦痛の軽減
 
JAMMIN「身近な日用品開発の背景で犠牲になる動物たちの存在を知って。動物実験の廃止を求めて〜NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)」より一部抜粋
スイスの動物愛護家らが、国内の動物実験を全面的に禁止するイニシアチブ(国民発議)を立ち上げた実現すれば、スイスは動物実験を完全に廃止する最初の国になる。
 
SWI「動物実験のない研究は成り立つか?」より引用
研究機関や製造業の業界では動物実験そのものを最小限に抑える。必要な場合は麻酔などを用いて苦痛を最小限に抑える。細菌や昆虫といった他種の生物や培養細胞コンピュータでのシミュレーションなどに置き換える代替法を開発するなどの手法が取られつつある。
 
Wikipedia「動物実験」より引用


□動物実験による恩恵

動物の尊い犠牲を通じて行われる動物実験は、生命現象の理解に大きな役割を果たし、 医学・医療に応用され、人類の健康と福祉にはかり知れない貢献をしています。
 
 動物実験は開発された医療・医薬を人間に適用する前の欠くことのできないステップでもあり、今日、 その必要性と重要性はますます増大しています。
 
 我々研究者が動物の命を大切に思う気持ちは多くの人々と同様で、実験に際しては動物の福祉と人道的取り扱いを常に心がけています。
 
日本生理学会「動物実験について」より引用

 
 
 調べれば調べるほど、余計な言葉を挟むことができない内容でしたので、今回は基本的に「動物実験」および「動物実験廃止への活動」に関する記事より引用する形を取りました(o・ω・o)
 
 参考記事をご確認いただくと、中には動物実験を行っている画像が記載されているものもあり、それがどのような実験であるかも記載されていることから目を覆いたくなるものもあります。
 
 カエルは「科学的に信憑性の高い情報」を信じることにしていますので、【情報】が多くの命の先にできたものであることを忘れてはいけないと認識させられました。

 私たちの便利で安全な生活は、これまで行われた何億という動物実験の結晶であることは、忘れてはいけません。

 
 動物実験に替わる信頼性の高い研究方法が完成すると、なお良いですよね。
 完全にゼロになることは有り得ないかもしれません(「○○を"生物"に使用した際にはどのような結果になるのか」という事実確認が無くなる可能性は限りなく低い)が、限りなくゼロに近づけば良いと、願います。
 
 


【参考記事】







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