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ダメ男がダメ男である理由(ウサギノヴィッチ)
どうも、ウサギノヴィッチです。
自分はいつもだいたい池袋や新宿や渋谷にいるんですけど、知らない場所に行くと緊張します。Googleマップを表示させたスマホを片手にこれから自分の行く先を確かめながら行きます。耳にはイヤホンしているので、聞こえるのは、街の喧騒ではなくていつも聞いている音楽が流れています。
それが東京じゃなくて、違う県だとどうだというかとだいたい同じです。Googleマップとスマホは持ってないときはあるかもしれないけど、僕には音楽が欠かせないのでイヤホンは必需品です。
去年、同人誌のイベントで静岡に行ったんてますけど、書いたまんまでした。せっかく来た新しい土地の醍醐味を半分損していると思われても仕方ないし、物書きだったらフィールドワークとして五感をフルに活用するのは大事だろうと言われても反論の余地はありません。
その同人誌のイベントで東京の知り合いの人に会ってほっとしてしまいます。
「仲間がいてよかった」と。
静岡でそう思うのですから、きっと外国ならきっと相当な喜びになるでしょう。
でも、一人きりだと良い点もあります。なんと言っても「自由」があることです。なにをしてもだれにも干渉されることがないのは良いことだと思います。
森鴎外の『舞姫』では、留学した豊太郎が最初のうちは勉学のために硬派を決め込みます。
これが現代のスクールカーストなら最底辺の近くに位置してしまうので危ういことだと感じてしまう。
ところがある日、寺の門で泣いているエリスと出会って心が変わります。彼女の家が貧しいので援助を始めました。
ここから豊太郎はエリスにハマっていく。エリスとなら結婚していいと思う。しかし、世の中が世の中なので、国際結婚はできない。しかも、エリスと付き合っていることが、留学を監督している先にバレて首になってしまった。踏んだり蹴ったりの状況だが、救済されて再び復職する。代わりに「エリスを諦めろ」と言われたのでした。
だが、ここでさらに追い討ちが襲ってきます。エリスに子供ができてしまいます。
決断を迫られる豊太郎は、仕事を選びエリスの元を去っていきます。エリスはこれで気が狂ってしまいます。
知らない土地が犯した気の毒な事件だ。
しかも、エリスは十六か十七歳だ。今なら犯罪だ。
ちょっとズレる話になるかもしれないが、温泉地に行って物見遊山でストリップ小屋を除くような、そんな軽率なことではない。ましてや、僕の想像の中の豊太郎は童貞に思っていた。だから、エリスが初めての人で避妊しっかりしていなかった。それも異国に来たから犯した過ちだと思った。
自由は人を解放させる。
それは言葉を返させると魔が差すことがあるということがあるという事だ。
豊太郎の恋は真剣なはずだった。だが、なにがダメで仕事をとってしまったのか? 責任? 不自由さ? 社会の厳しい目? とにかく、本文には書かれていない理由で豊太郎はエリスを諦めている。行きずりの恋だったのか? それにしては金銭の援助等しながら彼女の家を支えた。なにがダメだったのか?
豊太郎は友人の相沢にエリスとのことを相談してますし、彼からは諦めれば、復職しまたエリートコースを歩めるようにしてやると言われました。
豊太郎はエリスを諦めた後に、諦めたことを正当化しつつも、どこかで相沢のことを恨んでいるとも言っています。
ここまでで豊太郎はエリスに対して本当の愛はあったということが証明される。
ただし、それでもなお仕事をとったことは、友人の勧めもある。最後は、本人の意思だ。その本人の意思がなかなか見えない。
一昔前にあった「仕事と私どっちが大事なの?」という安いセリフがあるが、それを地でいったのがこの話なのだ。しかも、「できちゃったみたい」というこれまた安いセリフ付きで。
今だからこれは多岐にわたる選択が出来るのかもしれないが、昔は窮屈なものだった。それは否めない。制度や風習などがまだ発達していないからである。
そして、豊太郎は立派な家の育ちで東大出身だ。これは偏見が入るが、結局体裁を気にしたのかもしれないというのが、僕の今までの仮説から導かれる結論だ。
自由に暮らしていくというのは、豊太郎にはなかった。あくまで自分は留学で来ている。それは一番最初に書いた通り貫いていた。そこで落ちた恋はあくまで行きずりの恋だったのだ。そこを真面目に捉えてしまい、抜け出せなくなり、本当に引き返せないところで、一番最悪な形で別れた。だから、ダメな男なのだ。
判断が遅く、優柔不断な男が起こした悲劇だ。
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