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Daily Select News[6.26.2020]Vol.1

6月26日(金)のデイリー・セレクト・ニュース|国内記事版

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◇政治&社会:アメリカ

コラム:米のコロナ対策がカオスの様相、各州ばらばらで経済衰弱
[サンフランシスコ 6月24日,Reuters Breakingviews]
 米国における新型コロナウイルス感染防止策はいま,カオスの様相を呈している.トランプ大統領は当初から流行を軽視しており,それ以降も一貫した対応策を講じていない.それどころか,この国家的(客観的に見れば世界的であるが)危機において,ホワイトハウスはリーダーシップを発揮せず,州政府にその役割を放り投げている.その結果,各州で感染防止策はばらばらで,それがさらなる感染者の増加を招いている.これは公衆衛生危機だけでなく,経済危機としても長期化する可能性があり,深刻な問題となっている.

米、ファーウェイなどを中国軍の「支援企業」に指定 罰則の可能性
[ワシントン 6月24日,Reuters]
 Reutersが24日に確認した政府文書によれば,トランプ政権は,中国の通信機器大手HuaweiやHIKVISIONについて,中国軍に所有ないし管理されていると見做している,という.ホワイトハウスが中国軍の支援を受けたと判断している中国企業は20社に上り,チャイナモバイルやチャイナテレコムなども含まれている.国防総省によって作成されたこの指定案であるが,米国では1999年制定の法律に基づき,大統領が国家緊急事態を宣言することで,リストに掲載されている企業が米国内で活動する場合に罰則を科すことができるという.

個人投資家の熱狂に沸く米国株
[6月25日,JBpress(Financial Times紙,6月24日付)]
 コロナ危機による世界中の混乱にも拘らず,株式市場は好調のように見える.S&P500種株価指数では,3ヶ月前の暴落から大きく反発した.市場には楽観論が浮上しているが,市場の一部では慎重さを気にせずに直進している.個人投資家による株式売買の熱狂は特にそうである.個人投資家による市場の部分的な熱狂の動きは,現実の状況から大きく乖離している.この熱狂を市場全体のトレンドを見做すにはあまりにも危険である.市場は,見かけよりも慎重に推移しているからだ.例えば,コロナ危機のなか,指数の反発を好機と見做した新規の個人投資家が参入してくるかもしれないが,そうした人々は大抵,バブルの最後に現れて割を食うことになる.

顔認証技術の誤判断で黒人男性を逮捕、米デトロイト
[ワシントン 6月25日,AFP]
 米ミシガン州デトロイトにて,顔認証システムのアルゴリズムの誤りにより,アフリカ系米国人の男性が誤認逮捕されたことが判明した.この出来事は,こうした顔認識ソフトウェアのアルゴリズムの欠陥,つまり機械学習プログラムにおけるデータセットの人種的偏りに基づく問題を示している.顔認識技術において黒人の識別精度が低いことは以前から指摘されており,それが機械学習に用いるデータセットが,白人に偏っていることに起因することも以前から指摘されている.今回の出来事は,すでに指摘されていた問題を,過ちを再び繰り返したに過ぎない.だが,それが抗議デモが起こっている現在においては,その意味合いが特に強いものになるだろう.このテクノロジーは,決して中立ではないのだ(利用の誤りとも言えるが).

「移民はアメリカに計り知れないほど貢献している」…トランプ政権の移民就労ビザ発給停止にテック界が総反発
[6月25日,BUSINESS INSIDER]
 トランプ大統領は今月22日,2020年内の移民ビザの発給停止を発表したが,この決定にIT業界では反発が起きている.今回の発給停止は,コロナウイルスのパンデミックによる失業者が急増している時期に,移民が米国人の雇用を奪うことを阻止することが理由だという.だが,これに対して,テスラのCEOイーロン・マスクは,Twitter上にて「この動きには反対だ」と述べた.他にも,Googleのサンダー・ピチャイCEOは,移民は米国の経済的成功に計り知れないほど貢献しているとし,トランプ大統領の決定について「今日の宣言には失望した」と批判している.Microsoft社長ブラッド・スミスも,Twitter上にて移民の米国に対する貢献を主張し,今回の決定に反対姿勢を示している.

チャイナタウンのレストランはなぜ略奪されたのか? 背景にある、黒人とアジア系アメリカ人の複雑な関係性
[6月25日,BUSINESS INSIDER]
 ジョージ・フロイド氏の不当な死をきっかけに発生した,米国での人種差別に抵抗する抗議デモは,ミネアポリスから全米に拡大した.彼らは米国社会に深く根ざしている人種差別の構造的問題の是正を訴えているが,そうしたなかである出来事が起こった.ワシントン州シアトルのチャイナタウンにあるレストランが,抗議デモに関連して襲撃されたのである.白人でなく,米国社会における人種的マイノリティに属するはずのアジア系米国人の店は,なぜ襲撃されたのか? その背景には,米国社会におけるアジア系米国人の複雑な立ち位置がある.白人でも黒人でもない彼らは,どのように見られたのか―.
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◇政治:グローバル

「中国はアメリカに勝てない」ジョセフ・ナイ教授が警告
[6月25日,Newsweek日本版(Foreign Policy誌,ハーバード大学特別功労教授ジョセフ・ナイ)]
 ハーバード大学の特別功労教授ジョセフ・ナイは,中国は米国に代わる超大国にはなれないと指摘している.近年,習近平国家主席の下で覇権主義的な政策を推し進める中国であるが,なぜ米国に勝つことができないのか.地政学やソフトパワー&ハードパワー,人口動態,軍事力,エネルギーなど様々な観点から見ても,中国は米国を追い抜きそうにはない.それは,今回のコロナ危機を経ても変わらない.コロナ危機が米中の立場を逆転させるような地政学的転機を引き起こすという見方は,時期尚早であるとナイ教授は指摘している.

反米同盟の再構築に向け、中南米回帰するイランの動きを注視せよ
[6月25日,Newsweek日本版(共和党系シンクタンクIRI顧問スティーブン・ジョンソン)]
 コロナ危機による世界的混乱のなか,イランはベネズエラを始めとする,かつて密接な関係にあった中南米諸国の左派政権との関係を復活させようと画策している.というのも,かつて蜜月の仲であったベネズエラとは,前ベネズエラ大統領チャベスの死と高額な投資の失敗によって関係が途絶していた.ボリビアやエクアドルとも,様々なプロジェクトの破棄・停止などで関係は悪化していた.
 とはいえ,イランは中南米での足場を失ったわけではない.イランにとって,中南米諸国を支援することには大いに価値がある.民衆レベルで左傾化が進む現状,イランの工作によって人々の反米感情に火を付けることで,中南米における反米勢力を拡大することができる.
 ただ,この目算には大前提として,マドゥロ政権の維持がある.無能なマドゥロだが,反米勢力として重要である.マドゥロ政権が倒れれば,次はキューバとニカラグアの独裁政権が存続の危機に瀕する.コロナ危機や米国の経済制裁により経済が疲弊しているなか,イランが状況打開のため中南米での存在感を再び高めようとしている動きには,注意が必要である.

コロナ禍を権力強化に利用、民主主義は弱体化 著名人らが警告
[ストックホルム 6月25日,AFP]
 500名を超える政治指導者やノーベル賞受賞者,人権団体が署名した書簡が25日に公開された.この書簡では,一部の国の政府が新型コロナウイルスの流行を「権力支配の強化」に利用し,民主主義や市民の自由を弱体化させていると警告している.この書簡は,ストックホルムに拠点を置く民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)が主導した.
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◇環境問題

パンデミックによる経済危機で石炭火力発電が廃れ、「無炭素エネルギー」への転換が加速する
[6月25日,WIRED]
 新型コロナウイルスの影響による経済危機を受け,高コストな石炭火力発電所の閉鎖が米国で相次いで発表されている.この背景には,近年の比較的安価な天然ガスの存在と,再生可能エネルギー利用の拡大に加え,コロナ危機による景気後退に関連した経営への打撃が挙げられる.一方,加速しつつあるのが,再生可能エネルギーや蓄電池などの新技術の活用である.米国では,こうした新技術への投資が加速しており,なかには無炭素エネルギーへと徐々に方向転換している電力会社もある.米国のエネルギー産業は,化石燃料依存から脱却し,クリーンな技術へと転換できるだろうか?
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