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Daily Select News[7.8.2020]Vol.1

7月8日(水)のデイリー・セレクト・ニュース|国内記事版

表紙画像:SatyaPremによるPixabayからの画像

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◇注目記事:コロナ危機とポピュリズム

新型コロナはポピュリズムを殺すか?
[7月7日,JBpress(Financial Times紙,6月30日付)]
 ドナルド・トランプ,ジャイル・ボルソナロ.この二人を政治指導者に「戴く」ふたつの国はいま,新型コロナウイルス感染による死者数が5万人を超えている.この二人には2つの共通点がある.どちらも,ポピュリスト(大衆迎合主義者)政治家であるということ.もうひとつは,二人ともコロナ対応において,現実を直視しないという致命的欠陥を持っていたことだ.
 トランプは流行初期,ウイルスは魔法のように消えるとして,対応策を講じなかった.最近では,米国は検査をやめるべきだと言った.確かに,検査をやめれば,新規感染者数は「増加」しないだろう(もちろん皮肉だ).ボルソナロにいたってはもっと酷い.彼はCOVID-19をただの風邪とみなし,ロックダウン抗議デモで自ら演説した(また,自身の方針に反対する保健相を二人解任した).
 この結果,この二人はそうした能力欠如に対して大きな政治的代償を支払うことになった.11月に大統領選挙を控えるなか,世論調査では,トランプは対立候補のバイデンに大きく差をつけられた.ボルソナロも支持率が急低下し,大統領弾劾や側近の汚職捜査が話題にのぼっている.ポピュリスト政治家といえば,英国のジョンソンは二人よりはまだマシだが,それでもパンデミック初期において対策を講じることを先送りにし,それが悲惨な状況をまねいた.
 こうしたポピュリスト政治家とは対照的に評価を上げたのが,メルケルである.人口あたりの死者数でみれば,ドイツは欧州屈指の少なさである.彼女は冷静かつ効果的に措置を講じ,その結果,世論調査で支持率を大きく伸ばした(この支持率はこの数年で最も高い).一方,同国のポピュリスト政党,極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」は,なんら成すことがなく,支持率を急低下させた.
 著名な政治学者フランシス・フクヤマは最近,BBCに対し「COVID-19パンデミックは,ポピュリズムにとどめを刺すかもしれない」と述べた.同じく政治学者のマシュー・グッドウィンも最近,「ポピュリズムの後退とリベラリズムの復活」について語った.特に,トランプが11月の選挙で敗北した場合,他のポピュリズム勢力に与える影響は大きく,それこそ世界的な影響となるとしている.
 とはいえ,リベラリズムも安心できるわけではない.そもそも,ポピュリズムが台頭する原因となったのは,現在の社会政策において「取り残された」と感じている人々の存在があった:彼らは今回のコロナ危機で大打撃を受けた.また,危機の中で民主的な政治規範が崩壊する可能性も否定できない.ポピュリズムはそう簡単には舞台を去らないだろう.
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◇政治&経済:ヨーロッパ

ユーロ圏成長率は今年ー8.7%、経済再開遅れ予想引き下げ=欧州委
[ブリュッセル 7月7日,Reuters]
 EUの欧州委員会は7日,今年と来年のユーロ圏の経済成長率予想を下方修正した.新型コロナウイルス感染防止のために導入したロックダウン措置の緩和が,従来の予想よりも遅かったためである.フランスとイタリア,スペインが特に厳しい状況にあるとしている.欧州委員会は最新の予想にて,今年のユーロ圏の成長率をマイナス8.7%,2021年はプラス6.1%とした.5月初めに示した予想では,今年がマイナス7.7%,2021年がプラス6.3%であった.

EU・英国、将来関係交渉にかかる集中協議1週目は進展みられず
[7月7日,JETRO]
 EUと英国の将来関係に関する対面協議が,6月29日から7月2日にかけてブリュッセルで実施された.交渉会合としては,6月2-5日に開催された第4回会合以来となる.英国との協議を担当する,ミシェル・バルニエEU首席交渉官は,今回の会合の目標について,先月15日開催の首脳会談に基づき,停滞しているEU・英国間の将来関係交渉を,合意に達するための軌道に乗せることだと説明した.ただ,2日の声明では,将来関係交渉は依然として深刻な立場の相違が残ったとし,合意に向けた大きな進展が見られなかったことを示唆している.
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◇ビジネス&ソーシャルメディア

SNS各社、香港警察への協力を「停止」 国安法受け
[7月7日,BBC News Japan]

フェイスブックとツイッターが香港当局へのユーザーデータ提供を一時停止、中国による国家安全法制定を受け
[7月7日,Techcrunch]

Google・Facebook・Twitterが香港国家安全維持法に反発、香港政府のデータ要求を拒否する構え
[7月7日,GIGAZINE]
 6月30日に香港で施行された「国家安全維持法」を受け,GoogleとFacebook,Twitterの3社は,香港当局へのユーザー情報の提供を一時停止(拒否)すると発表した.ソーシャルメディアプラットフォームは通常,各国の法律に沿って,裁判所命令が出た場合には,ユーザーの個人情報を提供する.しかし,香港・国家安全維持法では,違反規定の表現が曖昧であることから,法律の内容を精査するまでの間,ユーザーデータ提供要求への対応を一時停止することを決定した.Facebookは今回の措置について,WhatsAppにも適用されると述べている(なお,GoogleとFacebook,Twitterはいずれも,中国本土では利用が禁止されている).
 今回,香港で施行された法律では,当局はプラットフォーム企業に対してデータを要求する際,裁判所の命令を取得する必要はない.そのため,シリコンバレーのテック大手やそれに続く他の企業は,今後どのような対応をしていくかが注目となる.

TikTok,数日以内に香港市場から撤退 国家安全法施行で
[ニューヨーク 7月6日,Reuters]

TikTokは米国での締め出しに直面し、香港からの撤退を発表
[7月7日,Techcrunch]
 ポンペオ米国務長官は6日夜,Fox Newsに対し,中国政府による監視・プロパガンダの道具として使われる懸念から,ホワイトハウスがショートビデオアプリ「TikTok」の禁止を検討していると述べた.米国内で禁止された場合,最近最大の市場であるインドを失ったTikTokにとって,大きな打撃となる.7日には,TikTokが数日以内に香港市場から撤退することを明らかにした.この決定は,中国が「香港国家安全維持法」を施行したことを受けてのものである.ただ,同社の広報担当者は理由について「最近の出来事を踏まえ」と,曖昧にしか述べていない.
 ただ,香港市場からの撤退については,TikTokにとっての影響は限定的なものとみられている.関係筋によれば,香港市場は規模が小さく赤字であったという.昨年8月時点の発表では,香港での利用者は15万人であり,2020年4月に全世界で20億回DLされたアプリにとっては,影響は軽微といえる.
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(2020年7月7日,但し書き改定)


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