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「不良ロッカー」

高校生の頃、温泉が好きになった

友人の家へ泊まりに
行ったことがきっかけだった

友人は学校を中退していて
鳶職人としてすでに働いていた

16歳にして1人住まい
もちろん親等の力は借りず
自力で生活していた

そんな友人が住むアパートは
風呂はあるのだが
壊れていて水しか出ない

近くに温泉があるから
そこへ行くことになったのだ

俺以外にも泊まりに来ていて
みんなで5人
そのみんなで入った広い温泉は
青春も相まって最高に良い思い出となった

そして現在
あの頃のように
友人達と一緒に連れ立って
温泉に行く事こそ無くなったが
今では気ままに一人
あちらこちらの温泉に行くようになった

今でも
湯船に浸かっていると
あの頃の事を
ふと思い出すことがある

懐かしさに浸りながら
思い出がひとつ
そして、またひとつと浮かび
湯船から溢れ出る湯のように
流れては消えていった

今日来た温泉はサウナも然り
お湯も源泉かけ流しなので
温泉好きにはたまらない

タイミングが良かったのか
お客さんは黙浴派温泉のみ楽しむ系のみ

知らない誰かと話しながら
温泉に入るのも良いが

誰もが温泉のみを味わう
この雰囲気も最高だ

静かに目を閉じ
チョロチョロ流れる湯の音と
カランから聴こえる
カッコン、という音

まさに癒されるとはこの事で
心身ともにゆっくり出来た

湯から上がり
脱衣所の床を濡らさないように
身体に纏った水分を
サッと拭き取る

扉を開けて脱衣所に入る

あぁ、いい湯だったな
そう思いながら
何気無く視線を向け
目に入ったものは
不良、でした

そして
ふと連想したのは
パンクロッカーのあの人物
まさに不良ロッカーの代名詞では
ないだろうか?
そう、その名は

シドヴィシャス

ナンシーにかけられた南京錠のネックレス
その鍵はナンシーの手に

フッ
と笑いが出る

なるほどね
鍵がないあんたも
ヴィシャスだな

鍵を失くしたロッカー

するとあの名言が
ベース音を伴って聴こえてきた

「それだけかよ」、と。


「不良ロッカー」

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拙い文章力と表現ですが
最後までご覧頂きありがとうございます。


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