交渉術 相手に動いてもらうためには絶対にしてはいけない、たった1つのこと
仕事でもプライベートでも「交渉」しなければならない場面はたくさんあります。
検索してみると交渉をうまく行う方法がたくさん紹介されています。
相手の気持ちを汲み取る、ローボールテクニック、フットインザドア、などなど。
そういった「やるべき」ことよりも、「してはいけない」ことが重要なのでは、というメモ。
1、結論。
いきなりですが、交渉で絶対にしてはいけないこと。
相手がやっていることをけなす
ことです。
聞けば当たり前ですが、交渉術を指南するものには「こうやったらうまくいく」という話がメインで「これはやるな」というのはあまりありません。
2、聞けば当たり前。でも、やってしまってないか?
交渉術、というと、最近でこそ、Win-Winとなることが重要、などと書いているものが多いですが、それでも、内容を見ると、テクニックを駆使して譲歩を引き出す、というトーンが多いですね。
Win−Winではあるけれど、少しでも自分の「取り分」を多くしたい、という心理が働くようです。
要するに、交渉によって、相手に今いる位置から動いて欲しいわけです。
相手が全く動かない、ということは自分が一方的に譲歩する、ということです。
となると、どうしても、「今のあなたの状況はよろしくない。だからもっと良いこちらの方へ移動しなさい。」という論理構成になりがちです。
厄介なのは、それを言う方は(少なくとも表面的には)その提案が相手にとっても良いものだ、と思っている、ということです。
ですから、「相手のためを思って」相手のやっていること(今の状況)を「けなす」訳です。
いかがでしょう?
こうしてみると、「相手のことをけなしてはダメ」なのは当たり前なのですが、交渉、となった途端にやってしまう可能性が高いことが分かります。
分かっているけどやめられない、というのは一番難しいですよね。
3、なぜ、けなしてはいけないのか?
では、なぜ、けなしてはいけないのでしょうか?
例えば、もう10年以上同じ車に乗っているとします。
新しい車は燃費も良いというので、ディーラーに車を見に行ったとします。
セールス担当が出てきて、
「ずいぶん古い車ですね。燃費も悪いでしょう。」
と言われたら、どう思うでしょうか?
ずいぶん古い、も、燃費が悪い、もその通りで自分でも思っています。
でも、ムッとしませんか?
セールス担当としては、新しくて燃費の良い車を売るには、今の車が古くて燃費が悪いことを分かって貰わないといけませんから、今の車を「けなす」訳です。
でも、ムッとさせてしまった。
その結果、
「気に入って乗ってるんだ。なにしろデザインがいいから。いまの車は気にいるデザインのものがなくてね。どうやらここにもいいデザインの車はないみたいだね。」
とか思わず言ってしまって、帰ってしまうかもしれません。
やはり、「相手のやっていることをけなさない」、重要ですね。
4、では、「けなさない」でどうすれば良いのか?
けなしてはいけない、ということは分かりました。
が、けなさずに、どうしたら今いるところから動いてもらえるでしょうか?
先ほどの、車の例を聞いた時点で、「そりゃ、こんなこと言わないよ」と思われた方もいらっしゃると思います。
であれば、代わりに言うべき言葉、お分かりですよね?
そう、褒めればいいのです。
「大切にしてらっしゃるのですね。」
そうすれば、次は相手の番です。
「まぁ、そうなんだけど、さすがにもう古くなったし、乗り換えようかな、と思って。最近のは燃費もいいんでしょ?」
と言ってくれる。そもそもディーラーに来ている訳ですから。
同じ言葉ですが、違いは、誰の口から言っているか、ということです。
5、車の例ではちょっと…分かったような、分からないような…
車の例はわかりやすいので出しましたが、例えば、社内である部署に改革を迫るような交渉の場合でも一緒です。
こういう場合、改革を迫る方は、反発を予想して、
✔︎ 改革をしなければならない理由(つまり今を「けなす」内容)
✔︎ 改革をした場合にいかに今の悪い状態が改善されるか(つまり今を「けなす」内容)
という用意を十分過ぎるぐらいして、臨みます。
一方、改革を迫られる方は、
✔︎ 今の自分たちがこのようなになったのは、過去の様々な経緯があってのことできちんと理由がある(「動かない」理由)
✔︎ もし改革をしたら、あれもできなくなる、これもできなくなる(「動かない」理由)
という用意を十分過ぎるぐらいして、臨みます。
結果、どうなるでしょう?
主張は平行線。不毛な時間が過ぎるだけです。
最後は、社長なりなんなりさらに上の立場の人がトップダウンで決めて改革が行われるかもしれません。
でも、改革される部署は納得していませんので、改革の効果も半減でしょう。
それは、Win-Winでは全くないですよね。
交渉としては失敗です。
やはり、「相手のやっていることをけなさない」、重要ですね。
6、まとめ
交渉で相手に動いて欲しければ、
☑️ 相手のしていることをけなさないで、
☑️ 相手のしていることをほめて、
☑️ ほめることで、相手が自分自身から自分の認識を話してもらって、
☑️ 場に全ての認識を出してもらう。
ことが重要です。
相手は十分に話を聞いてもらえれば、こちらの話も聞こうとするものです。
そのタイミングで、こちら側の認識も場に出した上で、お互いにとって納得のいくWin-Winの策を話し合っていく。
つまり、
「相手のやっていることをけなす」ことが交渉で絶対にしてはいけないこと
なのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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