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千利休の時代からある「やり抜く力」問題

上司としてだけでなく、ビジネスパーソンとして、人として重要な「やり抜く力」。古くて新しい問題では?過去から学べることもあるのでは?というメモ

最後まで読んでいただくと得られそうな情報
✔︎ 『利休七則』のこと(昨日とちょっと被っています)
✔︎ 「知っている」と「できる」の大きな違いについて
✔︎ 茶道の稽古から学ぶ「やり抜く力」の育み方のヒント

1、え?なに?またお茶の話??

すいません。元ネタは被ります。読んで頂いた方、ご容赦ください。
茶の湯を確立したと言われる利休が、弟子に「茶の湯とはどんなものですか?」と聞かれて答えたとされるものが以下の『利休七則』です。

茶は服のよきように、炭は湯の沸くように、夏は涼しく冬は暖かに、
花は野にあるように、刻限は早めに、降らずとも雨の用意、相客に心せよ。

全文の意味はリンク先の裏千家のHP(中程以下になります)をお読みいただくとして、例えば2番目の「炭は湯の沸くように」、5番目の「刻限は早めに」といった「あたりまえ」のことを利休は答えています。

そのためこれを聞いた弟子は「そのくらいのことなら私も知っています」と答え、それを聞いた利休は「もしこれができたら、私があなたの弟子になりましょう」と答えたというのです。

つまり、「知っている」と「できる」とには大きな違いがあることを利休は言っているのです。

これは我々にも思い当たることあるのではないでしょうか?

2、その「知識」は「知恵」になっているか?

いまは様々な情報が、ネットを通じて気軽に手に入ります。仕事上必要な情報も検索できるものが多くあるでしょう。

でも、それら「知っている」ことのうち、どれぐらいのことが「できる」のでしょうか?ということです。

私は長年、営業や研修設計、講師の仕事を通じてたくさんのハイパフォーマーと呼ばれる方に会う機会に恵まれました。そこから学んだことの一つが、ハイパフォーマーの皆さんは多くの「知恵」を身につけているということです。

では、「知恵」とはなんでしょう?

「知識」と比べるとよく分かるので広辞苑で両方しらべてみましょう。

「知識」:ある事項について知っていること。また、その内容。
「知恵」:物事の理を悟り、適切に処理する能力。

いかがでしょう?違いが明らかですね。

そして、ハイパフォーマーの方々が「知識」を「知恵」にした方法は、

「知識」+「行動」=「知恵」

そう、「やってみる」ということなのです。

GRIT(やり抜く力)の提唱者、アンジェラ・リー・ダックワース氏が挙げている4つ構成要素にも行動が入っています。

利休も「やり抜く力」が並外れていたからこそ、弟子の質問にも即座に前述のような返しができたのでしょう。

いかに情報化時代でも、いかにAI時代でも、やってみる、やり続けてみる、ということの重要性は変わらない、それは利休の時代からということですね。

3、お茶の稽古にもGRITが

やり続けてみることの重要性は昔から変わらないのに、現代でもやり抜く力に関する本がベストセラーになる、ということは、なかなかに身に付けるのは難しい、ということなのだと思います。

最新の理論や手法は例の本にお任せするとして、ここでは、利休以来受け継がれてきた茶の湯の世界から参考になる稽古の考え方をご紹介します。

『稽古とは一より習ひ十を知り十よりかへるもとのその一』
  
利休の茶道精神を歌の形で表した『利休百首』より

これは、稽古においては繰り返し繰り返し何回も基本を学ぶことが大切だ、ということを意味しています。
1から10までやって終わり、ではなく、10まで行ったらまた1に立ち戻って2、3、と稽古を重ねて行くのです。

退屈だと思います?

数年しか稽古を受けていない私が言うのはおこがましいのですが、稽古が退屈になるかならないか、は稽古を受ける本人次第です。季節も、天気も、道具も、そして自分自身も、前回とは違うのですから、毎回気付きがあるものです。

これは、仕事にも通じるところがあると思います。
たとえルーティン業務でも、なにか改善点がないか考えて毎回工夫をしてみるか、単に作業としてこなすだけなのか。数ヶ月、数年先には大きな違いを生むのではないでしょうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。
読んで頂いたお時間だけでも参考になったことがあれば嬉しいです。

なお、今回取り上げた『利休七則』については、マネジメントの観点からのメモも投稿していますのでよろしければ見てみてください。





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