相手の口から出た「コトバ」を、そのまま相手に戻してみると…
「パンにしますか?ライスにしますか?」に「ごはんでお願いします。」と答えたら、「ライスですね」と確認された、という、どーでもいい出来事で考えた、「コトバはその人の思考回路を通って出てきたものだから、、、」についてメモ。
1、根に持っているわけではありません。
半年ぶりぐらいにちゃんとしたお店でランチを頂きました。
今はテレワーク中で、週に1回ぐらいしか出社しませんし、毎日昼ごはんになんだかんだで1,000円近く使っていたことを考えると、ちょっと豪華なランチもいいかな、と、某高級ホテルの中にある、ちょっと敷居の高いレストランでお昼を頂きました。
ハンバーグランチ(お子様か、という感じですが笑)を頼んだ時に冒頭のようなやりとりが店員さんとありました。
その時は「訂正されちゃったぁ」とちょっと凹んだのですが、「お、これはnoteネタになるかも」と、前向きに転換できました。note効果です。
2、今回の出来事から考えたこと。
これまでの経験で、特徴的なコトバ遣いをする人に対しては、特にそれがキーワードであればこちらからも繰り返し使うことで会話がスムーズに行く、という実感があります。
え?でも、適切に言い換えすることで、話をよく理解して聞いている、という印象を相手に与えられる、と聞いたけど?という方もいらっしゃると思います。
確かに、傾聴のテクニックに、うなづきのやり方の一つとしてありますし、効果的です。
つまり、相手のコトバ(特にキーワード)をそのまま使うか否かは以下2つのパターンがあります。
☑️ うなづきとして:内容を理解していることを示すために言い換える
☑️ 相手の決断の後押しとして:相手のコトバそのままを使う
なお、今回のレストランの例のように、「正しく言い換える」というのは、場合によっては反発を招くので気をつけなければなりません。
3、「決断の後押し」の事例
「決断の後押しとして」、が、ちょっと分かりにくいと思います。
ご参考として、私が非常に印象に残っているやりとりをご紹介します。
ある金融機関の依頼で研修プログラムを提供、その一環として、何人かの営業マンに同行していた時の話です。
ある経営者の方にある金融商品を提案する目的で訪問しました。
お話ししているうちに、「コウサンあればコウシンありだから」というコトバが出てきました。担当者は(私もですが)意味が分からないようでしたが、前後関係から特段その件に触れなくても問題ないと思ったのか、そのまま話を続けます。
結果的には、「考えるよ」という話で終わりそうだったのですが、私が「コウサンあればコウシンなし」の意味について尋ねると、「恒産あれば恒心あり、だよ」と漢字で説明して頂きました。
意味としては、「きちんとした財産があれば、安心して生活できる」という意味になるわけです。
面談後、同行した金融機関の方には、次回の面談時に、「恒産あれば恒心あり」をキーワードとして使うようお伝えしました。
なぜなら、お忙しい経営者の方ですから、今日の話はほとんど忘れているはずです。
ところが、お客様から出た、「恒産あれば恒心あり」という言葉をそのままお伝えすれば、かなりの部分を思い出していただける、と考えたからです。
また、商品の説明を聞いている最中の感想として出てきた言葉ですから、提案している商品についても良いイメージをお持ちだと推定できます。
つまり、その商品を持てば「恒産」を持つことになり「恒心」を持てることになる、とお話しすることが一番お客様の思考にフィットすると考えたのです。
その後、担当の方から、成約頂けたとの連絡を頂きました。
ちょっと長くなりましたが、相手が言ったコトバをそのまま使って、決断を後押しする、というイメージがお伝えできれば。
4、まとめ
いかがでしょうか?
人の頭の中は覗けませんが、そこから出てきたコトバは分かります。そのコトバはその人の思考回路を通って出てきたものですから、またその思考回路を起動して頂くには、そのコトバを一言一句違わずに戻してあげれば良い、ということになります。
その場合には、変に要約や言い換えはしない方が良いことが分かります。
一方で、聞いてるよ、理解しているよ、という場合には、同義語に置き換えることでそれを伝えることができます。
ことほど左様に、コトバというものの扱いは、ちょっとした違いが大きな差になる、ということです。
5、最後に
文中に出てくる「恒産あれば恒心あり」ですが、孟子の言葉で、正しくは「恒産無くして恒心無し」。
意味は、「一定の職業や財産を持たなければ、しっかりとした道義心や良識を持つことはできないということ。」
だからといって、「ライスーごはん事件」(!?)のように、「恒産無くして恒心無し、ですよね。」と訂正してはいけない、ということですね😅
最後までお読みいただきありがとうございました。
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