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#368 「ビジネス頭の体操」 7月20日のケーススタディ

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


7月20日(火) ニューノーマルに強いハンバーガー業界!?

東京都新宿区西新宿に本社を置き、ハンバーガーチェーン店「マクドナルド(McDonald's)」の経営などを行う日本マクドナルド株式会社が制定した、「ハンバーガーの日」です。

マクドナルド、感染症で大きな影響を受けている外食産業のなかでは例外的に売り上げ好調と伝えられています。調べてみました。

まず、直近の2020年12月期の決算です。
営業利益は11.7%増(!)の321億円と9年ぶりの最高益更新、全店売上高も7.3%増の5,892億円とこちらは2年連続の過去最高更新、と絶好調です。

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もう少し中長期でみた推移がこちら。

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大きく落ち込んだのはご記憶にある方も多いと思いますが、2014年の中国工場での鶏肉の杜撰な管理が明らかになったところに、2015年には国内での異物混入が発生したことによるものです。

そこからの回復、そして売上高でも利益でも過去最高を更新、というわけです。

その要因ですが、やはりテイクアウト、デリバリー、ドライブスルーなどによるもので、決算説明資料の中でも、デリバリーについては年内に47都道府県への展開を目指すとし、ドライブスルーもキャパシティの拡大を謳っています。

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この好調はハンバーガー市場全体のものだったのでしょうか?

昨年7月末の富士経済「新型コロナウィルスの影響を踏まえた外食主要業態の調査結果」によると、ハンバーガー(ファストフード)の市場規模は2019年比3.6%増の7,311億円と見込まれています。

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このデータには内訳が出ていて、イートインは4.4%減ですが、テイクアウト、デリバリーはともに3割増となっています。

これは、昨年7月末時点の見込み、ですが、日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和2年(2020年)年間結果報告」によると、ハンバーガー店が主と思われるファーストフード(洋食)が売上高で5.5%増となっています。コメントでも、「テイクアウト・デリバリー需要に支えられた」ことが言及されています。

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特筆すべきなのは、店舗数、客数がともに落ち込む中で、要因は客単価が16%も増えていることです。
イートインであれば1人で1人分でしょうが、テイクアウトやデリバリーは1注文で複数人の場合も多く、単価がアップしたことが伺えます。

日本フードサービス協会は毎月の結果報告も公開しているのですが、最新の5月の報告の表題のを以下に引用します。

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外食産業の厳しさが伺えます。

ちなみに、この5月のデータでもファーストフード(洋食)は前年比110.3%の売上高となっているのですが、中身が若干変化しており、客数が24.6%増、単価が11.5%減、と店舗利用者が増えていることが伺えます。

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次に、業界2位とされるモスフードサービスの決算もご紹介します。

マクドナルドと決算期が3ヶ月ずれるのですが、2021年3月期の決算です。

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売上高は4.3%増の719億円、営業利益は34.1%増(!)の14億円となっています。

モスバーガーの決算説明資料には、直営店とフランチャイズの加盟店、モス以外の飲食事業の店舗、それぞれの国内既存店前年対比データがありました。

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コメントにもありますが、首都圏中心の直営店が売上を落とす中で、郊外に多い加盟店の方がテイクアウトを中心に売上を確保したことがわかります。


最後にこれだけ外食産業の中で例外的に勢いがある業界ですので参入が相次いるというニュースを2つご紹介します。


→複数の販売チャネルを持つことの強さがマクドナルドをはじめとしたハンバーガー事業者の売上からわかる。一方で選択と集中とも言われてきたが、このバランスはどのようにとっていくのが良いのだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

皆様の頭の体操のネタになるところが1つでもあれば嬉しいです。

昨年7月からこのような投稿を続けてきてほぼ1年になります。以下のマガジンにまとめてありますので、お仕事を離れて頭の体操をしたいときに覗いて見てください。


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