見出し画像

パナソニックの視点:気候変動問題解決は160年後の子どもたちへの責務

1年半ほど前、「パナソニックが気候変動対応に取り組む理由🔗」と題して投稿させていただきましたが、その際に触れなかったことを少し綴っておきたいと思います。

当社の創業者松下幸之助が1932年に高らかに宣言したのが、「物心一如の繁栄」・・・「精神的な安定と、物資の無尽蔵な供給が相まって、初めて人生の幸福が安定する。自分が松下電器の真の使命として感得したのはこの点である。」という当社の「真使命」。そして、その時のもう一つの宣言が「250年計画」で、当時の一人の人が社会で働く平均期間の25年を1節とし、10節すなわち10世代にわたって「物心一如」の理想の社会の建設を目指そうというものでした。

これは、自分たちの世代だけでなく、次の世代、また次の世代に、この真の使命の達成を受け継いでもらいたいとの創業者の願いであり、今、第4節を担っている私どもパナソニックの社員は、その使命達成のたすきを預かっていて、そのたすきを次世代に繋ぐことが私どもに課せられた役割なのです。

そして1932年から250年後の2182年、今から約160年後に、私たちの子孫が私たち以上に、物質面でも精神面でも幸せなくらしを満喫している。そういう未来社会を目指している私どもにとっては、私たちの子孫が、この美しい地球上で暮らすことができないような状況は絶対に避けなければなりません。それが、パナソニックの第4節を担う私どもが、この第4節の最重要課題として、地球環境問題、とりわけ気候変動問題に真剣に取り組む理由です。

少しでも早く地球温暖化を阻止し、資源循環を当たり前のものにしなければ、160年後の子どもたちの幸せはあり得ないと考えています。

地球温暖化を阻止するためには…?

私どもが「Panasonic GREEN IMPACT🔗」で2050年に向けて目指す「世界のCO2総排出量の約1%、3億トンの削減インパクト」は、
① 自社サプライチェーンにおける削減インパクト 1.1億トン、
② 既存事業による社会への排出削減貢献インパクト 1億トン、
③ 新事業・新技術による社会への排出削減貢献インパクト 1億トン、
から構成されます。

この「削減貢献」、皆さんには聞きなれない言葉だと思います。今、企業のCO2を含む温室効果ガスの排出については、主にGHGプロトコル🔗という自社のサプライチェーンからの温室効果ガス排出量算定基準で評価されています。このGHGプロトコルでは、
Scope 1:直接排出量・・・その企業による温室効果ガス排出、
Scope 2:間接排出量・・・供給された電気や熱のエネルギー源の使用に伴う排出、
Scope 3:その他の排出・・・調達先での部材の生産に伴う排出や、ユーザが製品を使用する上での排出、など
これらの総和が、企業の温室効果ガス排出量と算定されます。

しかし、この指標だけを見て、これを下げていけば温暖化の阻止が加速できるのか?・・・私はそれだけではダメだと考えています。例えば、内燃機関自動車から電気自動車への転換を加速するために、EV用電池の生産を拡大すると、一時的にはScope 1、Scope 2の排出量は増えます。無論、工場で生産に使うエネルギーの削減や、工場で使う電力の再生可能エネルギー由来の電力への転換には取り組みますが、どうしても排出量の増加が先に来る。

だからといって、EV用電池の生産拡大を躊躇すべきかと言えば、社会全体の温室効果ガス排出の削減を加速するには躊躇すべきではありません。

同じ志を持つ皆さんと共に本気で取り組む

この事例だけではなく、また私どもパナソニックのみならず、様々な業界で、様々な企業が「社会全体の温室効果ガス排出の削減の加速」をアクションすることが、結果として地球温暖化阻止の加速に繋がると考えています。

WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)では、CO2削減貢献量を、既存の製品やサービスを使い続けた場合と、CO2削減に貢献する製品やサービスを新たに導入した場合との排出量の差分と定義しています。今のところは、この定義は国際的に統一されているわけではなく、まだ、企業評価の指標とは呼べません。

しかし、私はこの指標が、環境貢献企業を評価する新たな指標として政府・金融業界・投資家からも認識されるようになれば、地球温暖化の阻止に貢献する企業への投資が後押しされ、結果として地球温暖化阻止の加速に繋がると考えています。

今、私どもはWBCSDやIEC(国際電気標準会議)、GXリーグ(経済産業省主催、脱炭素と成長の両立を目指す企業が参加する協働の場)などで、同じ志をもつ企業の皆さんとともに、削減貢献量の必要性の議論をリードしています。

その甲斐あって、COP27の日本パビリオンでは「CO2削減貢献量の指標化、国際標準化が、経済発展と脱炭素社会の両立に重要である」との合意を得ることができ、今年3月にはWBCSDやGXリーグで削減貢献量のガイダンスが発表され、先月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合では、「削減貢献量を認識することに価値がある」と成果文書に明記されました。

パナソニックグループは、これからも本気で、脱炭素社会に向けた取り組みを、一企業としてのみならず、業界・社会全体の動きとして加速すべく進めていきます。



みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!