楠見 雄規@パナソニック

パナソニックグループCEO。大阪府生まれ、奈良県育ち。座右の銘「心は工【たく】みなる… もっとみる

楠見 雄規@パナソニック

パナソニックグループCEO。大阪府生まれ、奈良県育ち。座右の銘「心は工【たく】みなる画師の如し」。凝り性でとことんのめりこんでしまう癖あり・・・。趣味は、料理とロードバイク。

最近の記事

「変わってますね…」と言われる私の本の「使い方」

よく聞かれる質問で、答えに窮する質問が「愛読書は何ですか?」です。 しかし、私には巷で言われるような「愛読書」(いつでも手に取れる場所に置いておき、何度も読み返す本)がありません。「愛読書の一つもなくて、よく社長なんかやってるなぁ!」という批判も聞こえてきそうです。 「過去読んだ本で、大いに学びになった本は何か?」と聞かれれば、(創業者・松下幸之助の著作を除き)とある研修で推奨されたヤマト運輸創業者・小倉昌男さんの『経営学』(日経BP)、マイケル・A・ロベルト教授の『決断

    • 食おうや、福島!

      絶対に自信がある商品なのに、何かが足りなくて受け入れてもらえない…。 我々メーカーであれば、商品が十分に認知してもらえていないならば宣伝をする、あるいは人々の嗜好が変わったならば新たなニーズに合致した新製品を出すなど、自分たちで様々な手を打つことができます。 あるいは、発売をしたものの、機能や性能、品質が劣っていて売れ行きが悪いならば、それは自らの至らぬところですから、反省をして改善を図ることもできます。 しかし、憶測から噂を立てられて、自信のある商品が売れないというこ

      • 「地球にご迷惑をおかけしない家」に建て替え中

        突然ですが、実はいま、自宅を建て替えています。 ことの発端は、 妻:「いずれは孫もできたら遊びに来るし、そうするとダイニングも狭いし増築したいんやけど・・・」 私:「孫なんて、いつできるかわからんやん。」 妻:「せやけど、広くなったら、キッチンも広くできるで。」 私:「それもそやな。」(←料理好き) という流れで築20年余りの自宅を「増築」しようと考えたのですが、 調べてみるとこの20年の間に消防法による規制が変わり、元々の建物の構造では増築は無理とのこと。20年で建て替え

        • パナソニックの視点:気候変動問題解決は160年後の子どもたちへの責務

          1年半ほど前、「パナソニックが気候変動対応に取り組む理由🔗」と題して投稿させていただきましたが、その際に触れなかったことを少し綴っておきたいと思います。 当社の創業者松下幸之助が1932年に高らかに宣言したのが、「物心一如の繁栄」・・・「精神的な安定と、物資の無尽蔵な供給が相まって、初めて人生の幸福が安定する。自分が松下電器の真の使命として感得したのはこの点である。」という当社の「真使命」。そして、その時のもう一つの宣言が「250年計画」で、当時の一人の人が社会で働く平均期

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          そっか、川下り型だったんだ・・・でも、ん??

          若い方と話をしていると、よく「楠見さんは若い頃から社長を狙っていたんですか?」と聞かれます。 「若い頃から社長って・・・そんな奴はおらんやろ」と答えていたのですが、最近、スタッフの一人から「楠見さんって、”川下り型”だったんですね」と言われ、「何それ?」と聞くと、あらかじめ目標を決めてそこへ向かって一歩一歩進んでいくキャリア観を”山登り型”というのに対して、”川下り型”というのは、大きな方向感は持ちつつも目標に固執しすぎず、自分が大切にする価値観を軸に仕事に取り組んでいく、

          そっか、川下り型だったんだ・・・でも、ん??

          これから社会に出る皆さんへ伝えたいこと

          今年も早いものであっという間に3ヶ月が経過し、新年度を迎えました。私たちも2023年度のパナソニックグループ入社式を行い、新たに約1,100名もの新社会人の皆さんを我々の仲間に迎えました。   今回は、昨年に引き続き、私が当社グループの新入社員に話した内容を紹介します。今年から新たに社会人となる方だけではなく、今の仕事で悩みを抱えていたり、やりがいを見い出せずにいる方にも読んでいただき、何か変化を起こすきっかけにしていただけたらと思います。 +  +  + はじめに新入社

          これから社会に出る皆さんへ伝えたいこと

          つくづくSNS様様

          皆さんの会社では、組織や階層を超えたコミュニケーションツールはありますか? パナソニックグループでは、MicrosoftのYammerという企業向けSNSツールを活用したコミュニケーションが活発になってきています。 最近、Yammerはただのコミュニケーションツールとしてだけでなく、社内での組織・階層を超えた関係づくりや、フラットなコミュニケーションによる心理的安全性の向上に大いに役立っていると感じています。 社内サークル活動例えば、私は、グループCEO以前のオートモー

          関西人の私が「ロンドン」を好きになった話

          唐突ですが、皆さんは「海外に住むとすればどこがいいですか?」と聞かれたら、どの街を挙げますか? 私は単身赴任で住んでいた「ロンドン近郊」と答えます。 失敗で始まったイギリス1996年ごろ、私は、あるプロジェクトで日本とイギリス間を頻繁に往復していました。会社としてはそのプロジェクトは成果があったのですが、私が関わっていた部分は大失敗。そんな苦い思い出のあるイギリスに、今度は、2002年ごろ37~38歳くらいの時に研究開発(R&D)部門の責任者として出向の立場で赴任することに

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          2023年は「捷」‼

          新年、明けましておめでとうございます。 清々しい新年をお過ごしのこととお慶び申し上げます。 2020年に「今年の一字」として「超」という字を書いて以来、今年の一字を書初めするのが習慣になりました。 昨年書いた「挑」という字は、「パナソニックが事業会社制という新たな会社の形で、それぞれの事業が自主責任に基づいて、旧来のやり方に捉われずに改革に挑戦していこう」という意図で選んだ一字でした。 そして、今年は「捷」です。 「何だその字?」と思われる方も多いかもしれません。 「誰

          揚げない南蛮漬けの話

          年の瀬となりました。 今年は行動制限がなく、数年ぶりに親戚で集ったりできるのではないでしょうか。 今では、年末年始におせちをつくるご家庭も減ってきていると聞きます。 おせちに替えて、といっては何ですが、親戚や友人で集った際に、昔食べた味、家族の行事、家族の作った思い出の味について話してみたり、作ってみたりするのはいかがでしょうか。 私には、小さい頃から母が作ってくれた思い出の味であり、いまも受け継いでいる一品があります。 「南蛮漬け」です。 みなさん南蛮漬けといえばどう

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          はじめまして!楠見さんの秘書です。

          はじめまして!楠見さんの秘書です。 突然、誰?とお思いかと思います。 事の発端は、楠見さんや同僚との何気ない会話から、「noteで秘書の目から見える楠見さんを書いたらおもしろそう、何でも好きなこと書いてよ!」と無茶ぶりされました(苦笑)。 「私が?」と思いつつ、楠見さんの素顔や思いを少しでもお伝えできればと思い、今回は秘書の私から見える楠見さんを少しお話させていただきます。 君は誰やねん まずは簡単に私の自己紹介から。 大企業と言われるパナソニックグループのCEO秘

          はじめまして!楠見さんの秘書です。

          「多様な働き方」はスキルを磨き、キャリアを繋ぐため

          今月上旬、10月3日に「多様な社員の安定したウェルビーイングを実現」というタイトルで、選択的週休3日・4日や、働く場所の選択肢の拡大に取り組むプレスリリースを出しました。 このリリースについて、外部の方から「そんな甘いことをやって大丈夫か?」「ますますぬるま湯になって熾烈な競争に勝てるのか?」というような質問を受けたり、手紙をいただくこともあります。 今のパナソニックグループが、誰にも負けない立派な仕事をして、理想的なくらしやより良い社会の実現に大きな貢献ができているのか

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          電動アシスト自転車の「押し歩き機能」の商品化実現に感涙!!

          先般、大阪・柏原市のパナソニックサイクルテック🔗を訪問しました。同社を担当していたのは2014年から3年弱ですので、約5年ぶりの訪問でした。 ロードバイクが私の趣味のひとつであることは以前にも書きましたが、当時の私の週末朝練コースはサイクルテック社の近くを流れる石川の河川敷〜大和川の堤防に続く南河内サイクルライン🔗でした。また、堺の自宅から奈良の実家にロードバイクで行く時には、必ずサイクルテック社の前を通っていました。 さすがに担当する会社の近くを他社ブランドのバイクで走

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          「誰にも負けない努力」…稲盛和夫さんを偲んで

          今週、京セラの創業者の稲盛和夫さんのご逝去が報じられました。 偉大な経営者のご功績を偲び、謹んでご冥福をお祈りいたします。   報じられたその日の夕方、私も同席したブルーヨンダーの新社長のダンカン・アンゴーブの日本での就任記者会見があり、その場でも記者の方から稲盛さんのご逝去の報に接しての感想を求められ、「稲盛さんの著書を通じて学びを得た」という趣旨のコメントをさせていただきました。 ここで、稲盛さんの著書の中で、皆さんにお勧めしたい本を1冊紹介します。 それは「誰に

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          オカタヅケPROJECT始めました。

          夏休み、皆さんはどのように過ごされたでしょうか? 3年ぶりの行動制限のない夏休みで旅行に行かれた方も多いと思います。   私はこの夏休みはオカタヅケに明け暮れました。 明け暮れたと言っても、全て終わったわけでもなく休み中の進捗は70%くらい。残りは9月中の休みの日にボチボチやるつもりです。 今後は読まないであろう本や、見ないであろうBlu-ray、使わなくなったカメラなどリサイクルできるものは「みんなで“AKARI”アクション」🔗(読み終えた本やリサイクル品の寄付によって、

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          私は「指」で考える

          皆さんは自分の考えを整理するとき、どんな方法をとられますか?   声に出して話すことで考えがまとまるという方もおられますし、真っ白な紙やホワイトボードに書きながら考えるという方もおられます。また、付箋紙に様々な事柄を書いて、それらを並べながら考えをまとめるという方もおられますね。 私は考えるときには、指を動かして「文章」にします。私にとっては指を動かし、文章を書いて、ストーリーとしてまとめるのは普通の習慣なのですが、周りからユニークと言われたので今回、ここに書いてみることに

          私は「指」で考える