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はと

鬱屈。散歩をしていても、散歩に出ても、とげとげしているこころ。


うろついているうちにさしかかったのは、子供の遊具があるひろばの隅だ。柵の外に、白く動くものがある。生き物だ。ハトか。白は珍しいな。


小さなふくふくした生き物かそこにいるという思いは、ふっくらとした気持ちにさせた。

愛すべき生き物の存在ひとつで、こんなに救われるなんて。


すぐに気づいた。
ビニール袋だった。


がっかりした。


あったはずのいのちがそこにない感覚。

あるべきあたたかさが無機物だった空虚さ。

それはつまり「さみしさ」だった。


その日のはじめから、

はじめから、感じていた気持ちは、

本当はとげとげしさ、では、ない。

鬱屈を、していたのでは、ない。

ずっとさみしかったのだと、その時に気づいた。


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