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眠るリラ 眠るさくら 眠るにくほね の上にねむる ひとびと

引っ越してきたばかりの土地を歩いていた春です。

どんな土地にもむかしがあって、

むかしむかし誰かが住んで暮らして、つまり生きて愛して死んだりしていた。

太古のむかしからのところだってあるし、人が住むようになってうんと短い、ほんの数十年、もしかしたら私がしらないだけで、もっと短いようなところだってあるかもしれないけれど。

それぞれの場所で歴史があって、

歴史というにはあまりにささやかな、過ごしてきた時間なんかあって、

ひとやその他 生き物が生きてきた。

つまり、死はかならずあって。

だれかや、なにかの。

日常の延長にあるようなそれだったり、たいへんな惨禍を伴うものだったり。

それぞれだけれど、

死のうえになりたっていない地面なんかなくって。

逆に言うと生のうえになりたっていない地面なんかなくって。

過ぎ去ってしまった感情も 消えてしまった存在も 土はさらさらと淡々と包むようにきっと覚えていて。


 土の持つ記憶なんてものから遊離したようにさえ見える、のっぽなコンクリートのビルディング。


そういうのなんかのなかでねむっているひとびと、でさえも、


そんな 記憶を持つ地面のうえでねむっているのだなあと思いました。



つまり、わたしたちみんな。




眠るリラ 眠るさくら 眠るにくほね の上にねむる ひとびと

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