艸香 日月(くさか はる)

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艸香 日月(くさか はる)

作家。いらっしゃいませ! web:https://www.penznote.jp / Amazon:amzn.to/3wdS8QP / ふわっち:https://onl.sc/j6pPTh9 / Youtube:https://tinyurl.com/2p9ae995

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自己紹介

はじめまして、艸香 日月(くさか はる)と申します。 日々つらつら小説を書いて暮らしております。  現在、ここnote(ノート)にて、ほぼ毎日、1分で読める超短編小説を公開中です。 またアマゾンキンドルの電子書籍にて、このままのペースで書いて行けば短くて九年はかかると思われる超長編小説に挑戦中でもあります。 下にリンクを用意しております。どうぞお立ち寄りくださいませ。 「毎日一行でも進める」をモットーに、お待ちしております。  色々と学びながら進めておりますので話の出

    • 私なりの、未来のためにしていることあれこれ。

       まずは、よく眠ること。  自分の体が本調子でなければ、体も脳も本領を発揮してくれず、できることも激減してしまう。まずはよく、眠ること。寝不足だと自分にも他人にもきつく当たりやすくなってしまうので、自分のためにも他人のためにも、睡眠はしっかりととりたいもの。  食べること。  自分の心身の健康を損なわない程度に、多すぎず少なすぎず、栄養バランスも考えて、毎食をありがたくいただくこと。  笑うこと。  なにはともあれ、ひとりでだって、笑ってみること。  なんでも、笑うことで

      • 『みじかい小説』#151 夜の相性

         朝、とあるオフィスの化粧室での会話――。  綾、由香里、咲の三人が、鏡に向かい各々化粧ポーチをひろげている。 「おはよ、綾。どうしたの、手首にあざ出来てるじゃん」 「んー。手錠のあと」 「かーっ。相変わらず激しいねえ、綾んとこは」 「まあねえ、昨晩はとくにすごかった」 「へーえ。綾って元々そんなにMだっけ」 「そ。ドM。んで彼はドS。だからちょうどいいんだよね、うちら」 「なるほど。相性は大事よね」 「由香里んとこは?」 「うちは逆。あたしが攻めたい方」 「わお」 「屈

        • 『みじかい小説』#150 とある病室でのひとこま

           それは例年に比べて台風のよく来る、そんな秋のことだった。 「寿美里です、どうぞよろしく」  私がそう自己紹介を受けたのは、入院してから一日目のことだった。夏風邪をこじらせて自宅で長いこと寝込んでいたが、ついに高熱を出すに至り救急車を呼んだのが一昨日のこと。それから丸一日眠っていたらしいので、その計算になる。 「山崎安子です。こちらこそ、どうも」  私たちは隣り合ったベッドの上で上半身を起こしたまま、軽く会釈をした。寿美里と名乗る彼女は、えりあしで切りそろえた少しくせ

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          鑑賞記録#05『博士と狂人』

           今回はアメリカの映画『博士と狂人』(2019年)を鑑賞いたしました。  「19世紀、独学で言語学博士となったマレーは、オックスフォード大学で英語辞典編纂をはじめた。一方、殺人犯で精神病患者のマイナーは今まさに収監されようとしていた。」とかいう簡単な紹介文だけ読んで鑑賞をはじめたのですが、思いもかけず好みどんぴしゃな映画でした。  ざっとあらすじを紹介しますと、舞台は19世紀のイギリス、独学で多言語をマスターしたマレーという人物が、オックスフォード大学の辞書編纂プロジェク

          鑑賞記録#05『博士と狂人』

          『みじかい小説』#149 いかづち

           地震・雷・火事・おやじ。  昔は雷を「いなづま」と言って、稲の実が、いなづまの光を受けて実ると信じられていたんですって。  それから昔の人は雷鳴(らいめい)を「神鳴り(かみなり)」と言って神格化したりして、あの有名なタケミカヅチはその中の一人なのですって。  それからそれから平安時代には、かの菅原道真公が、流刑にあって没してから雷神になって復讐のために宮中に何度も雷を落としたという話。その際、道真公の土地の地名でもあった「桑原」にだけ雷が落ちなかったものだから、それ以

          『みじかい小説』#149 いかづち

          『みじかい小説』#148 とあるゲイのひとりごと

           俺は、自分がゲイであることを特別だとも何とも思っちゃいない。  ただ、ゲイであることで、そうでない人よりかは、早くから性について考えることが多かった。  なぜ俺は男なのか。なぜ俺は男が好きなのか。そんなことは考えたって仕方の無い事だ。なぜならそれは、なぜ俺は人間なのかを考えるくらい、意味の無いことだからだ。生まれついたからにはそう生きようと、俺は素直にそう決めた。成長する過程で、自分の性癖は少々特殊なのだということを自然と受け入れていった。それはそれで仕方の無い事だ。俺

          『みじかい小説』#148 とあるゲイのひとりごと

          鑑賞記録#04『竜とそばかすの姫』

           今回、鑑賞したのは『竜とそばかすの姫』(スタジオ地図)です。  制作は細田守という監督で、彼の作品には2009年公開の『サマーウォーズ』があります。こちらは男の子がバーチャル世界で大活躍という話なんですが、今作品は、女の子がバーチャル世界の歌姫となり大活躍するというお話です。非常に分かりやすいです。  ざっとあらすじを説明しますと、日本の片田舎に住むスズという母親を亡くした女の子が、ひょんなことからバーチャル世界の歌姫となり全世界的に有名になります。スズのハンドルネーム

          鑑賞記録#04『竜とそばかすの姫』

          『みじかい小説』#147 どんぶらこ

           僕はたまに波にさらわれる。  今日もスマホの液晶画面を眺めていると、つい油断して、波をかぶってしまった。  たとえばこうだ。  ニュースを読んでいると、「どこそこの芸能人が離婚した」なんて言っている。僕は「ふうん」なんて思う。離婚なんて昨今めずらしいことじゃない。他人が結婚しようが離婚しようがどちらでもかまわないのに、まあいいや、僕には関係の無いことだ。そうして僕は次のニュースに移る。けれどその一瞬に、僕の脳裏には、コメント欄の「子供がいるのに離婚するなんて何を考えて

          『みじかい小説』#147 どんぶらこ

          『みじかい小説』#146 あみあみ

           今日も私は手を動かす。  先端に小さな木製の玉のついた二本の長い棒を持って、その間にたった一本のか細い糸を延々と渡していく。二本の棒の間で、糸は二度、三度、不思議の術にからめとられ、ひとたま、またひとたまと、順々に棒に巻き付いていく。  私が編み物に興味を持ったのは、中学3年のときだった。たまたま人数合わせで入った裁縫部で、さして裁縫に興味もなかった私は万年幽霊部員と化していたが、私がそうこうしている間に、一人の女の子が数か月かけて見事なマフラーを作り上げたのだった。

          『みじかい小説』#146 あみあみ

          みじかい小説#145『レース』

           ほどよく風をはらんだレースのカーテンが、さきほどからふわりふわりと舞っている。  あたたかな日の光は、レースの繊細な花柄模様をすり抜けて、木目調の床の上に幾何学模様を描いている。落とされた光の粒の集まりは、よく見るとひとつひとつ、ぼんやりとした輪郭をまとってうごめいている。何やら不思議の生き物のような。そしてどこか不気味さを感じさせるような。  よく考えると、レースの花柄模様を構成しているのはとても小さな無数の穴で、その穴ひとつひとつに布のぶんだけ厚みがあり、そこにはう

          みじかい小説#145『レース』

          みじかい小説#144『花びら』

           どこからともなく迷い込んできたひとひらの花びらに寄せて、トーコは言葉をつづりだす。 「もしもし亀よ、亀さんよ」  花びらはトーコが肘をついている長机の上にひらりと落ちる。  そしてそのまま、動かない。  薄い黄色みを帯び、表面に細かな筋をたたえているその小さな花びらに、トーコはしばし、魅了される。 「どうしてここにいるのかな、君は」  トーコは花びらをじっと見つめる。 「他のきょうだいはどうしたの」  花びらはすんとも言わない。 「君はひとりなの」  す

          みじかい小説#144『花びら』

          みじかい小説#143『貴方』

           東の空に 薄雲 油然と湧き  西の空に 今 日が深山に没す  月 中天にのぼり 半円を描き  夕星も 通う 天道を いつまでか  清風 我が鎧を たおやかに 揺らし  かなしき虫の声 そこここに 響く   

          みじかい小説#143『貴方』

          みじかい小説#142『本音』

           一年に一度くらい、本音を打ち明ける日があってもいいだろう。  そういうわけで、今日は私の本音を話す。    思えば、私は、幼いころから世界で活躍する日を夢見ていた。  いつか世界的に有名になるはずであると、疑いもせず決めてかかっていた。  私の家の壁には大きな世界地図が貼られており、私はこの世界を自分の庭のように感じていた。田舎ながらも、父は私に英才教育を施してくれ、私もそれに懸命にこたえた。おかげで勉強に困ることはなかったが、中学生にもなると、いつか世界で活躍するの

          みじかい小説#142『本音』

          みじかい小説#141『手紙』

           拝啓 陸さま  あなたからの連絡が途絶えて、もう一週間になりますね。  刑務所の暮らしはどうですか。  まわりに怖い人はいませんか、大丈夫ですか。  ちゃんと食べれていますか、体は大丈夫ですか。  私はいつまでもあなたを待っています。  いつか会える日を楽しみに待っています。  それまで、きっとご自愛ください。  芽依 ー---------------------------------  拝啓 芽依さま  お手紙ありがとうございます。  刑務所での生活は、正直い

          みじかい小説#141『手紙』

          みじかい小説#140『ベランダ』

           私の家には小さなベランダがある。  3DKの我が家には、和室が2部屋、洋室が1部屋あるが、その和室と洋室に面するように設置されているのが、細長いコンクリートのベランダだ。色は黄土色、手すりとなる面はこれまた一面コンクリートで、ところどころに風を通すための穴が設けられている。  そんな我が家のベランダには、室内から管の伸びる空調の室外機と、母の選んだプランターが置かれている。今回の主役は、母の選んだプランターの方である。  さて。うちの母は植物を育てることに関しては人一

          みじかい小説#140『ベランダ』