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『みじかい小説』#151 夜の相性

 朝、とあるオフィスの化粧室での会話――。
 綾、由香里、咲の三人が、鏡に向かい各々化粧ポーチをひろげている。

「おはよ、綾。どうしたの、手首にあざ出来てるじゃん」
「んー。手錠のあと」
「かーっ。相変わらず激しいねえ、綾んとこは」
「まあねえ、昨晩はとくにすごかった」
「へーえ。綾って元々そんなにMだっけ」
「そ。ドM。んで彼はドS。だからちょうどいいんだよね、うちら」
「なるほど。相性は大事よね」

「由香里んとこは?」
「うちは逆。あたしが攻めたい方」
「わお」
「屈強な男があたしの下で喘いでるの、控えめにいってサイコー」
「あっはっは。The・肉食系」
「相性…大事だよね」
「ね」

「咲んとこは?」
「うちはどっちもいけるクチ。だからいっつも上になったり下になったりで忙しいの。でもって二人とも性欲強め。」
「へーえ」
「それで今日も目の下にクマか」
「そそ」

「じゃあ、今日も一日がんばってね」
「そっちもね」
「じゃねー」

 化粧の下に夜の顔を隠し、彼女たちは今日も一日をスタートさせる。

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