現代俳句 作品集 26 〜ビッグバン〜
「 ビッグバン 」
~現代俳句〜
巻き上げて東京があるあきすだれ
ぶつけあう声よ神輿よあきまつり
黙るとは無になることよ秋まつり
バス降りて紅葉かつ散る風のなか
このまちにこの木ひとつよ柿の秋
一枚の間を吊りさげてあきすだれ
電線は路地から路地へあきのくれ
傘にも灯路上にも灯よあきのあめ
電話して都市といなかのながい夜
一人見て名残りの月ということか
◇
昨日より京あたらしくあさがおよ
ひがしからにしのそらまで大花野
秋ぞらに島はそびえてかもめとぶ
遠やまをながめ立つ日よ蛇笏の忌
今日よりも昨日しずかよ秋すだれ
シャツを干す屋上空のたかさこそ
歯応えのナッツの秋よコーヒー店
かきまぜて秋深まるかコーヒー店
道ひらくこんごう杖よあきへんろ
秋へんろわすれられつつ旅ゆくか
◇
日がさして天も地も黄よ銀杏散る
奈良の町今朝ひとつぶの露のなか
そらじゅうを雲がゆく忌よ山頭火
えだにかぜ蓑虫みぎにひだりによ
屋じょうはかぜのあそび場雲は秋
竿むけて瀬戸おだやかよ鯊を釣る
ゆうばえの空に空によばったとぶ
一点のビッグバンよりあまのがわ
手をあてて胸の奥にもあまのがわ
億年のむかしあかるくほしづき夜
9月29日〜10月11日
いつも
ご覧いただき
ありがとうございます
◇関連記事◇
Kusabue ホーム
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?