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現代俳句 作品集 27〜波打ち際〜


「 波打ち際 」
~現代俳句〜

草わた飛ぶ阿蘇山麓ということか


とおく見て雲また風のすすきはら


絮とんで白のせかいよすすきはら


踏んでゆくひとりひとりが白露よ


立ったまま崩れて案山子雨のなか


曼珠沙華谷のそこまで日がさして


住みなれた町を背にして草絮吹く


千々にある島も紅葉のあかるさよ


たいふうがおおきな目して街の上


日がさして大安心よたいふうあと

大都市が浮かんではきえ霧のなか


東京タワー歴史が立っている秋よ


息吐いてあたため酒ということか


手に手によスポーツの日の各国旗


秋ぞらよ地きゅうはためく万国旗


コーヒー店琥珀いろの灯ともす秋


秋夕焼町じゅうに灯がともるまで


背後から空につぎつぎばったとぶ


ちいさな火まもるテントよ星月夜


ちきゅうとは生死の星よあまの川

秋の鳶揚がりあがって羽ばたかず


町じゅうがすがたあらわせ運動会


服いちまい羽織る人から秋になれ


手のさきのひとつ落とすな柿の空


赤とんぼ手とどく空を飛びかうか


秋ゆうやけ歩道橋までそのなかよ


ピーナッツ奥歯で噛んでバーの夜


鯊を釣る仕掛けづくりよゆびに風


かぜおとを聞くなみおとの秋浜で


波打ち際たどりあるいて秋あわれ


10月13日〜10月25日



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