見出し画像

現代語俳句メール句会 第9回 結果発表



「現代語俳句メール句会」と題して、
メールによる句会を開催しています。

今回は7名のみなさんに全31句をお寄せいただきました。

以下その結果発表です。



現代語俳句メール句会 第9回
2020年 9月

ご参加のみなさんの選と講評です

一太郎さん選 》

◎ 特選句 ◎

傘かしげ道ゆずり合う秋の雨
悠凜

季語である「秋の雨」のもつ物寂しさ、幾分かの暗い印象が街の歩道を行き交う人々の姿を、モノクロの映像で想像させてくれる。見ず知らずの人同士の、ほんの細やかな優しさが嬉しい。

◯ 入選句 ◯

去る人も来る人もいた鳳仙花
矢口れんと

駆けて頑張れこけて頑張れ体育祭
草笛

じゃかいもがほくほくと口幸せよ
草笛

いまの世のいまの故郷の良夜こそ
草笛



矢口れんとさん選 》

◎ 特選句 ◎

いまの世のいまの故郷の良夜こそ
草笛

上五・中七のリズミカルな対句から「良夜」という景になだれ込み、切れ字のために余情深く故郷の月が浮かび上がってきます。句全体に「いまここ」の精神が貫かれていて、たいへん清々しい句だと思いました。

◯ 入選句 ◯

二膳目は梅干しひとつ新米よ
吉田翠

村というひとかたまりの秋の灯よ
草笛

ゴム段を跳びきれなくて赤とんぼ
吉田翠

長閑さはサイフォンの音秋の午後
一太郎




吉田翠さん選 》

◎ 特選句 ◎

じゃかいもがほくほくと口幸せよ
草笛

日常の瞬間を、肩のこらない現代語で表現しつつ、幸せってこういう事だよなと、しみじみ味わえる句だと思いました。

◯ 入選句 ◯

鈍行の一両が行く秋の浜
一太郎

村というひとかたまりの秋の灯よ
草笛

賑わいの影に寄り合う露草よ
矢口れんと

傘かしげ道ゆずり合う秋の雨
悠凜




悠凜さん選 》

◎ 特選句 ◎

村というひとかたまりの秋の灯よ
草笛

私は今も生まれ育ったところにいるので、特に『故郷』的な場所はないのですが、ルーツレベルで言えばやはり新潟です。やはり高齢化、過疎化しています。『村』と言うより『部落』という単位で家が数軒かたまっており、外灯が立つまでは、遠目にはそこだけが暖かく明るかった時代を思い出します。

◯ 入選句 ◯

ウォーキング 律の調べや ショパン舞う
Heureuse

地球ごとあらうか白い秋の波
吉田翠

ふるさとを何処に決めるか渡り鳥
吉田翠

いまの世のいまの故郷の良夜こそ
草笛




笹塚心琴さん選 》

◎ 特選句 ◎

じゃかいもがほくほくと口幸せよ
草笛

情景だけではなく味覚にも美味しい一句です。あたたかさや優しさが身近なものとして豊かに心に広がります。実りの季節にふさわしい句だと感じました。

◯ 入選句 ◯

息災か 笑顔ほころぶ 梨届く
Heureuse

賑わいの影に寄り合う露草よ
矢口れんと

傘かしげ道ゆずり合う秋の雨
悠凜

長閑さはサイフォンの音秋の午後
一太郎




Heureuseさん選 》

◎ 特選句 ◎

モンブランの朝日のように栗一つ
草笛

1押しは、1番のモンブランの句を選びたいと思います。3番(※鈍行の句)と迷いましたが神々しく壮大なイメージを思わせて、栗一つという落差に可笑しみを感じると同時に、筆者にとっては恐らく今から食すであろうモンブランが、実際の登山に近しいほどの価値ある体験であるのことが想像できたからです。

◯ 入選句 ◯

鈍行の一両が行く秋の浜
一太郎

地球ごとあらうか白い秋の波
吉田翠

里山の裾の小流れ鰍釣り
一太郎

ゴム段を跳びきれなくて赤とんぼ
吉田翠




Kusabue選 》

◎ 特選句 ◎

散歩道ふらり ふわりと秋の蝶
Heureuse

ふらりとふわりの間の「切れ」と「間」にはっとさせられる作品です。1文字あけの手法がきれいに決まってると思いました。この句のような1文字あけの手法も、俳句の技法の1つとしてさらに進歩・進化していく可能性があると感じました。

◯ 入選句 ◯

芝草の欠片弾けて飛蝗とぶ
矢口れんと

どんぐりと寂しさ分かつ手のひらよ
笹塚心琴

鈍行の一両が行く秋の浜
一太郎

ゴム段を跳びきれなくて赤とんぼ
吉田翠




【得点票】

◯ 3点句 ◯

傘かしげ道ゆずり合う秋の雨
悠凜

じゃかいもがほくほくと口幸せよ
草笛

いまの世のいまの故郷の良夜こそ
草笛

村というひとかたまりの秋の灯よ
草笛

ゴム段を跳びきれなくて赤とんぼ
吉田翠

鈍行の一両が行く秋の浜
一太郎


◯ 2点句 ◯

長閑さはサイフォンの音秋の午後
一太郎

賑わいの影に寄り合う露草よ
矢口れんと

地球ごとあらうか白い秋の波
吉田翠


◯ 1点句 ◯

どんぐりと寂しさ分かつ手のひらよ
笹塚心琴

去る人も来る人もいた鳳仙花
矢口れんと

駆けて頑張れこけて頑張れ体育祭
草笛

二膳目は梅干しひとつ新米よ
吉田翠

ウォーキング 律の調べや ショパン舞う
Heureuse

ふるさとを何処に決めるか渡り鳥
吉田翠

息災か 笑顔ほころぶ 梨届く
Heureuse

モンブランの朝日のように栗一つ
草笛

里山の裾の小流れ鰍釣り
一太郎

散歩道ふらり ふわりと秋の蝶
Heureuse

芝草の欠片弾けて飛蝗とぶ
矢口れんと


敬称略
失礼いたします



【ご投稿句より佳句鑑賞】


どんぐりと寂しさ分かつ手のひらよ 心琴

どんぐりはくりくりとしてとても愛らしいですが、それにどことなくある寂しさを鋭く発見して詠まれた作品です。何にでもあるのが明暗。生々流転のこの世界で、嬉しいだけ、寂しいだけといった存在はありえないのかもしれません。


鈍行の一両が行く秋の浜 一太郎

なんということのない、いなか町には今でもよくある風景ですが「秋の浜」の1語で、雄大な作品になっています。胸にひろびろと広がる秋の海と秋の空が大変気持ちよく、同時に一抹のさびしさも感じさせる作品です。


ゴム段を跳びきれなくて赤とんぼ 翠

ゴム段はゴム跳びのこと。むかしの女の子たちの遊びですが、今でもあるでしょうか。赤とんぼが夕空や夕焼けを連想させます。一人の少女が終に跳びきれなかったゴム段、さまざまな思いが作品から伝わってきます。


芝草の欠片弾けて飛蝗とぶ れんと

バッタの力強さが表現された作品です。芝草の欠片は、バッタが飛ぶときにぱっと弾けた芝の塵のことでなるほどと頷かされます。トノサマバッタなどになるとその脚力は大変威力があります。勢いのある作品だと思いました。


散歩道ふらり ふわりと秋の蝶 Heureuse

ふらりとふわりの間の「切れ」と「間」にはっとさせられる作品です。1文字あけの手法がきれいに決まっています。この句のように1文字あけるには、あけるだけの意味と必然性が必須で、そこが大変むずしいところです。

※選句表では、この句も間を詰めて表記してしまっていました。たいへん失礼いたしました。


傘かしげ道ゆずり合う秋の雨 悠凜

「傘かしげ」という表現に趣きを感じました。人で混み合う大都市ではなく、しずかで歴史ある町での出来事のようにも感じます。何を言い、何を言わないのかも俳句では重要です。苦吟の悠凜さん、今回は1句のみでのご参加でした。



【ご投句いただいたみなさんの全作品です】


○ 笹塚心琴さんの作品 ○

りりりりとなにが悲しい鈴虫よ

どんぐりと寂しさ分かつ手のひらよ

驟雨まで私を責めるため降るか

厳かに影を伸ばしてひらく桔梗

白亜紀も湿らせたのか秋時雨


○ 一太郎さんの作品 ○

長閑さはサイフォンの音秋の午後

鈍行の一両が行く秋の浜

里山の裾の小流れ鰍釣り

オカエリと厚岸草に染まる郷

望郷の少女のマフラ夕焼け雲


◯ 吉田翠さんの作品 ◯

駐輪場みおくる声に秋の空

二膳目は梅干しひとつ新米よ

地球ごとあらうか白い秋の波

ふるさとを何処に決めるか渡り鳥

ゴム段を跳びきれなくて赤とんぼ


◯ 矢口れんとさんの作品 ◯

桐の葉はすべり落ちたか空の丈

去る人も来る人もいた鳳仙花

早稲刈られ空しく風の通り在り

賑わいの影に寄り合う露草よ

芝草の欠片弾けて飛蝗とぶ


○Heureuseさんの作品○
(ウールーズさん)

息災か 笑顔ほころぶ 梨届く

瓶の底 ぶどうジャムに 手を出せず

散歩道ふらり ふわりと秋の蝶

はやいくど 名残の西瓜 味比べ

ウォーキング 律の調べや ショパン舞う


◯ 悠凜さんの作品 ◯

傘かしげ道ゆずり合う秋の雨


◯ Kusabueの作品 ◯

村というひとかたまりの秋の灯よ

いまの世のいまの故郷の良夜こそ

じゃかいもがほくほくと口幸せよ

モンブランの朝日のように栗一つ

駆けて頑張れこけて頑張れ体育祭



みなさま、
ご投句・ご参加ありがとうごさいます

現代語俳句の会

現代語俳句の会 ホーム

現代語俳句の会ツイッター




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?