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現代俳句 作品集 23 〜夕陽〜


「 夕陽 」
~現代俳句〜

はばたいてひかりふりまく秋蝶よ


どかと立つ背中たたいて牛冷やす


鷺立ってひかりせせらぐあきの川


草が穂がととのってゆく秋の野よ


秋の蝉鳴きやむまでがたそがれか


富士ひとつ吹きのこしてよ秋の風


声ごとにわかれて秋のからす飛ぶ


運命と向きあいつつよ案山子立つ


教習車ゆるゆると行くあきのくれ


赤とんぼこの世ともども夕映えて

物干しよいつのまにかに桔梗咲く


コーヒーの湯気のしろさよ涼新た


かがみ見て自分じしんが秋だった


かぜのそらさわぎやまずよ竹の春


露草の咲くとなく咲くちいささよ


来たみちは踏みしめたみち大秋野


まちじゅうが影絵のようよ秋夕焼


大いちりんひらいてからよ遠花火


島のそら縦にながれてあまのがわ


秋風鈴そらはたしかにひろがって

あきの蝶羽のもようのしずかさよ


ちいさな手ちいさく合わせ地蔵盆


来ない子のこころにも灯を地蔵盆


赤とんぼひろい空とも言いきれず


吾亦紅あかく咲いても咲いてもよ

 
空じゅうの綿に夕陽よすすきはら


鶏頭花くろぐろと立つ日の暮れか


自然からはなれられずよ月あおぐ


こおろぎと寝ているあるじ一草庵


押しひらく窓あきらかに月さして


8月16日〜8月29日


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