現代俳句 作品集 23 〜夕陽〜
「 夕陽 」
~現代俳句〜
はばたいてひかりふりまく秋蝶よ
どかと立つ背中たたいて牛冷やす
鷺立ってひかりせせらぐあきの川
草が穂がととのってゆく秋の野よ
秋の蝉鳴きやむまでがたそがれか
富士ひとつ吹きのこしてよ秋の風
声ごとにわかれて秋のからす飛ぶ
運命と向きあいつつよ案山子立つ
教習車ゆるゆると行くあきのくれ
赤とんぼこの世ともども夕映えて
◇
物干しよいつのまにかに桔梗咲く
コーヒーの湯気のしろさよ涼新た
かがみ見て自分じしんが秋だった
かぜのそらさわぎやまずよ竹の春
露草の咲くとなく咲くちいささよ
来たみちは踏みしめたみち大秋野
まちじゅうが影絵のようよ秋夕焼
大いちりんひらいてからよ遠花火
島のそら縦にながれてあまのがわ
秋風鈴そらはたしかにひろがって
◇
あきの蝶羽のもようのしずかさよ
ちいさな手ちいさく合わせ地蔵盆
来ない子のこころにも灯を地蔵盆
赤とんぼひろい空とも言いきれず
吾亦紅あかく咲いても咲いてもよ
空じゅうの綿に夕陽よすすきはら
鶏頭花くろぐろと立つ日の暮れか
自然からはなれられずよ月あおぐ
こおろぎと寝ているあるじ一草庵
押しひらく窓あきらかに月さして
8月16日〜8月29日
いつも
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