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現代俳句 作品集 47 〜十五夜〜


「 十五夜 」
~現代俳句〜

行くほどに空いろづくかもみじ坂


行く橋に陽がさしてよりもみじ谷


日がさしていろとりもどす紅葉谷


屋根ごとに露びっしりよ五重の塔


行く先は胸でひらいてすすきはら


稲干して十日あまりの日なたこそ


このみちは日に行き着くか秋夕焼


くつおとの濡れていてこそ霧の街


三日月にすがた重ねて子規の忌よ


望遠鏡果てへと向けてほしづき夜

木あおいで手にありがたく毬栗よ


身に残るいのちも露のまぶしさよ


一山をちょっと摘んではきのこ汁


霧の山あしおとだけのしずかさよ


ひかる源氏はなのさかりよ菊人形


おごる平家はなのさかりよ菊人形


あかとんぼさお飛び立つな大夕日


生きるとは灯ともすことか秋の暮


まるまると照るまんげつよ芋煮会


すすむみちただひとすじよ船は秋

行くかわのながれとともに落鮎よ


赤とんぼ橋のしたから湧きくるか


とぶ鴉ひとこえごとにあきのくれ


いわし雲赤あかとして暮れきらず


ゆうぐれてだれでもなさよ秋遍路


さいげつが真赤に割れて無花果よ


栗羊羹かるくほほえむあまさこそ


あおぐ顔あかるんでより十五夜よ


屋じょうのきょうの高さよ望の月


かぞく来てとなりにならぶ望の月


09月14日〜09月29日


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