現代俳句 作品集 47 〜十五夜〜
「 十五夜 」
~現代俳句〜
行くほどに空いろづくかもみじ坂
行く橋に陽がさしてよりもみじ谷
日がさしていろとりもどす紅葉谷
屋根ごとに露びっしりよ五重の塔
行く先は胸でひらいてすすきはら
稲干して十日あまりの日なたこそ
このみちは日に行き着くか秋夕焼
くつおとの濡れていてこそ霧の街
三日月にすがた重ねて子規の忌よ
望遠鏡果てへと向けてほしづき夜
◇
木あおいで手にありがたく毬栗よ
身に残るいのちも露のまぶしさよ
一山をちょっと摘んではきのこ汁
霧の山あしおとだけのしずかさよ
ひかる源氏はなのさかりよ菊人形
おごる平家はなのさかりよ菊人形
あかとんぼさお飛び立つな大夕日
生きるとは灯ともすことか秋の暮
まるまると照るまんげつよ芋煮会
すすむみちただひとすじよ船は秋
◇
行くかわのながれとともに落鮎よ
赤とんぼ橋のしたから湧きくるか
とぶ鴉ひとこえごとにあきのくれ
いわし雲赤あかとして暮れきらず
ゆうぐれてだれでもなさよ秋遍路
さいげつが真赤に割れて無花果よ
栗羊羹かるくほほえむあまさこそ
あおぐ顔あかるんでより十五夜よ
屋じょうのきょうの高さよ望の月
かぞく来てとなりにならぶ望の月
09月14日〜09月29日
いつも
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ありがとうございます
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