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2022年8月の記事一覧
現代俳句 作品集 23 〜夕陽〜
「 夕陽 」
~現代俳句〜
はばたいてひかりふりまく秋蝶よ
どかと立つ背中たたいて牛冷やす
鷺立ってひかりせせらぐあきの川
草が穂がととのってゆく秋の野よ
秋の蝉鳴きやむまでがたそがれか
富士ひとつ吹きのこしてよ秋の風
声ごとにわかれて秋のからす飛ぶ
運命と向きあいつつよ案山子立つ
教習車ゆるゆると行くあきのくれ
赤とんぼこの世ともども夕映えて
◇
物干しよいつのまにかに
現代俳句 作品集 22 〜流灯会〜
「 流灯会 」
~現代俳句〜
待つひとよ泡つぎつぎとソーダ水
カーテンを昼からあけて夏季休暇
棒はじく皮のあつさよすいか割り
夜の闇深くするかにキャンプの火
一とはいわず湖畔のキャンプの火
れいぞうこ虚ろに冷えてゆく夜か
五重の塔音ひとつないひぐらしよ
たんざくの文字ざわめくか七夕竹
指さして星ものがたりたなばた竹
屋じょうよ町より近くあまのがわ
◇
朝顔よ明けたばかりの
現代俳句 作品集 21〜手花火〜
「 手花火 」
~現代俳句〜
来る河のながれは絶えず鮎がとぶ
透きとおることよいろ濃い水羊羹
蟻いっぴき葉のさきに立つ大自然
あおぎ見る顔かおかおに虹立つか
およぎ出てたいへいようを一望よ
生きてきた時代あかあか夕焼け空
そのおとも諸行無常のふうりんよ
こえがして月あるだけか青葉木菟
帰省して星夜しずかでにぎやかで
みずからを懐かしみつつ手花火よ
◇
ちんもくよてんとう虫