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現代俳句 作品集 21〜手花火〜


「 手花火 」
~現代俳句〜

来る河のながれは絶えず鮎がとぶ


透きとおることよいろ濃い水羊羹


蟻いっぴき葉のさきに立つ大自然


あおぎ見る顔かおかおに虹立つか


およぎ出てたいへいようを一望よ


生きてきた時代あかあか夕焼け空


そのおとも諸行無常のふうりんよ


こえがして月あるだけか青葉木菟


帰省して星夜しずかでにぎやかで


みずからを懐かしみつつ手花火よ

ちんもくよてんとう虫が飛んだ空


あめんぼがひろげる波紋数しれず


山の坂のぼるほどによほととぎす


嶺々たかだか雲はるばるよお花畑


日々遠くなりゆくものは蝉しぐれ


ひとすじの包丁さばきうなぎ割く


火起こしよ土用の丑の日のうなぎ


火あがってなおもあおぐか土用鰻


灯となって空港の夜のすずしさよ


いちぞくの灯はちりぢりよ夏の月

灯よ夜がなんど明けても夏の風邪


島じゅうの家沖むいてせみしぐれ


ふりまわしあうのが角よかぶと虫


蝉落ちて木々吹きぬける風のおと


羽抜け鶏夜ごとに満ちてゆく月よ


備長炭火を噴きがちようなぎの日


煎茶まで味わうこころうなぎの日


恋ごころほどのあかるさ手花火よ


ふと消えるものに自分と手花火と


茹で洗う水また水よ冷やそうめん


7月14日〜8月1日


いつも
ご覧いただき
ありがとうございます


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