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現代俳句 作品集 22 〜流灯会〜


「 流灯会 」
~現代俳句〜

待つひとよ泡つぎつぎとソーダ水


カーテンを昼からあけて夏季休暇


棒はじく皮のあつさよすいか割り


夜の闇深くするかにキャンプの火


一とはいわず湖畔のキャンプの火


れいぞうこ虚ろに冷えてゆく夜か


五重の塔音ひとつないひぐらしよ


たんざくの文字ざわめくか七夕竹


指さして星ものがたりたなばた竹


屋じょうよ町より近くあまのがわ

朝顔よ明けたばかりのそらのいろ


テレビ塔そらにもしんと秋立つか


散ることよそらよりおもく桐一葉


横断歩道その先とおくひぐらしよ


刈るおとはひとつといわず竹の春


しずかさもおとのひとつか秋の滝


富士という残暑どしりと夕ぞらよ


祖父のせなか父のせなかよ盆用意


目に浮かぶかぞくいちぞく遠花火


ひらくたび路地くらくなる遠花火

黙祷のそらのかなたのひぐらしよ


せんこうの火のちいささよ盆支度


ながめ見るかおは照らされ盆の月


迎火よ暮れてこの世のうつくしく


手あわせておもうことある墓参り


その若さかくしきれずよ盆おどり


とおのく灯わすれわすれず流灯会


大花火どどんとへいわつらぬけよ


しばらくは空見ているか花火あと


すずむしよ山ちかくあるものに山


8月3日〜8月15日


いつも
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