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偏愛のまなざし、慈しみの手触り

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手さぐり、それは触れて確かめ、そしてよく観察し、考察すること。エッセイや小説、コラムを集めよう。文章を通して温度や湿度を感じよう。これは偏愛の記録である。
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2日目のまさか。時を忘れる魔法にかけられた?

2日目のまさか。時を忘れる魔法にかけられた?

キャンパーの朝は早い、なんて言うが、わたしたち家族はまぁまぁ寝坊助。

周りのグループは早朝から焚火を始め、目覚めのコーヒーのために湯を沸かす中、冬眠から目覚めた熊のようにのそのそとテントから我々が這い出てきたのは9:00過ぎ。
まだ寝たい……目をこすりながらの活動開始です。

我が家の朝ごはんは決まってサニーサイドアップの目玉焼き。卵をカリカリに揚げ焼きする。フレンチブルドッグの護摩は匂いに

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テントと焚き火と令和のトム・ソーヤと

テントと焚き火と令和のトム・ソーヤと

さて、設営したテントは、去年買ったSOOMLOOMのcircusテント。
SOOMLOOMは本格的なギアなのに価格はリーズナブル。カラーやデザインも旬なものが多いので以前からランタンやテーブルなどツールも愛用中だ。
販売されてすぐ購入し1年間様々なキャンプ地で使用したものの、現在でもあまり使ってる人に遭遇することがない。
被らないって結構レアなのです。

しっかり高さのある天井は、169㎝のわたし

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〈エッセイ〉それいくらなんですか? 1,000どんぐりです。

〈エッセイ〉それいくらなんですか? 1,000どんぐりです。

わたしたち夫婦は結婚して丸1年と3カ月を迎える。
出会って4カ月で入籍したスピード婚。

神戸生まれ神戸育ち、シティー派のんびりインドアエッセイストの36歳妻と
奄美・喜界島生まれ全国育ち、スポーツ大好きアクティブカメラマンの45歳夫の
趣味が真逆のバランスが悪い夫婦だ。

共通点といえば2人ともAB型で蟹座なところと
お酒を飲むペースと量が同じなところ。
日々些細なことでブレイキングダウンす

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同棲相手のパンツを捨てて占い師になる話

同棲相手のパンツを捨てて占い師になる話

悩みって、ずっと尽きない。悩むことが趣味になっている人間はたくさんいるはずだ。私もそのひとり。趣味を超え、どうしようもなく悩んだ時、私は決まってカフェに行く。家の中で悩んでいても仕方ないからだ。

これまでの人生で最もカフェに通っていた時期があった。中央線沿線の不動産会社でOLをしていた頃だ。毎日毎日、家賃督促の電話をして、滞納者を励ます生活。明るく励ますのがポイントだ。どんどん上手くなる督促。高

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カフェで聞く光る男の話

カフェで聞く光る男の話

21歳、上京2年目の学生時代。
東京の暮らしにも慣れ、どんどん昔の自分を超えることに快感を得ていた頃、猛烈に好きな男がいた。その人に恋をした。一人暮らしの最高さ、誰も見張ってない、全く新しい自分になれる権利を得たようで開放的に恋をした。

出会いは渋谷109の前。ナンパした人だ。実のところ、ナンパするのはこれが初めてではない。この時の私はナンパすることが楽しくて仕方なかった。断られても、はい次とい

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〈エッセイ〉うさぎの寿命ってどれくらい? 悲しい好奇心

〈エッセイ〉うさぎの寿命ってどれくらい? 悲しい好奇心

一緒に暮らす動物としてそれほどメジャーではないうさぎ。

「家にうさぎがいる」と言うと、体感として一番多い質問が「うさぎの寿命ってどれくらいなんですか?」だ。

分かる、聞きたくなる気持ちは分かる。でも、いきなり寿命を聞かれると、こちらとしてはどうしても寂しくなってしまう。「うさぎ 平均寿命」と検索すると平均8年ほど、という数字が出てくる。うちのまろんさんは今年の3月で7歳になる。


まろんさ

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疲労困憊の体にはうさぎのフワフワが効く

疲労困憊の体にはうさぎのフワフワが効く

ニンゲンたちは毎日働いているので、ずっとまろんさんのそばにいられるわけではない。

幸い、まろんさんはお留守番も得意だ。ケージの中でおとなしく、食べたり寝たり、トイレしたり食べたり寝たりしてくれている。困るのはニンゲンのほうだ。


夫はわりと決まったスケジュールで動いているが、私は流動的だ。

1日中、家にいることもあれば、朝6時ごろに家を出て、帰るのが0時過ぎ、なんてこともある。そんな日が続

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〈エッセイ〉そしてニンゲンは「かわいい」しか言わなくなった

〈エッセイ〉そしてニンゲンは「かわいい」しか言わなくなった

まろんさんは知らないと思うが、ニンゲンの仕事は一応、ライターというものだ。

毎日、言葉をつづっている。

にも拘わらず、いま由々しき問題が起きている。

うさぎに対して「かわいい」としか言えないのだ。

友人に「うさぎどう?」と聞かれて、咄嗟に「かわいい」しか出てこない。もっとなんかあるだろう、かわいい以外に! といつも反省している。

まろんさんにも「かわいい」しか言っていない。

朝起きたら

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〈エッセイ〉ずっとうさぎの音を聞いていたい

〈エッセイ〉ずっとうさぎの音を聞いていたい

うさぎと暮らしていると、よく聞かれることがある。

「うさぎって鳴くの?」

声帯がないので、犬や猫のように大きな声で鳴いたりはしないけれど、音は発する。

怒っているときは鼻を「ブッブッ」と鳴らすし、逆に嬉しいときは「プゥプゥ」と小さく鳴らす。

鳴かないけれど、自己主張はしっかりする。



それ以外にもたくさんの音で思いを伝えてくれる。

機嫌が悪いと、後ろ足を踏み鳴らす。「ダンッ!」この

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〈エッセイ〉かわいいあの子のツンツン期

〈エッセイ〉かわいいあの子のツンツン期

 撫でられるのが大好きな我が家のかわいいうさぎ、まろんさん。

 今はニンゲンが自分の目の前を通れば「撫でますか?」「撫でますよね?」「さあどうぞ!」と圧をかけるほど。
 でも、うちに来てすぐのころから撫でられうさぎだったわけではない。

 まろんさんとは、まず夫が出会った。
 夫が勤めている会社の隣にあったうさぎ専門店。その店頭のケージで寝ながら草を食べているうさぎに一目惚れした。

「ふてぶて

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〈エッセイ〉撫でたいニンゲンと撫でられたいうさぎ

〈エッセイ〉撫でたいニンゲンと撫でられたいうさぎ

 我が家のうさぎの女の子、「まろん」は撫でられるのが大好きだ。

 ニンゲンの姿を見つけると、ケージから飛び出し、いそいそとお気に入りの低反発シートクッションにおててをのせてスタンバイする。

「さあ、撫でてもよくってよ」とでも言いたげに、まんまるのおめめをキラキラさせてこっちを見ている。ニンゲンにそのおねだりを無視できるほどの心の強さは持ち合わせていない。かわいさの前には無力である。

「撫でて

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