絵空文庫(8) 2021.4.22
絵空文庫は、とある世界の名著や噂の新刊を「秋霖書房」の書店員さんのコメントとともにご紹介するコーナーです。今週はこちらの3冊です。
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鳳謙吾著 『怨念巡り』
◇連なる怨嗟に手向けの花を。
旅行サイトで話題の旅館に宿泊した夜、従業員の殺人事件に巻き込まれてしまった沙希。翌日犯人は逮捕され、自分達は無事帰宅。それで全てが終わったはずだった…。実体の無い恐怖を描く本格派ホラーミステリー。
姿も見えない何かがじわじわ追い詰めてくる嫌な感じが、本当に怖いくらい巧みに表現されてます。作品としてはオススメしますが、あまり夜や暗い場所では読まない方がいいかもしれません。そして読んでる最中は、後ろを振り返ることも止めておいた方がいいでしょう。
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麻生アキ著 『アザレア哀歌』
◇充足、恋、愛、幸せ、全て奪われた。
彼女はいつも微笑んでいた。花のように柔らかく。花のように淑やかに。その胸の内に秘めた毒を、誰にも悟らせないために。消えない悲しみを抱える少女が、試練の末に遂げた復讐の顛末。それは、世界で最も切ない惨劇。
主人公は間違いなく悪人です。悪人なのですが、心に傷を負った彼女に話が進むほどどうしても感情移入してしまうし、応援したくなってしまう。だからこそ主人公でもあるんです。この痛々しさと汚なさの間ギリギリを突くような構成は秀逸だと思います。こんな小説には初めて出会いました。
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柴木義徳著 『風見鶏の嘴』
◇いつまでも、あなたを想う。その想いがどこへ向かおうとも。
この手で守ると誓った最愛の女性は、恋人となったその日の夜に、自ら命を絶った。あの時、自分の気持ちを受け入れてくれたのに、何故…。そして青年は、困惑と後悔の先で、語られることのなかった彼女の本当の想いを知る。自身が何より書きたかった話と語る、著者の代表作。
恋人と死に別れてしまうお話は結構あると思いますけど、死んでしまう場面から始まるというのはなかなか無いんじゃないでしょうか。もう戻らないという前提が、辿っていく過去のシーン1つ1つを引き立てています。感動する話を読みたい人にオススメです。じっくり読んで、思いっきり泣きましょう。
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今週はちょっぴり重めな3作品でした。あとは、想像力のページをめくるだけ。いつでも絵空文庫はあなたのなかにあるのです。
それでは、また来週お会いしましょう。(絵空文庫 編集部)
絵空文庫は全てフィクションです。実際の人物・作品とは一切関係ありません。
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せっかく暖かくなってきたけど、毎日ほんと風が強いよね。帽子を飛ばされないように気をつけないと。
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Yuki Kurosawa / Creator
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