試される大地の優しさに触れた北海道10日間の旅 / 花咲線で根室へ
JRが発売しているフリーパスを使って2023年10月に北海道一周をした旅noteです。
前回の旅はこちら
釧路で迎えた朝。
目が覚めたので部屋のカーテンを開けてみる。
この日の釧路の日の出は
日常生活で日の出の時間に目が覚めることなんてまず、無い…。
これで何度目だろう。北海道の太陽を迎えるのは。今日の朝焼けもきれい。
── こうやって旅が進むにつれ増えていく心に響く出来事や、思い出すだけで鼓動が高鳴る景色。。。今日も新しい旅路が私の心を驚かしてくれることは間違いない。
でも、この頃からワクワクした心の隅に少しづつ寂しさが募っていっているのを分かっていたけど、気づかないふりをしていた。
たくさんの感動を胸に抱えて、あと数日で私は大阪へ帰って行く᠁
時が止まればいいのに。
寂しい気持ちに蓋があればいいのに。
と、魔法使いかのような思考を巡らせ、ため息をひとつ。。。
旅の途中でこんな複雑な心境になるなんて᠁長く滞在すれば、みんなこんな気持ちになるのだろうか?
いや、北海道という地がそうさせているのかもしれない。
だけどそんな私に、元気だしなよ!と励ましてくれているかのように青空が広がり“霧の釧路”とは裏腹に見通しも抜群。今日もいい天気になりそう。北海道はどこまでも私の味方だ。ありがとう。
澄み切った朝をホテルの窓からしばし眺める。駅舎のはるか後方に見えてる山は雄阿寒岳や阿寒富士かな?
この空のように北海道は広い。旅はまだまだ続く。
さぁ、次の感動に会いに行こう!
今日はJR根室本線、愛称名「花咲線」 に乗って日本最東端である根室に向かいます。
「花咲線」こちらはJR根室本線のうち釧路~根室間だけに付けられたニックネーム。
くろしおにとっては、北海道のすべての列車が観光列車。今日はこのルートで車窓を楽しみます。
朝の日差しを浴びる釧路駅の出で立ちは、昭和の厳格な父親みたいに見えた。男前な建物やなぁ。
短い時間だったけど釧路駅ともお別れです。8時21分発の根室行きに乗ります。
ホームに上がるとすでに根室行きの列車が停まっていました。
ルパン車両だー。
ルパン三世の作者 モンキーパンチさんは花咲線沿線が生まれ故郷。
やったー!さっそくワクワクするね。根室までよろしくお願いします。
ルパンラッピング車両は一編成しかないはず。いっぱい写真撮っておこう。
行き先が『大楽毛』だって。なんて読むでしょう?
目線を下に向けると、ベンチの贈り主は『旅のおみやげにキヨスク』
“キヨスク”
昔はどこの駅でも売店と言えばキヨスクでした。なんか懐かしい。
発車する前から車窓を楽しむくろしおです。(笑)
そうそう座席は釧路発~根室行きは、進行方向右側がおすすめです。
このあたりの湿原と言えば釧路湿原の知名度がダントツですが、花咲線も別寒辺牛湿原の中を走ります。この別寒辺牛はラムサール条約※① に指定されている湿原のひとつです。それ以外にも原生林や広大な太平洋沿いと、その先にそびえる海食崖※② の岬など見どころが詰まった釧路~根室間 135.4kmを列車が走り抜けて行きます。
※① 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約
※② 波などの侵食によってできた切り立った崖のこと。
車内にはかわいいイラストで沿線紹介された路線図がありました。出発前にチェックしておきましょう。
釧路 8時21分発→根室 10時53分着。
本日の旅がはじまります。約2時間30分の車窓を写真で紹介していきます。
北海道の列車はこんな所を走るのです。何時どこで野生動物がひょっこり出てくるか、わからないですよね。
列車が走った後からは地面近くで常に落ち葉の吹雪が舞っていました。
とても素敵だった。
今日の落ち葉は可憐だけど、昨日のように雨が降るとその落ち葉で滑って列車が進まなくなる。自然と付き合うって“表裏一体”なんだと、ここで思い知らされる。
最後尾の車窓で学びを得て座席に戻ると、今度は馬と出会います。
どの瞬間も見惚れる景色の中、門静駅に到着。ここから厚岸駅の間では厚岸湾を望めます。
だけど、いつか必ず癒してくれると信じてる。ここで見た海のように。(この記事を書いている時に能登半島地震が起きました。こちらはそれに向けたメッセージを込めた文です)
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厚岸は牡蠣が有名。私の前方に座っておられたご夫婦は厚岸に牡蠣を食べに来たとお話しして下さり、この駅で降りて行かれました。
この駅を出発すると同じような風景が続くのですが、実はここは海では無く湖。
見えているのは、厚岸湖※です。
※ここも海と繋がっているので汽水湖。
そんな中 「私は列車になんて動じないわよ」 と聞こえてきそうなくらい堂々とした佇まいの鳥さんも(笑)
この厚岸湖や別寒辺牛湿原には、100種類ほどの水鳥が生息・越冬するために訪れるのだそう。水鳥達にしても、それだけ魅力的な場所ってことですよね。すごいなぁ。
そして次第に広がりを見せる、別寒辺牛湿原。
厚岸湾に続き、湿原の中も再び列車は速度を落として走ってくれます。減速中、お天気がよければ、ぜひ窓を開けて車窓を楽しんで。
でもここでひとつお願い。お天気が良くても夏場以外、開けた窓は通常走行に戻ったら、できれば閉めるようにしましょう。みんな開けた窓を閉めている中で、そのまま開けっ放しの方がおられたのですが、その人より後部座席に座っている人達は(くろしおも座ってました)ものすごい風を受けてけっこう寒いのです。そう、ここは北海道です。
あなたひとりなら、好きなだけ窓を開けて風と自然音を感じながら車窓を楽しむのもありでしょう。それだけ素晴らしい景色が続いているのは確かです。
しかし列車は公共の乗り物。周りの方に配慮した行動ができるといいですね。私も旅する中で気をつけたいと思います。
湿原が終わると茶内駅です。ここでは行き違いのためしばらく停車。
行き違いの列車がやってきました。
ん?これは。流氷物語号※のラッピング車両だ。
※ 冬限定でオホーツク海沿岸を走る観光列車。2024年も運行してます。去年(2023年)から、ラッピングがコラボ企画になって新しくなっているみたいですよ。
茶内を出発すると原生林や牧場の風景が続き、しばらくすると再び海が見えてきます。落石海岸です。
進むに連れ、落石岬が近くに見えてきます。この岩肌の一部が海食崖なんだそうです。
ここまで来たら、もうすぐ東根室駅。本当の日本最東端の駅は「東根室」なんですよ。
まるでスペクタクル映画を鑑賞したような時間だった花咲線。
── 終着 根室駅に到着です。
ここまで連れてきてくれた列車はしばらくすると、快速はなさき として折り返し釧路に帰っていきます。
改札を抜け降り立った根室駅は、こじんまりとした小さな駅です。
可愛らしい駅構内には、たくさんの展示物や根室の紹介であふれています。
とても地域愛を感じますね。
そしてここは、日本で一番早くに朝日がのぼる場所。
この黄色いポストは、九州にあるJR西大山駅の黄色いポストと深い関係にあるんですよ。
西大山駅にも行きました。黄色いポストあったよ。私の旅も繋がった!嬉しい。
このあと本当の日本最東端である納沙布岬へ向かいます。北方領土問題で政治色が強いと言われてる納沙布岬。自分の足で、日本の最東端を歩いて感じてみたいと思います。
この続きはまた。
くろしお
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