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わたしが「非正規」学校図書館司書になるまで。




司書になりたいと思ったのはいつだろう?

それは多分、小学生のころ。

司書を本気で志したのはいつだろう?

それは多分大学四年になってから。

そこからわたし地獄が始まった。

司書資格を取るには私立大に行くか、私立大とのダブルスクールをお勧めする。司書資格は比較的、機会さえあれば取りやすい資格だ。しかし、働きながら取れるほど楽かと言われるとそういうわけではない。取得単位がそれなりに多く、時間を食うからだ。

わたしの場合、地元の私立大に通って校内で普通に取得した。一番楽なルートだ。

他にも司書資格を取った人間は多くいたが、わたしの学年から司書になったのはおそらくわたしともう一人いたかいないか。多分司書資格を取っていたのは80人いたから、実に40分の1である。わたしの感覚だと、この確率は割と高いと思う。

校内で資格を取れない国公立大学であれば、さらに割合は下がるはずだ。

前述した通り、司書になる腹が本当に決まったのは大学四年の春だった。

吐くほど悩み、一ヶ月以上考えた上での結論だった。

理由はシンプル。

「あとで後悔したくない」

何か他の職に就いて、働きながらあの時司書を目指しとけばな、とか思っている自分を想像した。その姿は、虫唾が走るほどダサくて。とてもじゃないが、耐えられなかった。

だが、これ以外にも決めなくてはいけないことがある。

[Q]
1   一般の就職活動はどうするか。

2     一般職の公務員試験と並行して就職活動を行うか。

3  もしも、正規司書としての就職活動が失敗した場合、どうするか。


[A]

1については一切しなかった。退路を断つ意味でも、安全牌は用意すべきでないと考えた。

2についても一切しなかった。当時のわたしは公務員としての仕事に一切の魅力を感じていなかったので。

3  司書にしかなりたくなかったので、正規司書になれなければ、非正規司書としての就職活動を続けるつもりだった。



こんな感じでなかなか無謀な就職活動をしていた。

なぜこんなにも無謀なのか。働きたくないからである。そう。わたしは基本働きたくない。ひたすら猫と戯れ、来世は猫になることを願い続ける女である。ぐうたらしたい。したいことしかしたくない。

だが残念なことに、働かなくてもいいほど我が家は裕福ではなかった。

そんな私にとって唯一譲歩できる最低ラインが、司書として働くことだったのだ。だから、私にこれ以外の道はなかったと言える。


さて。

司書の雇用の少なさをご存知の方は、どれだけいるだろうか。
年に多くて全国数十件ほどである。
しかもそのほぼ全てが若干名から数名ほどの募集。

そこに10倍以上の人が受験する。

当然のように、大学四年のわたしは試験を全て落ちた。2次試験に一度だけ通ったものの、結局受かることは出来なかった。

ある時ははるばる県外まで受けに行ったりしていたのに……。

当然、そのあとは非正規の試験を受けることになる。ここに至るまでに度重なる親の説得など、大変なことは枚挙にいとまがないが、今は省略しよう。

非正規の司書募集を調べるまで、わたしは思っていた。

非正規の募集は多い。


と。甘かった。何事もなめてはならない。

正しくは

(正規雇用に比べれば)非正規の募集は多い。

である。

司書は非正規といえど、募集件数はさほど多くない。一月半ばごろに一つの県に数件ほど出ればいい方だろう。それが全てだ。

ただし、正規の募集と違い、一つの募集人数が多い。5人から10人程度の幅で募集がでる。

わたしはここでも落ちたりしつつ、なんとか引っかかった。

あれは、試験を受験した翌日だった。
あれは、確か二月末日。

大学へ出かけようと着替える私のスマホが鳴った。昨日受けた市からの電話だった。
「学校図書館司書ならやとってやる」と言われた。

わたしは瞬間返事していた。

「やります。やらせてください!」

考えるより先に声が出た。

これにて非正規学校司書、クロミミの誕生である。

そして、はじめての一人暮らしと仕事、そして勉強という地獄が始まる。


ただし、正規図書館司書、クロミミは誕生していない。

次回はわたしが正規図書館司書になるまでを語りたい。

こんなダメダメなドクズ野郎でもなれるのである。

それでは、次回を待て。

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