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ついに、「正規」図書館司書になる。




前回はわたしの就職一年目を語った。

非正規で司書をしながら一人暮らしすることの厳しさを、十二分にお伝えできたことと思う。

だがしかし。
わたしは正規司書を目指すのであれば、あえて一人暮らしすることを勧めたい。


今回はそんな風に、ちょっと真面目な話もできたらと思う。


さて。
時は遡ること、2020年春。

さあ、何が起こったか。

ーーーいや。始まったというべきなのか?そして、2021年夏の今もなお継続中だ。

もう言わずともわかるだろう。

そう。

コロナウィルスによる世界的パンデミックだ。

当然、学校でもその煽りを受け、長期の休校を余儀なくされた。

正直わたしはがっかりした。今年こそいろいろやろう、と心に決めていたからだ。学校というものは、一年目にはできなくても二年目にはできるということがたくさんある。一人暮らし生活も二年目に突入して、かなり余裕が出てきていた。

そんなわけでわたしは、出鼻をあっさり挫かれた。

では、休校の最中わたしが何をやっていたか。

たったの4つである。

・受験勉強
・子供の預かり監督
・ひたすら図書室の本を読む(蔵書の把握)
・卒業式の壁飾りを作る

休校と同時にどうしても家に一人でいることのできない子供というものがいくらかは発生する。全校60人そこそこの本校にあってもほぼ毎日2・3人の子が登校してきて勉強していた。

そして毎日ペアを組んで私たち教員は、預かりの子たちを監督していたのだ。

子供たちの相手をしながら、ずっとわたしは勉強をしていた。何の勉強かって?言うまでもない。公務員試験の勉強に決まっている。

時には勉強を教えながら、時には勉強のご褒美にイラストを描いてあげながら。

流石に監督しながらだと考えるようなものはできない。なので、あまり考えなくても取り組める物ばかりしていた。
解いた後の答え合わせとか、ひたすらNDCを青ペンでノートに書きまくって覚えるとか。そんな感じの。

考えないと出来ない勉強は図書室で隠れてやっていた。図書館にはほとんど誰も来ない。格好の勉強スペースだった。

教頭から卒業式の壁飾り作成を命じられることもあった。やることないからいいでしょって。

確かにないけど、ちょっと腹が立った。切ったり貼ったりの工作は大嫌いだ。てゆーか、勉強ができねーじゃねーか。←おい


結局わたしは100を超える花の壁飾りを作り、壁一面を埋め尽くした。やり過ぎて、教頭は若干ひいていた。ざまあみろ。

そうして、仕事の合間はすべて蔵書を読むことと、勉強に当てていた。
あの時蔵書を読んでおいてよかったと思う。それまでも合間合間に蔵書を読むようにしていたが、この時間のお陰で短期間に殆どの蔵書内容が把握できた。

わたしの数少ない特技のひとつに、一度読んだ本の内容を忘れない、と言うものがある。この特技のおかげで表紙を見ただけで話の内容がすぐに思いだぜる児童書がかなりある。
(生きていくにはほぼ役立たなそうな特技だが、この職に限ってはなかなか有用だ)


このようになかなか有意義な時間をコロナ以降、過ごしていたわけなのだが。

ひとつだけ問題があった。

家に帰ってから、眠くて勉強できない問題!!!

そう。確かに仕事に慣れて、生活には余裕が生まれた。しかし、それは帰宅後勉強できるほどではなかった。

この眠気をどうにかしなければならない…。

わたしは考えに考え抜いた末、一つの結論を出す。

生活リズムを変えよう、と。

そして、編み出したのがこちらのルーティン。


8時から16時45分→仕事

17時帰宅。

17時から20時→家事と入浴などフリータイム

20時から翌朝4時→就寝

4時から7時半→勉強

7時50分→出勤


わたしはコロナ禍に突入してからしばらく、ずっとこの生活を送っていた。

わたしが一人暮らしを勧める理由はコレだ。

一人暮らしだと生活リズムを変更することが容易なのだ。実家暮らしだとこうはいかない。

また、一人暮らしで非正規司書だと危機感が半端ない。純粋に金がないから。実家だとなまじ衣食住が保障されるので、危機感は薄いだろう。

そのような状態で必死こいて勉強できる人間はよほどの自制心の持ち主に違いない。

無論わたしはそうではない。

高校受験で怠け、大学受験で怠けたわたしである。

しかも、文学研究の類は好きだが、勉強は嫌いときている。自分を頑張らせるには相当の労力を要した。

人生で初めて、他人に「やらされる」勉強ではなく、自ら「する」勉強をした気がする。それでもやっぱり勉強は嫌いだし、苦手だ。特に暗記。


このルーティンのおかげで、勉強時間を一日必ず数時間確保できるようになった。しかも眠くない状態で、だ。これは大きい。

効果はすぐに現れた。

その夏、二つの公務員試験を併願しどちらも二次試験に通ったのだ。快挙だった。

なぜなら、働きはじめてからこちら、わたしは二次試験に通ったことがなかったのだから。試験中も解ける問題の数が明らかに多くなったのが目に見えてわかった。

また、2020年夏の司書専門試験において、暗記ではなく記述の得点が大きかったこともわたしに有利だった。

昔から記述は得意中の得意だ。それらしい長文をつらつら書くことだけには、昔から特化している自信がある。(それはそれでどうなんだ)


そして、二次試験を二つとも受験し、一つは受かり、一つは落ちた。

そうして受かったのが今の職場である。

わたしもまさか受かるとは思っていなかったので、受かってからはしばらく現実味がなかったものだ。

ただし、ここでまたひとつ問題がある。

受かった先は、10月からの中途採用だったのだ!!

そこからは大変だった。
合否がわかったのは八月末。

たった一ヶ月足らずで仕事の引き継ぎと引っ越し作業を並行して行わなくてはならないのだ。しかも、その後にはノータイムで次の職場での仕事が始まってしまう。

校長には、一次を通過した時点で今年の途中で退職する可能性があると伝えていた。

だから、問題ない。もんだいないのだが…引き継ぎが大変だった。職場への影響もかなりのものがあった。

なにしろ、わたしの後任が離任してから一ヶ月は来ないと言う。これは由々しき事態である。(ちゃんと一ヶ月後には後任が着任した)

結局、教頭に添削を受けつつものすごい枚数と密度の引き継ぎ書を作成することと相成った。教頭先生、大変お世話になりました。

社会人二年目でここまでの引き継ぎを行なったものもそうはおるまい。良い経験ができたといまは思う。

しかし、最中は地獄でも生ぬるい有様だった。


そんな感じで、生徒や同僚、司書仲間に祝福されつつ、新しい職場で正規司書として勤めはじめた。

だか、ここでも問題があった。

またまた実家から遠い。前の職場よりさらに遠い。

とてもじゃないが、通えない。また、新たな地での一人暮らしが幕を開けた。

ああ。
今度こそ実家に寄生し、甘い汁を啜って生きていくつもりだったのに…。
この点が最大の誤算だった。

どうやら、親の脛を美味しく齧れる時は

今生しばらく来ないらしい。


この野郎。諦めんぞわたしは。
いつか、脛かじりクロミミになる!!

そんな決意を秘めつつ、わたしは正規司書となったのだった。


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