ESG企業ランキングに潮目の変化

今年もダボス会議開催に合わせ、Global 100が公表されました。Global 100はカナダの出版社Corporate Knightsが2005年より公表しているサステナビリティに優れた100社のリストです。サステナビリティに関する指数としてRobecoSAMによるDow Jones Sustainability Index (DJSI)やFTSE RussellによるFTSE4Good Indexが広く知られており、その構成銘柄が話題となりますが、それらと並んで有名なリストがこのGlobal 100です。

Global 100の特徴は2つあります。1つは公開情報のみを基に企業を評価していることです。DJSIはRobecoSAMの行うアンケートへの回答のみ、FTSE4Goodは公開情報およびアンケート回答の両方を用いるのを考えると特徴的です。いかに企業が内部で様々なデータを蓄えていても、公表していなければ存在しないのと同じというスタンスを取り、企業への情報開示を求めているのです。

もう1つの特徴はサステナビリティに関するパフォーマンスデータのみを評価対象としていることです。Global 100以外の2指数では企業がサステナビリティ課題に対して方針を持っているかどうかや、それを展開するのに有用な組織体制があるかといった側面も評価します。それに対し、Global 100は方針や体制がどうであれ、企業がサステナビリティ課題の解決に対して実績を上げられたかどうかのみで評価しています。

先月公表された2019年版のリストではこれまでにはない大きな特徴があります。それはいわゆる欧米企業以外の企業がトップ10で3社もランクインしていることです。2017年には欧州企業8社、米国企業2社、2018年には欧州企業7社、米国企業2社、それ以外として韓国サムスン系企業がランクインしていました。2019年の3社はそれぞれブラジル、台湾、韓国の企業で、これらはこれまで新興国と呼ばれていた国々です。このように新興国企業がサステナビリティ関連のランキングで存在感を拡大する傾向は2020年も続くのか、来年のランキングを楽しみに待ちたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?