取締役要件にESGを掲げる企業(3):Chevron

スキルマトリックスシリーズ第3回はオイルメジャーの一角であるシェブロンです。前2回の電力会社同様、石油業界も多くの企業がスキルマトリックスにおいてESG要因を掲げています。シェブロン以外の大手ではコノコフィリップスやオキシデンタル・ペトロレムも該当企業です。

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シェブロンのスキルマトリックスで該当する取締役要件は「環境」であり、10名中7名がスキルを保有していると明示しています。これは第1回のAESと同様、株主提案に対するアピールとしては有効です。株主提案では環境関連の素養を持つ独立社外取締役を選任することを求めています。

https://comemo.io/entries/8762

しかしこの「環境」のみを強調するスキルマトリックスと実際のシェブロンの取締役会における取組とは齟齬が生じているようにも見えます。同社は総合的な会社の監督を行なうための取締役会の他、その専門部会のような位置付けで複数の委員会を設定しており、取締役会の実効性向上を図っています。その1つが公共政策委員会です。同委員会は国内外の環境、社会、政治、人権等に関するトレンドを把握、分析した上で、取締役会の方針や取組への反映を推奨することを目的としています。同委員会では「環境」は主要なテーマの1つではあるものの、それに限定した議論を展開しているわけではありません。その証左の1つとして同委員会には「環境」スキルを持つ取締役がメンバーとしては存在するものの、委員長には「環境」スキルを持つ取締役が就任していません。

AESと同様に「環境・サステナビリティ」を取締役要件とするか、新たな要件として「環境」とは別に「サステナビリティ」を設定し、公共政策委員会は少なくともどちらかのスキルを持つ取締役から構成されるとした方が実情に合うと思います。

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