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【体育】マット運動で大切にしたい基礎感覚

こんにちは。
ここ最近、【パルクール体育】シリーズを書いていました。その中で、マット運動の単元があったわけですが、その中でも行っていた基礎感覚づくりの運動の選び方や見取り方、声掛けのポイントなんかを記事にしてみようと思い、書き始めました。今回は「そもそも、どんな感覚を意識したらよいか」ということについて書きました。(併せて、パルクール体育の記事も、もしよければご覧ください。)


1.どんな「感覚」に気づかせていきたいか

さて、「基礎感覚づくり」と言いましたが、さて、マット運動に必要な「基礎」の「感覚」っていったいどのようなものでしょうか?様々ある「運動感覚」の中で、私がマット運動で大切にしたいのが「逆さ感覚」「回転感覚」「支持感覚」の3つです。なぜこの3つか。それは、これらが、「日常とかなりかけ離れているから」です。

<非日常を味わい、楽しむのが体育>

体育というのは、「非日常」を楽しむものです。スポーツの語源を辿ってみても、「非日常」を味わうことこそスポーツの根幹であることは理解できると思います。また、体育を「スポーツ」と「身体的リテラシー」の2つの柱で分けてみてると、器械運動にもスポーツ的な要素と身体的リテラシーの向上の要素の2つがまじりあっていることがわかります。(これについては別の記事で触れていますので、そちらを…)つまり、「非日常」を味わうのが体育の時間では大切だと私は思います。
さらに、「非日常」な運動こそが、人間の身体をどんどん活性化させていくカギになるとも言えます。マット運動で大切にしたい「逆さ」「回転」「支持」という感覚は、日常の中にある「歩く」「座る」「立つ」「寝る」「走る」くらいの運動では、味わえない運動感覚です。だからこそ、体育という場で経験させ、身体が味わったことのない世界を味わうことで、身体の可能性をどんどん拡げていくことができるのです。

2.「3つの感覚」について

①逆さ感覚

さて、大切にしたい感覚について一つずつお話しましょう。
ではさっそくですが、「逆さ感覚」とはどのような感覚なのでしょうか?
どういう状態が「逆さ」というのでしょうか?
顎と額の位置が逆であれば逆さですか?そうなると、気を付けからの前屈も立派に「逆さ」ということになりますね。眩暈の遊びとしては、これも「逆さ」ですが、体育での「逆さ」を私は「肩の上に腰がある状態」としています。
この「逆さ」は日常では味わうことができません。
目に入る景色も、体の各部が感じる「重さ」も、日常では味わうことができません。これを大事にしたいのです。この定位感を失う感覚を繰り返し味わうことで、「体がどのように動いても大丈夫」という安心感を生むことができます。「逆さ」をたっぷり味わうことは、体育の価値としてとても大切です。

②回転感覚

では、「回転」の感覚とはどのような感覚でしょう?
回転って、どっちの向きにどのように体の位置関係が変化していったら成立するのでしょう?
そうですね。いろいろな方向があります。三半規管が感じる感覚も様々です。それらを仲間分けしていくと…
①前に転がる
②後ろに転がる
③横に転がる
④斜めに転がる(前も後ろも)

になるかと思います。
①②はわかりやすいですね。前転系、後転系です。③は側方倒立回転やえんぴつ回りなどが挙げられます。④は柔道の前回り受け身です。これは、①とは若干感覚が変わります。左右の三半規管の位置関係が違うからです。
これらの「回転」もとにかくたくさん経験していくことが重要です。初めのころは、数回前転を続けるだけで目が回りますが、授業を数回こなしているうちにこれもなくなります。人間の身体ってすごいですよね。

③支持感覚

3つ目は「支持感覚」です。
これは「体を支えている」という感覚であり、「足裏以外で全体重をコントロールしている状態」と捉えられます。
イメージしやすいのは「倒立」「ブリッジ」「バランス」でしょうか。
こういった支持の動きというのは、日常ではなかなか起こりません。日常で体を支えているのは、足裏とお尻が大半でしょう。だからこそ、体育の中では、それ以外での支持をたくさん経験させていきます。また、この指示感覚では、倒立やブリッジなどは「逆さ」感覚と一緒に味わえますし、前方倒立回転のような動きでは、回転と一緒に味わうことができます。


おわりに

ということで、今回は「感覚」についてのお話でした。
次回は、この基礎感覚をどのような運動で身につけていったらよいかをお話ししていきます。

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