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子どもの幸せを願うなら

毎日楽しく学校に行って欲しい。
幸せな人生を歩んで欲しい。


親や教師として、子どもにそう願うのはごく自然のことでしょう。

もちろんこちら側の一方的な願いを押し付けるつもりはありません。でも、心の奥底では子どもの成長と幸せを願ってやまない。それが親、教師というものではないでしょうか。


そんな思いで子どもと接していると、
「どうしてこの子は、こんなに無気力なんだろう」とか
「どうしてこの子は、ずっとイライラしているんだろう」とか
「この子は幸せなんだろうか」とか。

こちらの願いとは遠く離れた場所にいる子どもの存在に気づきます。


そのような子にも、
幸せになってもらいたい。
自分の目標に向かって前を向いて欲しい。


そんな気持ちになってしまうのが教師の性なんでしょうね。


一体どうすれば、そういった子どもたちでも前を向いて、幸せな人生を歩んでいけるようになるのでしょうか?



➣幸せの三段重理論

精神科医であり、数々のベストセラー作家でもある
樺沢紫苑さんの「THE THREE HAPINESS精神科医が見つけた3つの幸福
という本を読みました。そこには、幸せな人生を歩むための科学的な理論と具体的な実践例が書かれていました。

一部引用しながら、子育てに置き換えて考えてみます。


まず樺沢さんは、人が幸せである状態を次のように定義しています。

・幸せとは、
 脳内に幸福物質が出た状態である。
・幸せには3つある。
 セロトニン的幸福(心と体の健康)
 オキシトシン的幸福(つながり・愛)
 ドーパミン的幸福(成功・達成)

この3つの幸福を感じる状態のとき、人は幸せであると。


では、子どもたちが幸せを感じる瞬間を3つの幸福に当てはめてみます。

【セロトニン的幸福】
家や学校でホッとできる。
たくさん睡眠がとれている。
運動をしてさわやかな汗をかく。
おいしいご飯を食べる。
自然にふれ、癒される。

【オキシトシン的幸福】
家族の仲がよい。
友達と仲良く遊ぶ。
切磋琢磨できる仲間がいる。
部活や習い事などのコミュニティに参加する。
下級生をかわいがっている。

【ドーパミン的幸福】
テストで100点を取る。
自分の目標を達成する。
何かの賞を受賞する。
何かの代表に選ばれる。
お小遣いをもらう。


このような感じでしょうか。

こうしてみると、小さな幸福(セロトニン・オキシトシン的幸福)から大きな幸福(ドーパミン的幸福)まで、日常の様々なところに幸せはあふれていることになります。


しかし、この3つの幸福を得るには、優先順位があるそう。

それは、

セロトニン的幸福

オキシトシン的幸福

ドーパミン的幸福

セロトニン的幸福から始まり、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福へと幸福を得ることで、幸福は大きくなるということです。


例えば、いくら勉強を頑張ろうと思っても、寝不足の状態(セロトニン的幸福の欠如)だったらよいパフォーマンスは期待できません。また、友達関係や家族との関係にイライラしている状態(オキシトシン的幸福の欠如)なら、勉強に集中できません。

つまり、ドーパミン的幸福にある「目標達成」「成功」を得るには、セロトニン的幸福とオキシトシン的幸福という土台が安定していないと成り立たないということです。樺沢さんは、これを幸せの三段重理論とよんでいます。

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引用:RRESIDENT Online「幸せな一生を送れる人は『健康→つながり→お金』の順番を守っている」


セロトニン・オキシトシン的幸福のしっかりとした基礎が固まっていれば、その上にドーパミン的幸福は、いくらでも積み上げていくことができるというわけです。子どもたちにも、幸せの三段重構造はしっかりと当てはまります。


➣順番を間違えると不幸になる

毎年、勉強ができるのに、何だかずっとイライラしていたり、学校で無気力だったりする子に出会います。いろんな理由がありますが、その中でも「習い事が忙しくて寝不足だ」という子が昔よりも増えた印象があります。

これはまさに「習い事」というドーパミン的幸福を求め過ぎた結果、セロトニン的幸福の欠如に陥ってしまっている例でしょう。

習い事をやっている時間は、自分の目標に向かって一生懸命で楽しい時間かもしれません。しかし、それで心身の健康を失ってしまったら、それでも幸せと言えるのでしょうか?


さらに、「今日は習い事がない!やったー!友達と遊べる!」とまで言ってしまう子は、要注意かもしれません。

ドーパミン的幸福を追い求めすぎて、「人とのつながり」(オキシトシン的幸福)が欠如してしまっているサインかもしれないからです。人とのふれあい、つながりの良さを感じず、自分の目標だけを追い続けていては、今後、人間関係で悩むことが多くなるかもしれません。幸せを追い求めすぎた結果、不幸になってしまいかねないのです。



また、授業も幸せの三段重理論と同じです。

教室が落ち着いていて集中できる空間であること。
信頼できる先生であること。
一緒に協力する仲間がいること。

そういった当たり前の幸せ(セロトニン・オキシトシン的幸福)があるから、勉強への意欲が湧き、成果を出すことができます(ドーパミン的幸福)。教師はやみくもに「勉強しなさい」と言いますが、子どもたちのセロトニン・オキシトシン的幸福が満たされているのかを、つぶさにチェックしておく必要がありますね。



➣小さな幸せを子どもと共感しよう

セロトニン・オキシトシン的幸福は、日常生活では当たり前のことすぎて気づきにくいものです。とりわけ不幸を感じている子どもなら、さらに難しい。小さな幸せを一つ一つ見つけて「幸せに思いなさい」と言ったところで、その子が幸せになるわけではありません。


そんな時こそ「子どもは大人の鏡」であることを思い出してほしいのです。

その子の幸せを願う前に、
子どもの目の前に立つ自分が幸せであるかどうか。


小さな幸せに感謝しているか。

小さな幸せに気づく余裕はあるか。


最近、空気がおいしいと感じたでしょうか?

青空がきれい
自然が気持ちいい
ご飯がおいしい

子どもが愛おしい。

そんな小さな幸せを感じているでしょうか?


感じているのなら、子どもの前で口に出して言ってみましょう。

「あー、たっぷり寝たから今朝は気持ちがいいね!」
「今日は天気がいいね!何しようか?」
「空気がおいしいね」
「あんなところにきれいな花が咲いてるよ!」
「この唐揚げ、おいしいね~ しあわせ」
「お月様がきれいだね」


そんな小さな幸せが、日常に転がっていることを、一緒に共感すればいいのです。それだけで、幸せの三段重の土台ができあがっていきます。


あなたは今、幸せですか?

幸福は得がたいものではなく、誰にでも手に入れることができるものなのです。





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