見出し画像

「サステナブル・ビーチ」小手鞠るい作を読んで思ったこと

 小手鞠るいさん、不思議な作家さんだなぁ、と思いながら読んでいます。
 児童文学を書くときには、流れるような、文章で、すっと場面が頭の中に浮かんできます。
 読んでいて、微笑みたくなったり、胸にツーンときて、涙が出そうになったり、電車の中で百面相をしていると思います。
 大人の小説は、2,3冊読んでみたけれど、これから児童文学を描こうと思っている高齢者の私は手を出してはいけない気がして読まないことにしています。
 表紙の絵を見て手に取るものもありますが。

 前書きが長くなりましたが「サステナブル・ビーチ」遅ればせながら読みました。
 小学6年生の七海くんのひと夏の物語なのですが、おおむかしの小学生の私には信じられないくらい、いまの小学生は勉強しているのでしょう。
 アメリカ人のおかあさんと日本人のお父さんを持つ七海くんの無気力な夏休みの始まりが、おかあさんとのハワイ旅行で劇的に変化します。
 戦争が人にもたらす体の傷だけではない消えることのない心の傷を知ったり、何十年もたっても残る枯葉剤の後遺症について知ることになります。
 プラスティックがもたらす環境破壊が動物の生態系に与える影響について知ることによって、成長します。
 子供達の吸収力の速さに驚いています。

 七海くんの悩みは、学校で少数派の自分が他の子どもたちと違うことが嫌で、普通になりたいと思っていることですが、その悩みは普通学校に通っていた身体障害児の私が抱いていた悩みに似ているのかな、と思いました。
 おとうさんが息子に、最初から個性のあることをうらやましい、というセリフが心に響きました。
 七つの海の名前言えませんでした。
 山の中の小さな谷川が海につながっているのは、知っていたはずなのに、改めて読むと衝撃でした。

「サステナブル」最近テレビでよく聞く言葉ですが、この本を読まなければ聞き流していたことでしょう。

 児童書から学ぶことが多いと思っている今日この頃です。
 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?