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あのころ私たちはいつだって3人一緒だった
高校の時、私のクラスは結構個性豊かなメンバー揃いみたいなところがありまして、それは動物園のように楽しく賑やかでしたが先生側からしたら最悪なクラスだったかもしれません。
ですがただちょっと個性的で収拾がつかないところがあっただけでクラスに必ずひとりいる変な奴が集まっちゃったくらいの感じです。
ある時先生が2ヶ月消えました。
なんだったんでしょう?
私たちのせいではないことを祈ります。
そんな個性豊かなチンパn……コホン、高校生たちは担任の先生のことがみんな好きでした。副担任もいい人だったのでこちらもまた好きでした。
私の小学校時代(過去の記事「教師ガチャ大失敗した話参照」から比べましたら天と地です!
私はまぁ、いい子でしたよw
たぶん。
ただ私には少々サボり癖がありまして、掃除の時間はサボっていました。
私は出席番号順の関係でA子とB子の3人でいつもセットでした。
トンチキトリオ爆誕の瞬間であります。
私たちはただ教室内にいるだけだと追い出されてしまうので隣の空き室でサボります。
すると先生がやってきます。当時図書室の掃除係だったので
「早く図書室行け」と追い出されます。
空き室から出たトリオは渡り廊下まで進み、先生を巻いたところでまたおしゃべりに花を咲かせます。
数分後様子を伺いに来た先生に見つかり追い出され、まるで追い込み漁のようにそのまま図書室まで押しこまれます。
そして図書室に行き掃除をします。
そんな感じの日々を送っていたんですが、ある夏、先生はこんな事を言い出しました。
とあるスポーツ大会(大きい大会)が近くで開催される年でした。
近くと言っても家からは遠く、とてもじゃないけど真夏の炎天下、自転車を必死に漕いで行くような場所ではありませんでした。
「数日間みんな手伝いをしてほしい」
「断る」
間髪入れずにそう答えました。
「先生は一生に一度しかないセブンティーンの夏をなんだと思ってるんだ。悪いが他を当たってくれ」
そうだそうだとオーディエンスが加担して完全にこちら側が優勢になった……その時でした。
「アルバイト代出るんだけどな
……」
?!
「誰がやらないと言った」
なにやら交通費程度の少しのお金が市からなのか学校からなのか出るようで、それならば話は違うと、とにかくお金に目がない銭ゲバJKは秒で意見を翻しました。
そして私は本来なら
【夏到来! 恋をして青春かまそうぜー☆】
のセブンティーンの夏になる予定ではありましたが、あいにくたまたま恋の相手もいなかった事ですし、ただいつものようにエアコンの効いた部屋に入り浸り姉と喧嘩する日々になることは確定的だったのでこちらのお手伝いとやらをやろうと決めました。
決めましたとかこちら側に決定権があるかのように言っていますが実際はお手伝いという名の半ば強制でした。
だけどここで私たちトンチキトリオは不遇の扱いを受けることになりました。
思い返せばやや苦い記憶、いま、その封印を解きます。
スポーツ公園前で待ち合わせして中に入りました。
そこではたくさんのスポーツがあちらこちらで行われていました。
私はスポーツと無縁なのでとりあえず日焼け止めを塗り、日陰を探しに行きました。
しかしそれは許されませんでした。
それぞれに役割が割り当てられ、私たちトンチキトリオは「総務」というなにやら重要そうな任務を任せられました。
少し役職が着いた気分になり、ピリッとした気持ちで任務を遂行しました。
総務は木陰で休むことは許されない。
「アレをもってこい」と言われれば急いで取りに行き、「あそこにコレ渡して」と言われれば走って渡しに行く。
間もなく……気がつきました。
総務とかいうエリートコースの役割を割り当てられて浮かれていたけれど
もしかして、これってまさかパシリかな。
一句出来たところで私たちは仕事を辞めました。
涼しそうな室内で椅子に座り水なんて飲みながら資料を読んでいる放送係、表彰の時にメダルをかけるだけの係、私たちは念入りに他の人の仕事の偵察に行きました。
そして、最後!
私たちに総務を振り分けた担任が! なんと!
日陰で冷たい氷水の中からジュースを取り出して渡すだけ、という仕事をしていました。
「なに……やってるんすか」
低く唸るような声が今年いちばんの猛暑になろうとしている威力を弱まることを知らない太陽の下、響いた。
今がピークと言わんばかりにジリジリと肌を焦がす。
「えっ、あっ」
見られた、やっべ。
確かにそんな顔をしました。
私たちはいちばん大変で辛い仕事を振り分けられていたのです。暑くて、移動距離は長くて、スポーツの大会をしている人以上に汗をかき頭がグルグルしてきたところだったから、その担任が冷やしていたジュースを受け取りしばしの休息を取りました。
そしてここからは私たち3人はまたほかの偵察に翻弄しました。
まずはオリンピック選手とやらがいるということでその人が競技が終わるまで待ち、サインを貰いました。
ついでに能力的には高いのか低いのか分からないがイケメン風の人がいたので一緒に写真を撮ってもらいました。
将来価値がつくかもしれない。
そんなこんなでこの最低な夏は最後にはあっさりと楽しい思い出となり終わることとなりました。
そして先日誰だか知らないイケメン風の横でにっこりと笑う私のアホ面写真が実家の断捨離の時に出てきました。
その人は結局オリンピックで見かけることはありませんでした。
なのでそっとシュレッダーに通しました。
そしてオリンピック選手の方は最近まで第一線で活躍されていました。
サインは断捨離候補から外れました。
もらったバイト代は交通費にも満たないお小遣いでした。
そして次はトリオ、スキーに行くの巻。です。
高校のころスキー教室なるものがありました。事前アンケートで今までのスキー経験を答えました。
0回、1~2回、3~5回、6回以上
とかだったと思います。
私は父が海、キャンプ、遊園地、野球、サッカー、山、スキーなどなど、たくさんのところへ連れていってくれる人だったため、スキーは何十回も行ったことがありました。
そこで私はなんの疑問を抱かず、素直に6回以上に丸をつけました。
それが悲劇を生むなんて、その時は思ってもいなかったんです。
さて、スキー教室当日、私たちはスキー場へ向かいました。宿泊施設が併設されていて、私たちはトリオを含め7.8人の部屋を割りあてられました。
部屋に着き、一息つく間もなくスキー場に集合となりました。
ほんとうは寒いし部屋の中でごろごろしていたかったんですが、そうもいきません。
そしてまずレンタルシューズを取りに行きました。そこで私たちは事前に靴のサイズを提出していたんですが、どういうわけか私の靴のサイズが本来よりかなり大きいものが用意されていました。
靴はスキー板に装着できる頑丈なもので、それがパカパカと脱げてしまいそうなサイズで、歩く度にスネの部分がパカパカとその硬い靴の入口部分に当たり痛くてたまりませんでした。
(翌日青アザができていました)
ただでさえ寒くて行きたくない上こんなに痛いとなるともう一歩も歩きたくありません。
私は平坦な道も全てスキー板を装着して滑るように進みました。
そしてここであのアンケートの真の目的を知るのです。
私は上級者コースに振り分けられました。
私はスキーが滑れません。回数行っていると言ってもほぼソリに乗っていただけなんですから。
父と姉と三人でスキーに行った時の話、私は平坦なところで滑っていたことがあります。
姉は4つ上で結構大人なのでひとりでスイスイ滑っています。
父はベンチに横たわりウトウトしていました。
私はいつの間にかベンチから離れてしまいました。
そして気がつくと右足のスキー板が反対側を向いてしまいました。ありえないと思うかもしれませんが子どもで体が柔らかかったこともあり、左足は上を向いているのに右足は下を向いたまま、スキー板が長くて元に戻らなくなってパニックになりました。
すぐに姉に助けを求めましたが「バカw」と言い、姉はそのままスーッと遠くに消えていきました。
そして私は父に助けを求めました。
大きく手を振りますが父はウトウト、ベンチから遠く声も届かずもう一生足がひっくり返ったままなのも覚悟しましたが、その後すぐに目覚めた父に救出されました。
(私の話は基本昔の話なので多少の緩さがある時代でしたのでそこに疑問は抱かないでくださいw)
話は逸れましたが、そんな軽いトラウマつきのスキーができるわけもなく、仲のいい友人たちはトリオを含めみな初級コースで平坦なところでレッスンを受けている中、私は上級者コースに拉致、連行されたのであります。
だけど私はリフトに乗る直前に逃げ出しました。
間一髪、逃げきれた、この時は本気でそう思っていました――。
私は弁慶の泣き所にテクニカルアタックをくらい続けながら、もうスネのHPは赤ゲージに突入していました。
とにかく痛い。
上級者コースから間一髪逃げてきた私は誰もいない木陰で雪だるまを作って遊んでいました。
するとゾロゾロと同じ部屋ののみんながこちらに向かってきました。
「もう寒いし疲れちゃったし帰りたい」
みんな一様にそう言いました。
「よし! 戻ろう」
私は最後の力を振り絞って瀕死の足を起こしました。
そして全員ゾロゾロと宿泊施設に向かっている……途中の話であります。
目の前に現れたのは……!
教師の群れだ!
普通最初はスラ〇厶あたりの弱っちいのが出てくるのがRPGの常識。
なのに何故だろう、突然ボスが大集結してこちらに向かってきているのは。
勝てない、勝てるわけない。
あ! あれか? 負けイベてきなやつか?
いや、違う騙されてはいけない。
「はいはい、強すぎるしこれ1回〇んでイベントで復活するやつねw」で何度ゲームオーバーになってきた?
これは負けイベなんかじゃねぇ!
「なにやってんだお前ら」
びくり、と肩が上がる。
「えっと……体調が悪くて」
ひとりがそう言うと「私も、私も」と皆あとから続く。
だけどこんな安い手、効くわけ……
「そうか、じゃあ保健室に行っとけ」
?!
なっ?!
帯同している保健の先生の部屋、そうそれが保健室。
なんとあっさりと。物事は難しく考えるから難しいのであって、牙城を崩す糸口は案外簡単なのかもしれないと思いました。
皆一様に驚きとともに口角がゆるりと上がる事を止められなかったですが、バレないように下を向いていました。
「じゃあ行こうか」
私が声をかけた、その瞬間でした。
「いや、お前らはダメだ」
?
お前……ら?
私とA子とB子。
そう、いつものトリオ。
さすがにそれはないと泣きの抗議をしたが叶わず、バツの悪そうな顔の同部屋の友人を「後で覚えてろよ」の目で見送り私たち3人はスキー場に戻されることとなりました。
しかしここでトラブルが発生したのであります!
私たちはトボトボとスキー場に戻りました。
その後クラスメイトを見かけ、その後をついていきリフトに乗りました。
二人一組になるので私はA子とB子の後ろからひとりで乗りました。
ぐんぐんと山頂へと登っていく。私は高いところが平気なので足をプラプラさせながらキョロキョロと周囲を見渡していました。
雪が頬を叩いて痛く冷たかったのを覚えています。
そしてそろそろ頂上に着いたかと思った頃、前を向くと、なんと降りるのに失敗したクラスメイトのチンパn……コホン、友人たちが出口に倒れ込んでいるではありませんか!
後続の人の邪魔にならないように倒れた後に雪の上を這っていたのを見た時はどこぞのバイオ〇ザードかと思いました。
そしてその後の友人たちも続々と降りるのに失敗し続け、いつのまにか人間ミルフィーユ状態になっていました。
怖い!
そう思った時でした、リフトが止められました。
私たちはリフトを止めてしまったのです。
そしてミルフィーユ状態になっているゾンビたちは無事に助けられ、私たちトリオも無事に山頂に着くことができましたが、私たちはここでもう力が尽きてしまいこのまま帰ることにしました。
そのまま帰り宿泊施設に戻ろうとした、その瞬間です、まだまだ神は私たちを解放してはくれません。
なんと、A子が雪にハマりました。
雪かきされた場所なのでしょうか?
なぜか1ヶ所落とし穴みたいになっていて、そこにすっぽりと落ちてしまいました。
私とB子はポカンとしましたが、直後B子は「助けなきゃ!」という言葉を残し、そのまま勢いよくスキーのスティックで勢いをつけ滑って穴に飛び込みました。
お察しの通りB子も穴にハマり、まさにミイラ取りがミイラになってしまいました。
私は仕方なくスティックを差し伸べました。
するとふたり同時に掴まりそうになったので「ひとりずつ!」と釘をさし、まずはA子を引っ張りあげようとしました。
ですが私は非力ちゃん。
どうにもこうにも引っ張りあげられませんでした。
「なにやってんだ、お前ら」
そこで救世主が登場したのです。
「先生! ふたりが落ちちゃって」
呆れ果てた先生の顔を私は今も忘れない。
人は呆れ果てるとこんな顔になるんだなーと思いました。
そして先生の助けもありふたりは無事救出されました。
「大丈夫か? 怪我してないか? 保健室行ってこい」
?!
思わぬ副産物です。
そうか、怪我をしたかもしれない。確かにそうだ。
「わーい、行ってきまーす!」
張り切ってそう言った、その時でした。
「お前は落ちてないよな?」
?
「はい?」
そして先生は顎をクイッとスキー場に向けました。
私は涙なみだでA子とB子と別れることになりました。
まさに今生の別れとでも言わんばかりのそれはそれは涙の別れでした。
「ごめんね、わの! 私たちだけ」
だけどどっちも「私も残るよ」とは言いませんでした。
ついに私はぼっちひとりになってしまったのです。
ついにぼっちひとりになってしまった私。
足が痛くてたまりません。カコカコと歩く度にスネを攻撃してくる靴。
もうやめて、私のライフはもうゼロよ。
多分靴を脱いで分厚い靴下を脱いでそこを見てもまだ青くはなっていないんですよね。だから「痛い」は信じてもらえないです。
なのでまた仕方なくスキー場に戻りました。
そして私は平地の隅っこでひとり雪だるまを作りました。夕方までこうしていればやがて終わる。明けない夜はない、そう自分に言い聞かせて雪を丸めていました。
その時です。
担任の先生がまた現れました。
嫌な予感がして咄嗟に逃げようとしましたが回り込まれました。
「1回だけ一緒に上から滑ろう? そしたら戻っていいから」
ニコリと柔和に笑いました。
実は先生は若くて爽やかで正直人気者です。(俳優さんみたいな感じ)
24歳くらいだったはずです。
突然のdrに戸惑いながらも1回だけでいいのなら、と立ち上がろうとした時です。
「俺も一緒に行く!」
そう言ってきたのは体育の先生でした。
こちらはスポーティーな印象で23歳。こちらもこちらでとても人気のある先生でした。(モデルさんみたいな感じ)
そして3人でリフトに向かうと「キャー」
という歓声が聞こえてきます。
「せんせ♡一緒に滑ろ♡」
「ごめーん、後でな」
だけど先生たちはその誘いを次々と断ります。
?!
むくり、私の中の感情が動いた瞬間でした。
これって、まさか。
優! 越! 感!!
たちまち気分が良くなった私はまるで自分がキャーを浴びているスーパーアイドルみたいな気分になってきました。
心の声(ふっ、ごめんね、このふたり、私と一緒にいたいみたい)
(≖͈́ㅂ≖͈̀ )ニチャー
これは気持ちがいい!
風を切るようにリフトに向かいました。
ですが乗ろうとした瞬間、さっきのトラウマが蘇りました。
「どうした?」
だけど今度はひとりではありません。体育の先生が先に行き、私の隣には担任の先生が一緒に乗ってくれました。
降りる時もスムーズにアシストしてくれたので人間ミルフィーユは回避できました。
てかこんなに簡単に降りられるんだ、と感心しました。
そして頂上に着くと思ったより斜面が急で怖くなった私に、今思い返してもなんで突然その人気の先生ふたりが私をその日だけ特別扱いしてくれたかは分かりませんが、体育の先生が後ろ向きで私の前を滑り、私がよろけそうになったらすぐ助けられる姿勢、そして後ろからは担任の先生が私が転んでも大丈夫なように後ろから滑ってくれました。
そうしてゆっくりゆっくりと滑り下まで到達した時には「お疲れ、戻っていいよ」
と爽やかな笑顔を残しふたりは去っていきました。
青春時代――。
17歳を人はそう呼ぶ。
アオハル――。
そうとも言う。
なかった、こんな漫画みたいなことは今まで一度たりともなかったです。
だけど魔法がかかっていたのはその一瞬限り。
お姫様だった私は宿泊施設に戻るころには薄汚いチンパn一味として元通りになっていました。
「ごめん! わの」
部屋に戻るとみんながかけよってくれました。
「うちらだけ先に帰っちゃってごめんね」
みなそう言い駆け寄ってくれたものの、私は見逃さない。
テーブルの上に開けられたお菓子から宴会をやっていたのは明らかだ。
「どうだった? あれから何してたの?」
その言葉に私はさっきあったできごとを逐一話しました。
その瞬間である!
「は? あのふたりと滑ったの?」
「え、マジ?」
「無理ありえないんだけど」
「ずるすぎる」
散々な言われようで私のいちにちの苦労はなかった事にされ、「大変な思いをした女」から一瞬にして「いい思いをした女」に格下げしたこと、その場はすぐに解散になり、私の周りからは人がいなくなりお菓子の残りに戻っていったこと、私の分のお菓子はほとんど残っていなかったこと、スネのHPがついに0になって数日使い物にならなくなったこと、私は一生忘れない。
終わり
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