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海外旅行帰りのちょっとしたカオス体験

 少し早すぎたかな. . .時計の針を見てそう感じながらクアラルンプール国際空港ターミナル2に到着した。時間を潰すところは幾つもあるやろうから大丈夫やろ。天井に吊るされた巨大な時刻表を眺める。自分の便を見つけ、軽やかな足取りで国際線出発と書かれた方向に向かった。保安検査前の入口で搭乗券を見せ、QRコードを読み取ってもらう。しかし、何度読み取っても赤いランプか点く。新しい搭乗券をもらってきてと言われたので、近くにある自動発券機で予約番号を入力した。うまくいかず、「サービスカウンターにお越し下さい」との表示が出た。「サービスカウンターは何処ぞにあるんや」。これといった地図がなく、戸惑いながら探した。「あった、あった」。少し安堵して列に並んだ。しかし、これがカオスの始まりだった。
 私の前には2組の客がいた。南アジア人らしき2人組と、中国人団体客だろうか、5、6人ほどが群がっている。並んでから15分経った。2組しか並んでいないのに一向に前に進まない. . . 。30分が経過した。まだ進まない。係員とその団体客の1人(英語が話せるリーダー的人)が揉めているようだった。私は聞き耳を立てた。どうやらその団体客は何らかの理由でフライトを逃してしまい、次のフライトの手続きをしているようだった。「これは私達のミスではありませんよね!?」「どうして明日のフライトになるのですか!?」。白熱した雰囲気だった。前の南アジア人らしき2人組はしびれを切らしたのか、「どうしたんだ」と間に割って入った。ピリついた空気は収まり、その団体客は横に捌けた。次はお前らの番だ。
 「もうすぐだ」。私はほっとした。しかし15分が経過。「おい嘘やろ!?」「こいつらも時間かかるやつかい!」と怒りと呆れで一杯になった。しかし、それだけでは終わらない。それから30分ほど経過した時、号泣している女性が私の後ろに並びはじめた。電話を掛けながら激しく啜り泣いていた。なぜ泣いているのかわからなかったが、その女性は職員に連れられて私の前に割り込み、手続きを始めた。延々と手続きをする南アジア人2らしき人組、その手続途中に割り込む中国人団体客と号泣女にサンドイッチされる私。カオスである。
 並び始めて1時間半以上経っていた。私の後ろに誰も並んでいない隙を狙い(前に並ばれてもどっちみち時間がかかるので、もはや隙を狙う必要は無いのだが)、小走りで普通のチェックインカウンターに向かい、職員に他のサービスカウンターはないのか聞いた。「どうかしたんか」と聞かれたので「新しく搭乗券を発行してほしい」と答えると、あっさりその場で発行してもらうことができたのであった。


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