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グローバルなものの見方

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多様性や地政学、働き方について書いています。外交官の仕事、グローバルな視点、日本とは、について興味がある人、キャリアや生き方について考えている人はご笑覧ください。
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#パキスタン

テロとの闘いの主戦場パキスタンでの外交官生活

テロとの闘いの主戦場パキスタンでの外交官生活

テロとの闘いの主戦場だった2000年代のパキスタンは、隣のアフガニスタンとセットで「アフパク」と呼ばれ、国際社会の注目の的でした。2008年のマリオットホテル爆破事件で始まり、2011年にウサマ・ビンラーディンが米国海軍特殊部隊に殺害されて終わる私のパキスタンでの日々の生活は、不条理や暴力が蔓延する混沌とした世の中で、自分のあり方を根本から問いかけるきっかけとなりました。国際政治と安全保障が専門の

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運転手バシールとアラフォー新米マダム

運転手バシールとアラフォー新米マダム

赴任先のパキスタンに到着すると家と共に住み込みの使用人を2人引き継いだ。優等生のような料理人のワジッドと、部下指導のイロハを教わることになる運転手のバシールだ。職場でも中間管理職としてのスタートを切るタイミングで、自宅で使用人を直接雇用していたことがどれだけ後々に役立ったかがあれから15年経った今なら分かる。今の自分だったら違う対応をしていたのだろうか。

住み込みで使用人を雇うということは、朝の

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【グローバルキャリア】パキスタンで絨毯を紡ぐアフガン難民から学んだ地域情勢

【グローバルキャリア】パキスタンで絨毯を紡ぐアフガン難民から学んだ地域情勢

15年前にパキスタンに住み始めたころ、歩いて5分の絨毯店にいり浸っていた。英語が堪能な弟みたいな存在のジャベッドにアフパク情勢を教わりに行っていたようなものだ。

絨毯店が位置していた市場には至る所にInter-service Intelligence (ISI)というパキスタンの諜報機関が潜んでいると言われてた。靴磨き職人や土産物の店主がそうである可能性もあった。普段から壁に耳あり障子に目ありで

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パレスチナとかテロとか真実とか【元外交官のグローバルキャリア】

パレスチナとかテロとか真実とか【元外交官のグローバルキャリア】

イスラエル西岸地区やガザで、1980年代後半に「インティファーダ」と呼ばれるパレスチナ住民のイスラエルの占領統治への一斉蜂起運動があった。

それが高校生の私が国際政治に興味を持ったきっかけだった。「イスラエルは1967年戦争以前の国境線を戻すべきだ」というテーマで海外で通うインターナショナルスクールでディベートに挑むことになった。「真実」というものが存在すると信じていた頃、世の中をを白と黒でしか

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