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戦闘服からヘッドセットへ

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お仕事物語です💻 コールセンターを舞台に様々なお客様や、電話をとる変わった人などのお話が展開されます🌸  登場人物も、ぶっ飛んでいます💦
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#自衛隊

戦闘服からヘッドセットへ 21 ~莉里の消えない傷~

戦闘服からヘッドセットへ 21 ~莉里の消えない傷~

 瑠美と莉里は、カウンター席からチームメンバーが座る小上がりに合流した。皆が勢ぞろいした飲み会は久しぶりだった。

「おい、それ本当か?」
 上杉は驚き、瑠美に向かって声を荒立てた。
「うん、そうだよ」
「そんな状況だったのか、相談してくれたら協力したのに。女が外でタイマンは危ないだろう。せめて職場で話した方が安全だ」
「そうだな。それか、すすきの交番の前とかな」
 赤い顔になり始めた佐々木は、真

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戦闘服からヘッドセットへ 18 ~消えた画像~

戦闘服からヘッドセットへ 18 ~消えた画像~

「お電話ありがとうございます。担当の上杉でございます。本日はどのようなお問い合わせでしょうか」
 シフトが早の勤務日、上杉はぎりぎりまで寝ているため、大急ぎで準備をして出勤する。そのため、1本目の電話がその日の第一声となり、声も頭の回転も調子が良いとは言えなかった。
 とは言え、これまでの電話対応と比べると上杉の成長は著しく向上していた。

 横尾は上杉の言葉使いや案内をする姿を見て、隣にいた新藤

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戦闘服からヘッドセットへ 17 ~虎の過去~

戦闘服からヘッドセットへ 17 ~虎の過去~

「そうかぁ、熊さんがバツイチだったなんて、驚きですよ」
 新藤が笑いながらそう声にすると、三平はお酒がまわってきたのか、にこにこした表情で言った。
「そう言われてみれば、研修の頃とか、佐々木さん怖かったなぁ。同期に反社がいる!って思ったもん」
「おいおい、失礼だな。・・・まぁ、正直な事を言うと、ここに来たばかりの頃は心が空虚だった気がする。今はすごく楽しいけどな。このメンバーが同じチームで、本当に

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戦闘服からヘッドセットへ 16 ~奇異な二つの事件②~

戦闘服からヘッドセットへ 16 ~奇異な二つの事件②~

 気づくと、もう48歳。時間が過ぎるのは、早いものだ。

 17年前、彼女との出会いを振り返ると、最初はどこにでもいる可愛い女の子だと思っていた。

 初めてデートをした日。

 予定時間に着いた約束の場所には、白いワンピース姿の彼女が花のように佇んでいた。
 ウエストは細いベルトで締められ、スタイルの良さが際立ち、髪型や雰囲気はオードリー・ヘプバーンのように愛らしかった。

 だが、強く印象に残

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