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Karin
2022年11月27日 18:32
午後1時、ビルが立ち並ぶ街中で背の高い一人の男が、狭いビルの間に入った。彼は人混みの少ない箇所を探して、やっと良い場所を見つけほっとしたのかすぐに煙草に火をつけた。 アイコスを持ち歩いてはいたが、やはり紙が好きな上杉は、何とかして吸いたい気持ちを抑えられないようだった。 見上げると、ビルの間からでも綺麗な青空が広がっていた。 こだわりの強い性格のせいか、上杉の身に着けている衣服は、柄にもな
2022年11月20日 11:42
坂口莉里SVは、片瀬が仕事を辞めると聞いてから自責の念に駆られる日が続いていた。 片瀬の元気になった姿を見て、もしかしてこれで良かったのかという思いと、何かしてあげられたのでは、という思いの繰り返しが続いていた。 上杉は珍しく朝早くに職場に着いたため、莉理に近づき声をかけた。莉里は、朝からパソコンに向かって準備をしているようだった。「さかぐっちゃん。そろそろ何人かで飲みに行こうぜ。チー
2022年11月14日 11:16
片瀬は他社のコールセンターでSVを経験していた事もあり、経験も知識も豊富だった。デビュー時から、SVらが目を見張るほどお客との対応も格段に上手くこなしていた。「片瀬は俺の憧れだな。あいつ、凄いんだよ。最初っから一人で全部出来てたから」「虎っち、いつもそう言ってたよね」 瑠美は、虚ろな目をした片瀬と話を交わした日から、様子が気になって仕方がなかった。 数日後、久しぶりに会った片瀬は、か
2022年11月6日 15:52
「上杉さん。そのままだと、本当にいずれクビになります」 横尾は真剣な表情で、向かい側に座り目の前のホワイトボードを茫然と見上げる上杉にそう言った。 約束していた研修について、横尾は翌日すぐに上へ相談し、許可を得た事でさっそく実施している最中だった。 お互いの勤務時間ラスト一時間を活用しているため、すでに2人の疲れはピークとなっていた。 研修の内容は、お怒りのお客様や理不尽なお客様に対し