サーフィンとビジネスは瓜二つ

たまには元サーファーらしく波がブレイクするメカニズムなんてもんから切り出してみよーかなあっと。

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えー高気圧は当然気圧が高いところ、低気圧は逆に気圧が低いところ。

で、気圧ってのはその言葉の通り気体の圧力のことで、高気圧のときは圧力が高く空気が重いので下降気流を生み出す。
低気圧の場合は逆に圧力が低く上昇気流が生まれる。この流れが「風」が生まれる仕組み。

風が海上で発生した場合、水面を揺らしはじめる。これが風波。
風波による水面の揺れは、細かくてもそれがどんどん重なり連なることで大きなウネリに育っていく。

このウネリは各地の海岸線に向かって旅を続けながら、さらに他のウネリと重なり、もっと大きなウネリとなっていく。
そんで、このウネリの旅の最終地点である海岸線でブレイクするのがサーファーが乗る「波」というわけです。

例えば、世界的に有名な冬のオアフ島・ノースショアの大波は、日本の千島列島やアリューシャン列島の近くで発達した冬の強い低気圧による猛烈な風によって作り出されたウネリが重なって連なってオアフ島・ノースショアのビーチぶつかることで作り出されるもの。

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ながーい旅を続けてきたウネリがようやくビーチにぶつかりブレイクして生まれる波、これに乗ろうとしても2つの大きなポイントを理解していないと乗ることはできない、と言い切れます。

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その2つのポイントの説明に入る前に、ビーチに膝を抱えて座って海を眺めてるシーンをイメージしてみて。

そして奥から手前に向かう線を頭の中に引いてみて。これをYラインとし、その最奥をY1、Yラインの最手前をY2としましょう。

でビーチの左から右にも線を引いてみて。これをXラインとし、最左をX1、最右をX2としましょう。(画を使わず文字で説明しようとしてるからややこしい。。)

Y1からY2の縦方向、つまり奥から手前にウネリが迫ってきて、徐々に徐々にウネリの高さが高くなり、その高さに耐えきれなくなってウネリがブレイクし波になる。ブレイクした箇所は白波(日本ではスープ、アメリカではホワイトウォーターと呼ぶ)になる、それがブレイクの瞬間。

そしてそのブレイクしているポイント(白波になっている場所)は横方向X1からX2の間に複数あるはずです。

これがビーチから海を眺めた時に見えるウネリがブレイクする場面。

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で、波に乗るために理解しておくべきひとつのポイント

Y1からY2に向かって進んでくるウネリが、どこでブレイクしているのかを理解すること。
「ウネリがビーチにぶつかってブレイクすることで生まれる波」と上述したけど、正確には「ウネリが海底にぶつかることでブレイクし生まれる波」。奥から手前に向かってくるウネリ、この上下運動の下の部分が海底にぶつからない限りそれはずっとウネリのままでいつまでたってもブレイクしない。

そして海底には大きく分けて2つのタイプがあります。
ひとつはサンゴや岩(リーフブレイク)、もうひとつは砂(サンドブレイクまたはビーチブレイク)。

リーフブレイクの場合、その上を動く水によってその海底の形(サンゴや岩)が変わるわけではないので、ウネリがそれにぶつかったとき常に同じ場所でブレイクするという構造(但し、リーフ(サンゴや岩)はX1からX2の間にはいくつかあるはずで、それぞれ水面から浅い場所・深い場所と異なる。ウネリが小さければ深いリーフにはぶつからないので浅いリーフでしかブレイクせず、ウネリが大きければ両方でブレイクする)

常に同じ場所でブレイクするので、同じ場所に多数のサーファーが固まることになる。結果、そのたくさんのサーファーたちが同じウネリに向かってパドルし同じ場所でブレイクする波に乗ろうとするので、それをキャッチするチャンスを掴むのが難しい。一つの波にはそのピークを起点に左右にひとりづつしか乗れない、が原則だから余計にチャンスは少ない。

一方、砂(サンドブレイク)の場合は、その上を動く水によって海底の形が変わる。海底の砂が動くからね。
砂が動くということは、ウネリがブレイクする場所が変わり続けるということ。X1からX2の間のどこでブレイクするかは昨日と今日では異なるし、今日の中でもAMとPMで異なることもある。そのビーチを熟知しているサーファーは水面の動きを観察することで「ああ、今はあそこでブレイクしてるな」と読み取ったり、天気図を見てウネリの大きさや海岸線に向かってくる方向を理解することで「明日はあそこが狙い目だな」と予測することもできます。しかし、そうでないサーファーは水面の動きや天気図を見てもブレイクする場所を正しく把握することができない。よって、サンドブレイクの場合はサーファーたちが様々な場所に分散して波を待つ、というシーンが増える。分散しているので(コンペティターが減るので)、どこでブレイクするかを把握しているサーファーは比較的容易に波をキャッチし乗ることができるってこと。

ウェットスーツに着替えたあとに、ビーチでストレッチしながら20分も30分も海を見つめてるサーファーを見かけることがあると思いますが、彼らは、どこでブレイクしているか、そのブレイクポイントに効率的に到達するためにはどこをどうパドルするべきか、を考え意思決定しているわけです。

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ふたつめのポイント

ウネリは一定の大きさでビーチに向かってくるわけではないのよね、当然。
上下の動きが小さいウネリの場合、リーフブレイクだろうがサンドブレイクだろうが海底にぶつかることがなくブレイクせずにビーチに届いてしまう。

逆に上下の動きが大きすぎるウネリの場合は、リーフブレイクならサンゴや岩、サンドブレイクなら砂で盛り上がった海底、これらに無関係にそれより低い海底にも同時にぶつかってしまうので、あらゆる場所でブレイクしてしまい(白波になってしまい)サーフィンには適さない状況、いわゆるダンパーとなる。

よって、サンゴや岩、盛り上がった砂の海底にぶつかることでキレイにブレイクするウネリがどれであるかを見極めて、それに向けてパドルをスタートしなければ波に乗ることはできない。良いウネリを見つけることに長けているサーファー、そのウネリがブレイクするポイントにいち早く到達できるパドル力を身に着けているサーファー、が常に優位。

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なんかね、これらふたつのポイントにはいつもビジネスを想起させられる。

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ひとつめのポイントについて。

A.リーフブレイクはウネリがブレイクする場所が決まってるから多くのサーファーが集まり、波の取り合いになる
B.サンドブレイクは、ブレイクする場所が変化するためサーファーは分散する。どこで乗るべきかわかってるサーファーだけが波をキャッチできる。

これ、ビジネス界隈に置き換えて考えるとAはレッドオーシャンでBがブルーオーシャン。

Aは、あらゆる面で卓越したサーファーのみがブレイクをキャッチできる、それ以外は淘汰される(キャッチできない)というタフな市場、真っ赤な海。

Bは、どこでブレイクをキャッチするか=市場を自分で決められる自由なブルーオーシャン。但し「どこで」を読み切るチカラが必要、ってな具合。

つまり、どの市場・業界で戦うのか、の「WHERE」をどう意思決定するの?って話。レッドオーシャンでも十分に戦えるリソースやスキルがあり勝算が立つならそこを選べばいいし、コンペティターがまだ気付いてないブルーオーシャンを見つけて開拓するものあり、のように。

ふたつめのポイントについて。

そのウネリは、乗るべきウネリなのか?そうであるとして、いつパドルをスタートすべきなのか?を見極める必要がある、ってやつ。これもビジネス界隈にあてはめると、

・「その案件は、いまリソースを投下すべきタイミングか?そもそも投下すべき案件なのか?」或いは、
・「その仕事は、いまリソースを投下すべきタイミングか?そもそも投下すべき仕事なのか?」

の「WHEN」と「WHAT」をどう意思決定するのか、って話。上述したサーファーは天気図読むよって話は、どのビーチにいつどういう角度でどのくらいの大きさのウネリが到達するか、を事前に把握するため。これによって、どのビーチにどのくらいのサイズの波がブレイクするかをある程度予測できる。これは「WHEN」と「WHAT」以前の基礎リサーチとしての予測で、ビジネスにおけるマーケットや競合リサーチと同じ動き。

「WHO」と「HOW」には触れないの?

そうだよね。「WHO」が誰であるかは自明なのでほっておくとして、「HOW」については上記では触れてないサーファーの技術。そもそもブレイクする場所まで到達できるの?(ドルフィンスルー(ダックダイヴ)できる?)とか、ウネリをキャッチできたとしてそのあとボードの上に立ってコントロールするスキルはあるの?とか、もっと言えばそのウネリをキャッチするのに適したボードを選んでる?とかいうのは、

・ビジネスにおいて定めた市場・業界で戦うために必要なリソースがあるのか?や、
・そのリソースは戦うに必要十分なスキルをもってるの?

と類似していてみっつめ、よっつめのポイントになるわけだけど。とか考えるとサーフィンとビジネスはコンテンツこそ違えどフレームはやっぱり瓜二つ。

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すべての要素が整ってようやくサーファーは波に乗れる(ようになる)わけで、これはビジネスにおいても同様。

すべての要素を整えることを意識しないとそれらは整わないし、それらが整わないと目指す状態には届かないどころか、そのきっかけさえつかめない。意識すべき要素をすべて並べて、それぞれの状態を理解し、不足しているならそれを埋める努力をして初めて「波に乗る(目指す状態に近づく)」挑戦権を得る。

サーフィンに限らず、ビジネス界隈のメカニズムを他の何かに置き換えて繰り返し妄想し続けることは悪くない。なんというか何をどう捉えてどう向き合うべきか、というように、自分自身のためだけの自分自身の拠り所となるような哲学的な何かを整理整頓することができそうで、そのことがいまはぼんやりとピントが合ってない状態でわかった気になっている「ビジネスってなに?」への答えの解像度が高まっていくような気がして。

あーあ。波待ちしながらこんなこと考えてるようじゃあよろしくない。
脳ミソも身体もぜーんぶMother Earthに委ねて、なんならメディテーション状態で純粋に細胞レベルでサーフィンを楽しめるようにならないとねぇ・・


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