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UPDRAFTのロゴができるまで

こんにちは、Tanemakiのくんちゃんです。
ブランディングやロゴデザインなど、対話とデザインを通してお客様の事業のたね蒔きをサポートしています。

今回の記事では、先日リリースされたUPDRAFT様のロゴマークと、その土台となる事業のコンセプトメイキングについてお伝えします😊

ブランディングやデザインに興味のある方はもちろんのこと、ご自分の展開する事業について客観的で適切な発信をしていきたいと思われている方にも読んでいただき、何かポジティブな気持ちになっていただけると嬉しいです。

(今回はお客様からプロジェクト内容に関する発信の許可をいただくことができたので、その機会を活かしてnoteへ投稿します。)

UPDRAFTについて

まずUPDRAFT様について少しご説明さてください。
「UPDRAFT」はコーチングサービスを提供するKIMIYOさんの事業に冠した屋号です。

KIMIYOさんは国際コーチング連盟(ICF/ACC)認定のプロのコーチです。事業内容としては、パーソナルコーチングや企業向けコーチングを提供されており、また「組織や社会へのコーチングの普及」をビジョンとして掲げながら後進のコーチの育成にも力を注いでいます。

コーチングでは対話を通して自分の本質的な目標を自分の言葉で見つけるアシストをしてくれ、お話ししていると「やってみよう」という開放的なやる気が湧いてきます。実際に私もKIMIYOさんのコーチングにはとてもお世話になっており、コーチとして絶大な信頼を寄せています。

このプロジェクトの始まり

「ロゴマークを作りたい」というご相談をいただいたのは、昨秋(2021年)のことでした。

現在取り組んでいる様々なコーチングの活動を今後はより広げていきたい・発信していきたいと思い、そのタイミングで事業の“しるし”として掲げられる屋号やロゴマークが必要だと感じました。

パーソナルコーチングに加えて企業向けコーチングも広げていきたいというタイミングで、企業クライアントに対して一つのブランドとして向き合うための基盤を必要とされていました。

KIMIYOさんの「ここから!」というタイミングでロゴマーク制作のご発注をいただき、その節目に携わることができ、私はとても嬉しい気持ちになりました。

ご依頼いただいた段階ではまだ屋号は決まっていないとのことでした。
早速ミーティングでお話を伺ってみたところ、それまではコーチング仲間の方に壁打ちとして協力してもらいながら事業のコンセプトや屋号のネーミング案を練っていたけれど、自分のブランディングに関して言葉を紡ぎ出そうとするとなかなか進まないという課題を感じていらっしゃるようでした。

このお気持ちは本当に共感できます。
セルフブランディングは自分一人で取り組もうとすると本当に難しいと思います。
おそらく美容師が自分の髪を誰かに切ってもらうように、心臓外科医が自分の心臓手術を誰かに任せるように、セルフブランディングに関しても、それを主体的に行なってくれる専門のパートナーがいると心強いのではないかと思います。
セルフブランディングは“自分を”ブランディングすることであって、それは必ずしも“自分で”ブランディングすることでなくてもいいし、ブランディングのパートナーと一緒に取り組むことで自分では気づかなかった強みを発見したり、その伝え方に出会うことができると思います。

ということで、当初のご相談はロゴデザイン制作だったのですが、事業のコンセプトメイキングやネーミングを含むブランディングをトータルで進めていくプロジェクトにしましょうと私からご提案させていただき、このプロジェクトはスタートすることになりました。

コンセプトメイキングで大切にしたこと

まずは事業のアイデンティティを明確にしていくために、KIMIYOさんの事業に関することー これまでのご経歴、コーチになった経緯、コーチとして大切にしていること、これからどうしていきたいかなど、幅広いテーマを何回かに分けてお伺いして一緒に言語化していきました。

この言語化するというプロセスが私にはとても大切です。
見聞した情報を自分なりに咀嚼し、その情報を一緒に共有する過程だと思っています。

たとえばその中の一つの方法に、マインドマップがあります。
今回は色々なテーマでKIMIYOさんにお話を伺ったので、それを俯瞰や個別に把握するためにマインドマップが役立ちました。

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ミーティングで出てきた言葉とそれを私なりに解釈したものをマインドマップで表し、それをKIMIYOさんに共有しました。
私にとって情報整理となったのはもちろん、KIMIYOさんにとっても考えや方向性がクリアになるきっかけになったようで、一緒に事業のコンセプトを深めていくことができました。

さらに言うと、この“一緒に”というのが今回は大切でした。
屋号もロゴマークも納品して終わりというものではなく、あくまでそこをスタートとして事業に輪郭を持たせていくための概念やツールなのではないかなと思っています。

特に個人事業主様の場合は、その屋号やロゴマークをどのように使っていくかはご本人に裁量があることが多いので、屋号やロゴマークがクライアント様にフィットしていた方が断然扱いやすく、ロゴマークの機能を長期的に果たしやすくなると思っています。

だからこそ、個人事業主であるKIMIYOさんご本人の思いをしっかり汲み取って言語化し、それを共有することを心がけました。

事業アイデンティティの深掘り

そうして現れてきた事業のアイデンティティが下記になります。
お話を伺っていく段階ではミッション・ビジョン・バリューの型にはめていたわけではないのですが、言語化して整理していく中でこちらの型に落ち着きました。

①ミッション

「対話を通してクライアントの可能性を最大化する」

これはKIMIYOさんが初回のミーティングから繰り返し仰っていた言葉で、おそらくご自身がコーチングを行う際のパワーの源になっている、スローガンのような言葉なのだと思います。

クライアントの可能性を最大化するために、“クライアントの心の内にあるブレーキを外すサポート”という役割をKIMIYOさんはコーチとして意識されているそうです。

たとえば私たちは何かに挑戦するとき、「できないかも」と不安になることがありますが、それと同時に「チャレンジしてみたい」「できるかも」といった気持ちも抱いているのではないでしょうか。(おそらくその気持ちが皆無の場合は挑戦しようとは思わないです。)
だけどなかなか一歩踏み出せなかったり思ったように動けない時は、その不安な気持ちにフォーカスが当たっている時だと思います。
自分の中にある不安な気持ちを和らげて自分にGOサインが出せたら、私たちはもっと心地よく進んでいけると思います。

クライアントとの対話を通して、KIMIYOさんはその言葉の中に散りばめられている「できる」のかけらを拾い集め、そして今度は対話を通してその「できる」と思っていることをクライアント本人に気づいてもらい、心の内にあるブレーキを外すサポートをしていきます。

UPDRAFTの対話はきっと、「可能性へ向けて解き放つ対話」なのだと思います。

スピリチュアルでは全くなく、大学で心理学を専攻し、国際コーチング連盟の資格保持者であるKIMIYOさんのコーチング技術がそれを支えています。

②ビジョン  

「コーチングを社会の当たり前にしたい」

コーチングサービスを提供するだけではなく、それ自体を社会にもっと普及させたいという思いがKIMIYOさんにはあります。

これはコーチングの社会に対する存在意義だと思うのですが、コーチングはそれを受けた人だけではなく、その周りの人々や環境や社会にも好循環を与えます。
たとえば誰かに優しくされたら自分も気持ちが和らいで誰かに優しくしてみようと思うように、人の持つ雰囲気や心持ちは周りに人たちに波及します。

一人一人が心地よく生きれば、より良いクリエイティブが生まれ、より良い組織、そして社会が生まれる。
それは会社員だったKIMIYOさんがコーチを目指そうと思ったきっかけでもあり、掲げるビジョンでもあります。

だからこそコーチングを提供するだけではなく、その普及活動にも力を入れていきたいという思いがあります。
そのためにもコーチ育成に積極的に取り組まれているほか、企業クライアント様へのコーチングの機会も増やしていきたいと行動に移されています。

③バリュー(行動指針)

・クライアントの目標の根本的な実現をサポートする。
・クライアントの意思を確認する。
・クライアントがその目標を達成できると信じる。

この3つの指針は、①ミッション ②ビジョン の礎となっている点であり、クライアントとの信頼関係構築に繋がっています。

たとえばKIMIYOさんのコーチングでよく言われるのは、「本当にそれがやりたいことなのかな?」ということです。
周りの潮流に乗って決めた目標を掲げている時、この言葉はボディーブローのように効いてきます。
対話を重ねながら、言葉として現れている目標のもっと根本にある目標を探してゆきます。
そして本当に目標をクライアントが認識できた時、それを達成できると信じてくれる人が側にいるというのはすごく心強いことなのだと思います。

屋号のネーミング

事業のアイデンティティを言語化した次は、いよいよ屋号決めです。

屋号にはハートウォーミングな印象の言葉を使ってほしいというリクエストを当初からいただいていました。
またこれまでのコンセプトメイキングを元に、未来への可能性を感じられ、どこか芯の力強さを感じられる言葉がいいと考えました。
2つの言葉を掛け合わせたような造語でもいいとのことでしたが、今後は企業クライアントも増やしていきたいという展望を伺っていましたので、シンプルで伝わりやすい屋号の方がオケージョンとして使いやすいと考えました。

またその言葉がもつ見た目(字面)や発音の響きにも着目しました。
私は単語には上記の点ゆえに女性らしさや男性らしさを帯びているものがあると感じているのですが、KIMIYOさんのコーチングサービスは特定の性別のターゲットを設けているわけではないので、文字に表したとき・発音したときに印象が偏らない単語を選ぶように心がけました。

そうした点を考慮しながらいくつか候補を出し、その中から“UPDRAFT”という屋号に決まりました。

UPDRAFTは日本語では「上昇気流」を意味しています。

自分の中にある根本的な目標と自身の可能性を認めたとき、鳥が風と出会いそれに乗ってふわりと帆翔するように、人は自然と昇り、もっと生き生きと翔んで行ける。

コーチングはそんな新たな気流を生み出す機会になると考え、屋号を“UPDRAFT”に決めました。

言葉の印象としても事業のアイデンティティに合致していますし、たとえUPDRAFTの和訳を知らなくとも“UP”という接頭語が入っているのでポジティブな感じが伝わると思います。
また濁音が入っているのですがリズムが良いために、ほどよく力強さを感じられる言葉だと感じました。

屋号が決まったところで、次はロゴデザイン制作へ進んでゆきます。

ロゴデザイン

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上記のコンセプトを元に、緑×白 の配色、書体の美しさを生かしたロゴマークを作成致しました。
一見シンプルなロゴマークですが、次の文字へと跳ね上がる“U”の文字が特徴的で、この文字は単体でシンボルマークやモチーフとしてもお使いいただけます。(具体的な展開例は次章でご紹介しています。)
個人や企業クライアント、そして社会へ信頼をイメージしていただくためにも、落ち着いていて且つオープンな印象のあるロゴにしました。

もともとデザインに取り掛かる最初の段階で、ロゴマークはシンプルに書体の美しさを生かしたデザインにしようとイメージしていました。
なぜなら、UPDRAFTのコーチングはクライアントの持つ根本的な目標を見出すことを大切にしているからです。
その本質性を表現するためには、その周りにあるそうで無いものを丁寧に手放していったシンプルなデザインが調和すると思いました。

書体選びや配色に関しては、引き続き次の章で詳細を記していきます。

書体選び

書体に関してははCormorant Garamontをベースに作りました。

“UPDRAFT”という言葉と組み合わせた時に品と力強さの両立を感じられ、また“U”の文字がもつしなやかなフォルムに惹かれて採用しました。

デザイン制作の段階ではこの“U”の文字を“P”の方向へと跳ねさせています。U( = You ) がしなやかに次へと跳躍していく部分は、単体でもUPDRAFTのシンボルマークとしても使用することができ、たとえば下記のようにプレゼンテーションシートなどへ展開することができます。

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その他にもビジュアル面でバランスをとるために微調整を重ねながら、ロゴマークの形状は制作しました。

配色

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上のシートはコンセプトメイキングの項で記述したUPDRAFTの【ミッション = 可能性】【バリュー = 信頼】【ビジョン = 社会】という概念と、一般的にイメージされやすい色の結びつきを表したものです。

メインカラー:UPDRAFT grass green
上記のシートのように事業のコンセプトとそれを想起する色を整理した段階で、それぞれに共通したキーカラーとして緑が浮かび上がってきました。

またこれは配色を考える段階で発見した偶然の後付けなのですが、“UPDRAFT”という単語を分解すると、“UP”(=上げる)と“DRAFT”(=草案)という2つの単語に分けることができます。
このDRAFT=草案の語源は、「「木になる前」の草から転じた言葉」なのだそうです。
まるで「計画を実現に向けて近づけていく」という意味が宿ったかのようなこのUPDRAFTという屋号には、その言葉の背景からしても緑色が適していると思いました。

青葉のようにぐんぐんと育ちながら、信頼性を帯びて社会へと広がっていくことを想起する緑色。この色をUPDRAFT grass greenと名付けてメインカラーに選びました。

サブカラー:UPDRAFT free white
また先ほどのシートでは、「可能性」と「信頼」を想起する色として「白」も挙がりました。

これから何色にでもなれる、可能性を象徴する白。
組み合わせる色の本質を導き出す白。

白という色をただの余白と捉えるのではなく、空間や成長の余地と捉えていただけるよう、この色をUPDRAFT free whiteと名付けてサブカラーに選びました。

実用的な面で言うと、「緑 × 白」という色の組み合わせであれば今後のロゴマークの展開もしやすく、事業において使いやすい組み合わせだと思います。
また白を意識していただくことで、私ではなくKIMIYOさんがプレゼン資料などを作成された時にもデザインの方向性を共有しやすいかと思いました。

まとめ、そしてこれから

ロゴマークのご納品から半月ほど経ち、KIMIYOさんからは屋号にもロゴマークにも愛着を持ちながら事業でご活用いただけているというお声をいただいています。

自分の持ち家ができたイメージというか、発信する全てのものに対して基盤が出来たのが特に良かったです。

また上記のコメントもいただくこともでき、改めてブランディングやロゴマークの役割を感じることができました。

KIMIYOさんのブランディングプロジェクトは始まったばかり。
「ロゴマークが完成した!」と思ったと同時に、「やっとスタートに立てた!」という気持ちが湧き上がっています!
基盤が整ったので、これからもミーティングを重ねながらUPDRAFTの発展に携われることがすごく楽しみです。

このnoteの記事では「UPDRAFTのロゴマークができるまで」を記しましたが、このロゴマークが今後どのように展開されていくのか、そしてここからどのようなストーリーが生まれていくのかは、機会があればまた別のnoteで。

長文となりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました😊


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